45歳独身、手取り800万。激務すぎて病みました、会社を辞めても暮らしていけますか?

アクティブなショートヘアにつけまつげのバッチリメイクで現れた文枝さん。

質のよさそうなセーターにジーンズ姿ですが、その頬はこけてみえます。

「お金があっても幸せだと感じられないんです」

お金の相談を生業としている私はちょっと面喰ってしまいました。

バリバリ働いて普通の男性以上のお給料をもらっていた文枝さんですが、たっぷり収入も貯金もあるのに辛いと言います。その相談をご紹介しましょう。

 

全国転勤のある営業職。モーレツに働いてきたけれど、もう限界かな

■ 文枝さんからの相談内容

45歳、独身の会社員です。大学を卒業後、薬品会社に就職しました。最初は地元勤務限定の事務職でしたが、28歳で営業職に抜擢され、全国転勤するようになりました。

 

自分を認められたことがうれしくて、それから15年以上の間、激務に耐えてがむしゃらに頑張ってきました。役職も上がり、現在は手取り800万と恵まれたお給料をいただいています。天引きの定期預金である程度の額を貯め、残りはブランドバッグや靴、ランチ、飲み会、旅行と自由に使ってきました。それが生きがいだと思っていました。

 

ですが、ある日朝どうしても起きられなくなり、結局メンタルの病気で4ヶ月休職しました。ゆっくり休みながらいろいろと人生を考えましたが、もしかして、私の会社員生活はもう限界なのかもしれません。

 

これからどうすればいいか相談したいです。私は退職しても生きていけますか?

 

■家計データ


家賃収入という項目は5年前に購入したマンション。半年後に転勤となり、現在月12万円で賃貸中です。2LDKで3000万円、ローンは残り30年2500万円です。

 

すばらしいのは貯金です。天引きの定期預金で毎月5万円、ボーナス年2回15万円をしっかり貯める理想的な貯金のペース。現在2000万円になっていました。

 

そんな文枝さんが襲われたメンタルの病の経緯を伺いました。

 

ある日、会社に行こうとしたら、吐き気と頭痛がしました。その日は、休ませてもらいました。休むことを連絡すると普通に起きて食事もできる。明日はちゃんと仕事しなくちゃ。

 

翌朝、また起きられない。今度は激しい腹痛。また会社に連絡してベッドで寝ているとどこも具合が悪くない…。

 

この繰り返しが3日続き、病院へ向かったところ、医師からメンタルの病気の指摘を受けたそう。急遽会社に事情を伝え、1ヶ月休みをもらうことにしました。

 

休むなら休もうと気持ちを整え、しばらく疎遠になっていた実家の家族との旅行、好きだった読書、オンラインで英会話などを楽しみました。

 

1ヶ月過ごす間に体調も無事に改善、なんだ私の病気なんて大したことなかったのねと安心し、いざ出社。ですが、また1ヶ月前と同じように頭痛、吐き気、腹痛……慌てて病院に行くと、さらにもう3ヶ月の療養が必要と診断されました。

 

休んでいる間は、健康保険の「傷病手当金」が給料の3分の2出るため、生活に支障はありませんでした。ゆっくり流れる時間の中で、文枝さんは自分の人生について考えました。

 

「何のために働いているんだろう」

 

そして、これからの生き方、働き方を考えるためFPの私の元へと相談に来られたのでした。

 

■FP稲村さんからのアドバイス■

1・まずは、10年、20年、30年後の「具体的な自分像」を考えることから。よりよい生き方が選びやすくなります。

2・40代のうちに老後資金の形成も始めましょう。今なら無理のない範囲でコツコツ積み上げていけます。

3・これまで時間がなくて踏み出せなかった「恋愛」も楽しんでみては?

 

■手取り800万→276万円、派遣社員に転職、ハッピーに暮らせる

まず、文枝さんの10年後、20年後、30年後をイメージしていただきました。

・10年後…55歳 このまま働いていたら手取り年収1000万円は越えて、貯金もかなり増える。が、自分の時間はない。
・20年後…65歳 退職金を1500万円くらいもらって、貸しているマンションに自分で住んでいる。
・30年後…75歳 住宅ローンも終わり、年金生活。

文枝さんは、「やっぱり、このままの暮らしでは、お金はあっても仕事に追われて自分が壊れていきそう」といいます。

 

そして、「結婚すら考えず働いてきたけれど、パートナーがいる生活もアリなのかな」とひとこと。

 

そこで、転職の道も一緒に考えることにしました。

退職後の資金は2860万円(退職金 500万円+確定拠出年金 380万円+貯金2000万円)。現在のところ、マンションは賃貸収入で、ローン、税金、管理費、修繕積立等がまかなえています。

 

必要な額を足し算していくと、手取り収入20万円以上あれば資金を取り崩すことなく生活していけそうだとわかりました。

 

こうして具体的に将来の自分の姿、必要な生活費をイメージしていくのは、意外に効果があります。自分の先行きに迷いのある方は、いまペンとメモ帳を用意して書いてみてください。どうでしょう、意外に書けないのではないでしょうか? まずはいちど書いてみるのが重要です。文枝さんも、こうして具体像を探るうちに「今の仕事にこだわる必要もない」と思えてきたようです。

 

そこで、手取り20万円以上(できれば23万円以上で月3万円は貯金)で、仕事を探したところ、文枝さんのキャリアならば時給1500円の派遣会社に登録できました。

 

何時間働いたらいくらになる、何時までで終わるという働き方は、現在のように生きている時間がすべて仕事というプレッシャーもなく仕事できる。そう考えて、文枝さんは思い切って転職を決めました。

 

FPからは、追加で以下のような細かいポイントをアドバイスしました。

 

・企業型確定拠出年金を個人型確定拠出年金(iDeCo)に移管し、月23000円ずつあと15年で414万円運用して老後資金形成をしていきます。
・毎月の収入で家計をやりくりし、たまには旅行をしてもOK。
・65歳以降、自分のマンションに住みローンを75歳まで返済。
・65歳以降も、月3万円ほど収入を得られるよう、資格や趣味を広げる。
・ジムや習い事で勤務先以外の人とも交流し、少しずつ「恋愛の蓋」を開けてみる。

 

いかがでしょうか? 文枝さんの「定年より後の暮らし」がより立体的になってきたのではないでしょうか。健康あっての人生です、身体を壊すまで働く必要はないのです。

 

■まとめ

生涯賃金は、病気を治して今の会社で勤めあげた方がかなり多くなります。しかし、仕事にやりがいも生きがいも感じられず、心が病んでしまっては元も子もありません。健康第一です。

 

転職して、心身ともに元気になった文枝さん。「年収は幸せと比例しないものですね」と満面の笑顔で退職後の相談に来られました。

 

お金と健康と自分を大切に思える心の3つがそろって幸せといえます。自分の生き方、働き方を未来予想図を描きながら考えることも大切ですね。

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