平均170万って本当?40代のうちに知っておきたい「お墓」のこと

 

親はじめ家族に万が一のことがあった場合、悲しみに暮れながらも手配が必要になるのが「お墓」。漠然と「一族のお墓があるからそこへ」という人、そのお墓は誰がどう管理しているかを把握していますか? また、もし新しく建てる必要がある場合、どうしたらいいの? 親を送った編集者が、自分の経験を語ります。

 

自分で建てるなら、まずは墓地探しから

お墓を建てる場合、最初に準備しなければならないのが墓地。墓地の区画は「購入」するではなく、「使用権」形式。使用料は「永代使用料」とも呼ばれ、お墓を守る承継者(=年間管理費を払う人)がいる限り、使い続けることが可能です。

 

墓地の使用料は、地価同様に都心ほど高く、地方では安め。都心の場合150~200万円前後、地方では20~30万円くらいが相場のようです。多くの場合は、契約時に使用料を一括納入し、さらに毎年管理費を支払うパターン。

 

墓地の種類は大きく分けて2種類。①寺院や公益法人が管理している民営墓地と、②公共団体などが管理している公営墓地で、公営墓地の方がリーズナブルな傾向にあります。

 

我が家の場合、今から30年くらい前に親が東京郊外の寺院内墓地の使用権を獲得。およそ60万円くらい支払ったようです。その後、年間1万円の管理費を支払ってきました。この冬、父が亡くなり、先日納骨が終了。母によると「お墓の中にお骨が入ったため、管理費がアップするのでは」とのこと。寺院から、現段階ではお知らせが来ていない状態です。

 

お墓の全国平均価格は約170万円

墓地が決定したら、いよいよ墓石を購入。墓石の購入と建立費用(設置工事代)の全国平均額 170.4 万円です。一番多いのが100 万円~200 万円台で 51.4 % と半数余り。次いで、50 万円~100 万円で 20.6%、200 万円~300 万円 が 18.0%です。

 

地域別にみてみると、お墓が最も高いのは九州の 219.14 万円、次いで一都三県で 185.05 万円、関東の 180.48 万円、安いのは北海道の 141.13 万円、北陸の 148.14 万円。最も高い九州と最も安い北海道では 78.01 万円の開きがありました。

(以上 全優石 2016 年版 お墓購入者アンケート調査より)

 

 指定業者制度をご存知ですか?

お墓を購入する時に気を付けなければいけないのは、「指定業者制度」。「お墓を建てる際にはこの業者に発注すること」と、あらかじめ業者が指定されている制度です。民営墓地のほとんどが、この制度を採用しています。

 

我が家が最近お墓を建てた寺院内墓地も指定業者が決まっており、住職が業者との打ち合わせを手配してくれました。打ち合わせ内容に基づき見積もりを取ったものの、この1社しかないわけで・・・。通常の買い物のように、他社と比較検討して良い物を選びたいと思っていたのですが、そうはいきませんでした。

 

 指定業者がなく自分で石材店を決めることができる場合は、安いからといって安易に飛びつかないこと。パンフレットやネットにのっている数字は、文字通り「墓石」だけのケースがあるからです。

 

【パンフやネットのここをチェック】

付属品や外柵を除いた価格ではないか(花台やお線香を置く台、お骨を納めるカロ―トなど)

設置工事代を除いた価格ではないか

文字入れなどの加工代が発生するか

 

とくに、ネットで注文をする場合など、追加料金が発生しないかなど詳しく確認するといいでしょう。

 

我が家の場合、親が30年前に外柵(墓石を置く土台の部分と、隣家との境界部分。土台部分の下にお骨を納めるカロートがある)工事をしていました。このため、今回は墓石のみ購入。設置工事込みで70万円かかりました。業者は当初「100万円は見てもらわないと」とのことでしたが、それはオーダーメイドの価格だったよう。既製品で良い旨を伝えたところ、この価格になりました。

 

ちなみに、墓石は洋型。都市部では洋型を選ぶ家庭が多いとのこと。また、昔ながらの和型のほうが、価格が高めだそうです。

 

よりリーズナブルな埋葬スタイルも

「お墓」を建てなくても、埋葬することは可能です。最近増えているロッカー式などの納骨堂形式なら、50万円くらいから探すことが可能。また一つのお墓にみんなで入る永代供養墓も、お金の負担が少なくなります。

 

「●年たったら合同墓に移す」「骨壺は個別ではなく、合祀である」など施設によってまちまち。年間管理費の有無、継承者の必要性の有無などもケースバイケースですので、事前によく確認しましょう。

 

このほか霊園内の樹木の下に埋葬をする樹木葬なら30~70万円前後でまかなえますが、一般のお墓のように「墓石」を建てるわけではありません。お参りする際に、墓石のように象徴的な何かが欲しいと思う人には向いていないかもしれません。

 

慌てて決めないで

四十九日の法要に合わせて埋葬する人が多いものの、埋葬はいつまでにしなければいけないという法律はありません。葬儀の後も、家族はしなければいけないことが山積み。もともと墓地やお墓がある場合はともかく、墓地探しからスタートした場合など、四十九日では時間が足りないケースもあるでしょう。

 

お墓を用意するにはまとまったお金が必要。お墓の承継者となった場合はそれなりの責任も発生します。また、一度埋葬してしまうと、お墓はそう簡単には引っ越せません(手間や費用が発生)。あとで「もっとこうすればよかった」と後悔しないよう、ある程度時間をかけて、納得の行くお墓を選ぶのがおすすめです。

 

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