実は閉経前後に「尿もれ」も増える?「あの人サボってる」と勘違いされた50歳は

「トイレの回数が増えた」
「くしゃみをした時やくしゃみをした時に尿が漏れてしまう」

40~50代になり、こんな悩みをお持ちではありませんか?

日本の女性は平均的に50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。

この時期は、ホルモンバランスの乱れにより、さまざまなからだや心の不調に悩まされるもの。

頻尿や尿もれなどの症状は、更年期にもみられる不調です。

そんなつらい不調の乗り越え方を、「あんしん漢方」の薬剤師、道川佳苗さんに教えてもらいました。

更年期の歩き方(17)

1時間おきに襲う尿意。漏れそうなのに、辛さをわかってもらえない

 

現在50歳のゆきさんは、半年前に閉経を迎えました。

 

閉経は「最後の月経から1年たった」ことで判断します。49歳での月経から自然の状態で1年間無月経だったゆきさんは、閉経と結論づけてからというもの、ぐんと疲れやすくなりました。頭痛も度々起こるとのこと。

 

その中でもとくに悩んでいることが、トイレに関することなのだそうです。

 

「ここ最近、トイレの回数が急激に増えたんです。昼間で10回くらい行きます。とくに水分をたくさん摂っているわけではないのに、職場でもトイレが我慢できなくて。頻繁に席を立つことが増えました」

 

そんなある日、ふと同僚達の噂話を耳にしてしまい、ゆきさんはひどくショックを受けたといいます。

 

「あの人、1日何回トイレでサボるつもり?」

何度もトイレに立つゆきさんは、同僚から「サボっている」と思われていたのです。

 

「正直、そんなことを言われていると知ってショックでした。実は、くしゃみをしたり、鼻をかんでお腹に力が入るだけで尿が漏れそうになるんです。膀胱に少しでも尿があるならトイレに行っておかないと安心できず、私はずっと緊張しっぱなし。こんな苦労も知らないくせに、よくそんなことを言えるねと怒りで震えました」

 

実は尿もれで…と正直に話せればラクになるのでしょうが、これまでプライベートの話をしてこなかった同僚との間では恥ずかしくて、とても打ち明けられません。我慢するしかなく、職場でのストレスも、もう限界がきているとのことでした。

 

「夜中も尿意で睡眠不足」医師の驚きの回答は

 

夜も1時間ごとに尿意を感じてトイレに行くため、睡眠不足が続きます。職場でのストレスで疲労困憊しており、ゆっくりと眠りたい。でも尿意で目が覚めてしまい、疲れは一向に取れません。

 

「尿意でよく眠れないからか、昼間の頭痛や眠気がひどくて。このままでは仕事にも支障が出そうだったので、病院へ行くことにしました」

 

病院で診察してもらったところ、医師からは驚きの言葉が。

「更年期障害ですね。それも関係して頻尿の症状が出ているのでしょう」

頻尿の症状と更年期に関係があることを知らなかったゆきさんがあっけにとられていると、医師は続けます。

「女性ホルモンの減少に伴い、骨盤底筋がさらにゆるんできてしまうのも一つの原因です」

そう診断されたゆきさんは、自分は更年期の年代なんだということを突きつけられて落ち込みました。が、大きな病気が隠れていたわけではなかったことには安心し、前向きに治療しようと気持ちを新たにしたのでした。

 

漢方薬がピタリと合った。気持ちも尿意もおだやかに

診察してもらった病院が漢方薬の処方をしてくれたので、その日から頻尿症状に効くという漢方薬を飲むことになりました。

 

この処方がズバリと効き、ゆきさんはなんと2週間後にはトイレの回数が減ってきたことを実感します。

 

「完全に止まったわけではなく、10回が5回になってくらいなのですが、それでも先行きの見えない尿もれ地獄ではなく、自分でコントロールできる手応えが出たのが救いでした。すると、張り詰めていた気持ちもおだやかになって。仕事でのイライラも格段に減りました」

 

1ヶ月続ける頃には夜中の尿意もおさまってきて、朝までぐっすりと眠れる日も増えてきたそうです。

 

更年期の頻尿、苦しまないで!ホルモンバランスの変化からくるもの

・尿をする回数が多い
・急な尿意が我慢できずに漏れることがある
・くしゃみや咳をした時に尿が漏れてしまう

これらは更年期によるものかもしれません。

更年期には以下のような理由で、頻用や尿もれが起こります。

 

■女性ホルモン(エストロゲン)の低下

加齢によっても骨盤底筋群(膀胱や尿道を支える筋肉など)がゆるんできますが、さらに閉経を迎えて女性ホルモンが減少すると、骨盤底筋群のゆるみが進みます。

また、女性ホルモンが減少することにより、自律神経の乱れが引き起こされ、頻尿の症状が起こりやすくなるといわれています。

その他にも、ストレスや疲労などが引き金となって頻尿が起こることもあります。

 

■ストレスや疲労によるエネルギー不足・乱れも原因

東洋医学の考えでは、疲労や加齢により、からだの気(エネルギー)が不足すると考えます。

また、ストレスにより気の巡りが悪くなることも頻尿の悪化の原因のひとつです。

その他にも、ホルモンバランスが乱れることによる腎虚も頻尿に関係しているとされています。

 

更年期の頻尿の悩みに使う代表的な漢方はこの2つ

「更年期症状がつらいけど、ホルモン補充療法には抵抗がある」
「頻尿をどうにかしたい」

そんな方にオススメの漢方をお教えしましょう。

<頻尿・尿もれにおすすめの漢方薬>

・清心蓮子飲(せいしんれんしいん):胃腸が弱く疲れやすい人の、頻尿や残尿感、排尿痛などに用いられます。

・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん):疲れやすく手足の冷えがある人の、頻尿や腰痛、むくみなどに用いられます。

 

ただし、漢方薬を選ぶ際、その人の状態や体質に合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。

 

どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。

AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、お手頃価格で、個人に効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。相談もスマホで完結ですので、気軽に相談できます。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/

 

関係ないかな?と思う内容でも、一人で抱えずに相談を!

「トイレが近い」
「くしゃみや大声で笑っただけで尿が漏れる」

など、人には相談しにくい悩みは、更年期が原因かもしれません。

一人で抱え込むことなく、専門家に相談してみましょう。

更年期に伴う頻尿の症状にも、漢方薬は役に立ちます。あなたの悩みが改善に向かいますように。

 

執筆/あんしん漢方 薬剤師 道川佳苗

漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、調理技術、栄養学を学ぶため服部栄養専門学校に入学し卒業する。現在は今までの経験を活かし web上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。

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