
小池百合子、あの「虚飾の女帝像」はどこまで本当なのか?
緊急事態宣言が解除されても、我々は新型コロナウィルスの脅威からは逃れていないわけですが、新型コロナウィルス対策に、東京都知事・小池百合子(以下、ユリコ)の「らしさ」が出ていたと感じるのは、私だけでしょうか。
新型コロナウィルスの感染が広がるにつれ、「オリンピックは大丈夫か」の声が上がります。けれど、ユリコは「全然大丈夫、問題ない」と言っていた。
しかし、いざオリンピックの延期が決まると、「感染爆発の重大局面」とまるで「さんざん警告してきましたけど」と周知済だったかのように言い出す。パフォーマンス優先で、政治的信条はない。ゆえに変わり身も早い。
ウソはついていないが、本当でもない。女帝の塩梅とは
ユリコはいったいどんな人間なのか。なぜ政治家の家に生まれたわけでもない女性が大臣を経験し、都知事にまで登りつめることができたのか。
その“謎”にせまったのか、ノンフィクション作家・石井妙子氏の「女帝・小池百合子」(文藝春秋)です。現在、売りに売れていて、紙バージョンは手に入らないのではないでしょうか。私は県を2つまたいで手に入れました。
ユリコと言えば、もう20年も前から学歴詐称問題が持ち上がり、また政界渡り鳥と言われるくらい、あちこちの政党をフラフラするなど、どこかうさんくさいイメージがいなめない。
石井氏はユリコの子ども時代から、現在に至るまでを丁寧に取材していきます。
本書のキモである学歴詐称に関しては、エジプトでユリコと同居していた女性Hさんが石井氏に「小池さんはカイロ大学を卒業していない」と手紙を送ってきたことから現地に飛び、取材を重ねてきたそうです。
いくら日本には言論の自由があると言っても、相手は政界の大物ですから、いろいろな意味で大変だったと思います。
ユリコのメディア・デビューは、エジプト大統領夫人が来日した際にアテンドをしたこと。芦屋出身の社長令嬢で、北アフリカ最難関大学のカイロ大学を卒業した若い女性ということで、注目が集まります。
これを皮切りに次々と仕事をつかんでいくわけですが、この経歴はウソとは言わないまでも、よく思われるように強調している可能性が否めません。
ユリコの押し出しが「うさんくさい」根本的な背景
ユリコは確かに芦屋出身です。特に関東の人にはいいイメージがある芦屋ですが、全員が大富豪なわけではありません。実際、ユリコも真ん中くらいのレベルにいたそうです。
お父さんが事業をしていたので、ユリコが社長令嬢というのはウソではありません。
しかし、このお父さんというのがなかなかクセのある人物で、一言でいえばホラ吹き。周囲に話していた学歴などの経歴はウソが多く、権力者には土下座せんばかりに取り入り、下の人には当たりがきつい。
こんな調子ですからビジネスもうまく行かず、借金取りに追われるなど、経済的にかなり困っていたそうです。
お父さんは政治好きで政治家のタニマチを自称していましたが、実際は政治家のまわりをウロウロしておこぼれを狙っていたようです。お父さんは一度選挙に出ましたが、落選しています。
日本の大学に進んで英語の通訳を夢見ていたユリコですが、アラビア語が国連で公用語になると知り、エジプトに留学することを決意します。ここでHさんと出会い、一緒に暮らすわけです。
周囲にはお嬢さんの留学と思われていたユリコですが、実際は親からの仕送りはなし。お父さんのツテでエジプトの権力者が大学に入れてくれるからと勉強もしない。
だけどオトコあしらいは抜群にうまく、ユリコ目当てのオトコが毎晩訪れるので、Hさんはお茶を入れてあげたりして勉強の時間がとれなくなる。
いっぽうで、私から見ると登場人物が軒並み怪異
このHさんもなかなか不思議な人で、ユリコにこき使われても、なぜかユリコから離れません。
都知事という権力者にケンカを売ったHさんはユリコの報復を恐れて住所すら隠す一方で、「百合子さんに人生をやりなおしてほしい。本当の人生にしてほしい。このアパートからカイロ大学に通ってもいい。私が一緒に行ってもいい」とユリコに執着しているように私は感じました。
Hさんから見ると、カイロ大学を卒業していないユリコですが、帰国したユリコは「カイロ大学を日本人女性で初めて卒業、しかも首席」をひっさげてテレビの世界に進出し、40代で政界入りします。
ミニスカートで選挙カーに上り(マスコミのカメラが下から狙ってる)、「時の人」に取り入り、裏切って現在の地位を築いていったわけです。
権力をつかんだユリコの、弱い人に共感を示さないエピソードを含めて、都知事選が近い今、読んでみることをおすすめしますが、私は読んだあとに暗―い気持ちになってしまったのです。
おそらく10年前なら友達とユリコ、ヤベーと言ったでしょうし、20年前ならオバサン、すげーと言ったと思います。しかし、今は誇張表現なしに泣いてしまったのでした。
顔のアザが、ユリコの原動力と決めつける怖さ
石井氏はウソとオトコあしらいでなりあがったユリコの上昇志向の“原因”を、家庭環境とアザのせいだと思っているようです。
ユリコは生まれつき、顔にアザがあり、大学病院で治療したこともあったそうですが治らず、小さい時からお化粧をしなくてはいけなかったそうです。
ユリコを知る人はこんなふうに言っていたそうです。
「女で顔にアザがあって、親はあんなで。普通の就職や結婚はできないと、小さな頃から思っていたんだろう。あいつは、はったりで、それでもひとりで生き抜いてきたんだ。ほめあげる気はないが、貶める気にもなれない」
自分はフツウの女の子ではない。そういうコンプレックスが、立身出世モンスター・ユリコを生んだ説は筋が通っています。
けれど「容姿に難のある女の子は、世の中を恨んでも当然」という説を強調しすぎるのは危険なことだと思うのです。
亡くなった方を引き合いに出して申し訳ありませんが、かつて学歴詐称で騒がれた野村沙知代さんが夫である野村克也さんに語っていた経歴は「全部ウソだった」と「爆報!THEフライデー」(TBS系)で明かしていました。
沙知代さんにアザはありませんが、ウソをつく人はいるのです。
推測でしかありませんが、アザよりも、家庭環境のほうがはるかに影響があったのではないかと私は思います。お父さんがお金を持ってこないなら、自分で稼ぐしかない。異国で大学に通う娘に仕送りすらしてくれない親なんですから、それなら一発当てるしかないじゃないですか。
本当に「オンナを売りにする」ユリコが全部悪いのか?
本書では、ユリコの容姿に関する記述がとても多いのです。高校時代のユリコは「眉よりも細い、小さな目をした少女」で、エジプト留学中は歯並びが悪くて、それをからかわれたりしている。
しかし、「振袖、ピラミッドを登る」(講談社)のころになると、「目頭から、くっきりと線の入った大きな二重瞼、粒のそろった白い歯」と容姿が“変化”していることにふれています。
テレビ東京の当時の社長が「経済なんか知らなくたっていいんだよ。とにかく小池は眼が大きくて、キラキラと輝いている」ところに魅力を感じて、ユリコをテレビで起用したそうです。
顔が変わる、もしくは顔を意図的に変えて仕事をつかむ。
石井氏にとっては、学歴と同じようにユリコの「ウソ」もしくは「ズル」だと感じられたのかもしれませんが、それでは、なぜユリコがそんな「ウソ」をついたかというと、テレ東の社長の発言でもわかるとおり、それが仕事につながるからでしょう。
ユリコがその場にいる権力者を瞬時に見抜き、骨抜きにするジジ殺しについても繰り返し描かれていますが、力を持っているのがオトコで、仕事の能力よりもオトコの好みに合うことが最優先という「オトコの罪」に触れないのは、どうしてなのでしょうか?
世襲でないユリコは議員になっても分が悪い。こんなとき、来世こそいいおウチの子に生まれますようにと祈って、いい子にしていたらよかったのでしょうか。どうふるまえば認めてもらえたのでしょうか?
ユリコを批判するものが例外なく食らうブーメラン
そもそも、アザがある子はダメ、顔を変えるのもダメという発想が、すでに「オトコのお気に入り競争」なのではないでしょうか。
ミニスカートで選挙カーに乗ったのも、そうすればマスコミが集まることを熟知していたから。だとすると、そういう視線で報道するマスコミに罪はないのでしょうか?
構造的な問題には触れずに、全部ユリコが悪い、それは顔にアザがもしくは家庭環境が……と言われても私は納得できません。
ひととおり泣いた後、優雅な気持ちになりたくて2017年版「美しいキモノ」(ハースト婦人画報社)を手に取ったのですが、ここに着物姿のユリコが!「エジプトのピラミッドのてっぺんで着たこともあるんですよ」とアピール。あんた!いろいろ事情があるのに、ペラペラしゃべるから、話ややこしなんねん! いろんな意味で自業自得やぞ!
泣いたり、怒ったり。小池百合子は私を情緒不安定にさせる人です。
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