これって更年期?それともうつなの?49歳「汚部屋主」が味わった40代の顛末
閉経の前後5年を一般に、更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45~55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人の更年期#45】
プロフィール
Kさん 49才。40代に入って夫と離婚し、介護職に。大学生の娘2人は元夫の元で暮らし、Kさんは神奈川県横浜市の2世帯住宅で両親と同居中。
順調に過ごしてきた人生だったが…ふとしたきっかけで暗転
「今、ものすごく迷っています。婦人科に行った方がいいのか誰かに教えて欲しい。
これが更年期の症状なのか正直さっぱりわからなくて」
会うなり、こう話を切り出したKさん。
「きっと私の不調には、これまでの騒動が関係していると思います。でも、どのくらい影響があるのか……」
Kさんの生活は、42歳までは順調でした。
元夫(以下夫)は高校時代の家庭教師で、当時は有名私立校の大学生でした。
無事に大学に進学、卒業したKさんは、父親の知り合いのつてで金融機関に勤めます。
「特に自分で希望した仕事でもなく、腰掛けのつもりでした。特にやりたいこともなかったので、16歳からずっと付き合っていた夫と25歳で結婚し、寿退職しました」
Kさんが31歳の時に2人はKさんの両親との2世帯住宅を建てました。夫は大手シンクタンク勤務で収入もあり、Kさんは専業主婦。その後はふたりの娘にも恵まれ、人生は順風満帆でした。
43歳、まさかの夫の「秘密」に愕然とする
そんなKさんが43歳の頃、畳み掛けるように一家に変化が訪れます。
「まさに青天の霹靂でした。折からの不況の影響を受け、夫が社内リストラの立ち位置になったんです。
残業がなくなり、収入も減り、家にいる時間が増えました。
でも、それまでと変わらず家事はせず、これから娘たちの進学にお金がかかるというのに対処もしません。
それどころか、私のやることにいちいち口を出し続けます。そんな生活の中で、夫婦喧嘩が増えていきました」
一見穏やかで外面のいい夫。夫婦喧嘩も大声で罵り合うのではなく、どこか陰湿だったそうです。
「私もあまり感情を表に出す方ではないのですが、元夫はさらに輪をかけて冷淡に理詰めで攻めてくる感じでした。
そんなある日、突然夫の隠れた趣味が判明したんです。
なんと、秋葉原に通い、フィギュアを集め始めて、そのフィギュアを飾るために自宅とは別のアパートを借りていたんです……」
娘たちの進路について夫婦喧嘩が増えたこと、2世帯住宅で義両親に気を使うことなどで、夫は色々とストレスを溜めていたようです。
「でも、いくらストレスといっても、普通黙って部屋なんて借ります? これからお金に困りそうなのに、私に内緒で、それも浮気とかではなくフィギュアのためにって。何それ?
悲しいとか悔しいとかの気持ちより、正直『だれ?この人』って思いました。
長年一緒にいたはずなのに、目の前にいるのは全く知らない他人でした……」
だからと言うべきか、なのにと言うべきか。夫は相変わらずモラハラ発言ばかり繰り返します。
「当時は『モラハラ』なんて言葉は知らなくて、後になってニュースやワイドショーで『これ、私も言われた』と気づきました。そのくらい私の人生はそれまで平穏で、なのに一気に事件が起きたんです」
44歳で離婚を決意。両親と子供を残して実家から家出
Kさんは夫の顔を見るのもイヤになり、家にいるのが耐えられなくなりました。ついに母から借りた100万円で一人のアパートを借りました。
「実家からの家出です。自分の両親と娘たちをおいてなんて普通は考えられないですよね。でも、私はもう、そのくらいギリギリでした」
悩みに悩んだ結果、Kさんは離婚を切り出します。
同時に職探しも始めます。幸い、パートで介護職に就くことができたKさんは、20年ぶりに働き始めました。
そして別居してすぐに離婚調停に持ち込みます。
「自分にこんな行動力があることに驚きましたが、逆に動き出したら止まらなくなったんです。
ただし、家や土地の名義に元夫が含まれているので調停では揉めに揉めました。
最初のうちは元夫が全く交渉に応じなくて、家では両親と気まずかったと思います。
やっと私が銀行から融資を取り付け、夫から家を取り戻しました」
1年半かけて離婚が成立。夫は2世帯住宅から出て行くことになりました。
46歳、離婚調停を終えてスッキリしたはずなのに
ところが全てが終わり、晴れ晴れとした気持ちになる頃、逆にKさんの全身からは力が抜けてしまいました。
「生きる意欲を無くしてしまったんです。意欲というか、生活をする気持ちっていうんでしょうか。
家に帰っても迎えてくれる人は誰もいない。
仕事をしている時には感じないのに、家に帰ると孤独感をとても感じて、何もする気が起きないんです」
結局、掃除も洗濯も料理も夫と娘たちのためにやっていたんだなと気がついたそうです。
特に疲れているというわけではないのに、ゴミ捨てをする気にもなりません。
「ゴミ袋が今も部屋に大量に積まれています。これって、汚部屋っていうんですよね。
そして今度は母との喧嘩が多くなりました」
もともとKさんの母親はKさんの人生に口を出すことが多く、同居し始めたのもくどくどと今後の生活について愚痴をこぼされたことから始まったそうです。
「確かに家出や離婚で迷惑をかけてしまったことも心苦しいけれど、母がいつも目を光らせているのが正直うざくてたまりません。
長女は医学部へいきたいと3浪中。3歳下の次女も離婚後私と一緒に住んでいたのに、元夫の所に行ったきり戻ってこなくなりました。
それも私のせいだと母が責めるような口ぶりで、今度は母の顔を見たくないんです……」
元夫のモラハラから解放されて、自由を手に入れたと思ったのに全て失った気分だというKさん。
「離婚を決意してから、自分の部屋探し、職探し、調停での争い。しんどいことばかりだったのに、全く苦にならなかったのは、大変だったけど自分で考えて行動することが新鮮だったんでしょうね。終わった途端に力が入らなくなりました」
実はまだ婦人科には行っていないというKさん。
「掃除しない、洗濯しない、料理しない、ゴミ捨てしない、これって更年期の症状なのかがわからなくて。
生理も少し量が増えたくらいで毎月きちんときているんですよ。
でもね、私、こうしてお話していますけれど、きっと、
身体の不調ではないので『私はまだ更年期じゃない』って思いたいのかもしれません……」
離婚してから2年近くになりますが、離婚に向けて動いていた時の方が明らかに元気でした。
誰か同じような症状の人いますか? これ、精神科でしょうか? それとも、婦人科に行った方がいいのか。
教えて欲しいです、とKさんは結びました。
【編集部より】あなたの更年期はどうですか?悩み、困りごとや、行っている対策を教えてください。回答はこちらから
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