子なしの40代女性は、〇〇費を5倍以上使っていた!

「犬が待っているから、もう帰る」

ずっと飲み会で女性が帰るための口実だと思っていたけど、あれ本当。厳密には、若い女性は言い訳として使うことがあるかもしれないけど、アラフォー以上が言った場合はほぼ真実。

 

子どもを持たない“おこなしさま”である私は、人のお世話を焼くのが得意ではなく、甘えられるのも苦手。きっと母性本能が欠落しているに違いない。長年そう思っていたのに、犬を飼い始めたら今まで眠っていた母性本能が目覚めた。

 

犬のご飯のことが気がかりになり、寂しく待っているかと思うと早く帰ってあげたくなる。子どもがいないため育児経験はないが、犬を育てることで母性が覚醒したのかもしれない。

 

犬と触れ合うことでオキシトシンが分泌される

女性は出産や育児により、愛情や母性本能が強まる「オキシトシン」というホルモンが分泌される。未産で子どもがいない“おこなしさま”には縁のないホルモンかと思いきや、妊娠していない女性や男性にも分泌することが分かっている。

 

麻布大学、自治医科大学などの研究チームが発表した研究論文(2015年)によると、飼い主が犬と触れ合うことでオキシトシンが分泌されることが判明した。

 

研究チームが行った実験結果では、犬と飼い主が見つめ合い触れ合ったときに、お互いの体内でオキシトシンが増加。とくに犬によく見つめられた飼い主は、見つめられる時間が短かった人と比べて、オキシトシンの濃度が上がる傾向にあった。

 

この研究から、人と犬には母子間と同様の視線とオキシトシン神経系を介したポジティブ・ループが存在することで、生物学的な絆が形成されることを示している。

 

別名「愛情ホルモン」ともいわれているオキシトシン。犬を飼い始めてから母性が強まったと感じたのは、気のせいではなかったようだ。

 

ペットの家族化で消費支出が年々拡大

2003年以降、ペットの数が子どもの数を上回っている。現在15歳未満の子どもの数は推計1650万人(総務省/平成28年調べ)に対して、全国で飼育されている犬猫の数は、1,972万5千頭(ペットフード協会 平成28年全国推計飼育数)。犬猫の数が、子どもの約1.2倍になる。

 

少子化や核家族化といった社会情勢を背景に、ペットは家族の一員という意識が強まってきた。ペットを我が子同然に可愛がる人が増え、人間並みに高級な製品やサービスにお金を費やす飼い主も目立つ。

 

あるお正月。知人の家に遊びに行くと、そこで飼われているセレブ犬が小さなお重に入ったおせちを食べていた。聞くと値段は1万円。我が家では人間でも食べない価格帯。犬用と分かっていながら、思わず一口食べてみたいと本気で凝視してしまった。

 

他にも誕生日ケーキやプレゼントを買う、ペットにコスプレさせるなど、ペットの家族化が進むことで新しい需要や製品が拡大。 SNSの普及でニーズはさらに高まっている。

 

アラフォー以降の単身女性はペットにお金を費やす

家計の消費支出は減少傾向が続いているが、ペット関連の支出は年々増加している。総務省・家計調査の「ペット関連支出/総世帯の平均額(年間)」をみると、2000年の11,649円から、2015年は16,967円と15年で約1.5倍に増えている。

 

なかでもペット関連の支出が突出して高いのは、単身世帯の35~59歳女性。総務省・家計調査の「男女年齢階級別/ペット関連費」(平成27年)によると、単身世帯で35歳未満の女性 4,990円に対して、35~59歳の女性は28,249円と約5.7倍。男性の年齢階級別では、単身世帯の35~59歳が10,434円と男性の中では一番多いが、女性の方がペットに対して使う金額が圧倒的に高い。

 

アラフォー以降の単身世帯ということは、子どもがいない“おこなしさま”である可能性が高い。子どもの教育費や養育費がかからない分、ペットにお金をかける傾向にあることをデータは示している。それも男性より女性の方が多いのは、母性が関係しているのかもしれない。

 

少子化とペット業界の関係とは

近年は猫ブームといわれている。ペットフード協会の調べでは、犬の飼育数は年々減少、猫は横ばいの状態が続いており、犬が約987万8千匹、猫が約984万7千匹と、猫の飼育数が犬に肉薄している。

 

猫は犬に比べて飼育平均費用が少ない傾向にあり、散歩に外に出す必要がないなど、単身世帯でも比較的飼いやすい。少子高齢化や経済面などの時代背景から、猫と犬の飼育数が逆転する日は近々にやってくるだろう。

 

子どもがいない“おこなしさま”にとってペットは、愛する大切な家族、自分に愛情をくれる恋人、一緒に楽しむ友だち、面倒をみる子どものような存在である。ペットを飼うことは、様々な覚悟と不自由を受け入れることになるけど、癒し効果は絶大。

 

少子化・未婚化が進むと、ペット業界には数多くのビジネスチャンスが生まれることになる。一頭にかけるペットの支出額は、しばらく伸びていきそうだ。

 

 

子なしのアラフォー女性は、〇〇費を5倍以上使っていた! 【おこなしさまという生き方 Vol.41】

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