目上の人に「お体ご自愛下さい」は失礼?NG敬語メールと「言い換え方」7選
以前、目上の方に帰りしなに「これからも頑張って下さい!」と伝えたら、「あなたがね」と失笑された経験があります。頑張って成果を出している人に対し「頑張ってください」は、例えるなら釈迦に説法。それとは少し違う意味ですが、目上の方、特に体を気遣うべき年齢の方や、少し体が弱っている方に「お体ご自愛ください」というのは、実は失礼に当たります。
1・お願いごとのメールはお願いで結ぶのがルール 2・返信不要メールに返信不要と書くのはNG 3・「取り急ぎ」もNG 4・「ご自愛ください」は元気な人にだけOK 5・身体が弱っている方へは、むしろ一般的な挨拶でOK 6・元気な方への結びの言葉は季節を盛り込むとOK 7・「おいといください」は目上の人にOK
「結びの文」は何を重視して選ぶべきか
ビジネスで使うメールには、何種類か目的があります。「お願い」なのか「お詫び」なのか、はたまた「連絡」なのか。締めの言葉もその目的に応じたものにしないといけません。そしてそのメールが「急ぎ」なのか「取りあえず」なのかも、メールを読む中、早い段階で分かった方が良いのです。そのため、結論を先に書くメールが重宝されるようになってきました。
忙しい人を相手にする時に、いまだに季節の挨拶を長々と書く人はいないでしょう。「平素は~」などのくだりも、不要とさえ言われています。
そんな忙しいビジネスシーンでは、結び、締めの言葉さえおろそかにされるように思えるでしょうが、実はこの「締め」ほど大切な部分はありません。
「終わりよければすべてよし」と言うように、イベントでも、お料理でも、エンディングに何を持ってくるか。それこそ大切なデザインなのです。
1・お願いメールの結びにはお願いの言葉を
したがって、お願いのメールには「願いを叶えてくださいね」というメッセージ、お詫びのメールには「本当にごめんなさい」というメッセージ、連絡のメールには「連絡しましたからね」というメッセージが、最後の最後に相手に伝わる必要があります。
もちろん中身も大切なのですが、必要なことを書き足して行くと、結局受け取った人は「どうしたらいいのか」が分からなくなりがちです。あなたもメールを受け取る立場でそのような思いをすることはありませんか?
そのメールを読み終わった時に、すぐにどこかに連絡すべきか、手帳に記すべきか、返事が必要かどうか、さっと判断できるように、目的を結びの文に込めると良いでしょう。
2・返信不要メールは返信不要と書かず、言い換える
男性の場合は、最後に「返信不要です」とズバッと書くのは簡潔で良いと思いますが、女性の場合はそういうわけにはいきませんよね。
そこで、結びの文に相応しい「返信不要」に該当する言葉を提案します。
- では、またこちらからご連絡を差し上げます。
簡単ですよね?「次に連絡をするのはこちらなのです、あなたはこれを受け取っただけで良いのです」ということが、しっかりと、しかも優しく伝わります。もちろん男性が使っても好印象を与えるでしょう。
- 何か不都合がございましたら、お知らせください。
こういう条件をつける場合もありますが、これはあまりお薦めしません。相手に選択肢を与えてしまう、つまり「都合が良いか、不都合かを考えてくださいね」と言っているようなものなのです。本当に都合が悪ければ「返信不要」と書いてあっても出しますよね? なので、このような条件付けは相手の負担でしかないので、やめた方が良いというわけです。
3・「取り急ぎ」もNG
「取り急ぎ、メールにて」のようなくだりも、できたら避けたいもの。
確かに言葉通りなのですが、受け取った方が何か少しひっかかるのはなぜでしょうか。それは、差出人の忙しさが伝わるからではないでしょうか。
つまり「今、とても忙しいの。取りあえず要件だけ伝えておきます!詳細はのちほど!」と言われている気分になるからですね。何かこの件よりも重要で急ぎで大切な用事があり、今はそちらにかかり切りなので、こちらの案件はあとで詳しく話すけど、とりあえず、要件だけは押さえておいてね、と言われているような印象なのです。
そして「取り急ぎ」と言われた方は、後で重要な話が来るので、今はこの件は保留状態なのだと思ってしい、メールをよく読まない危険性さえあります。
かといって、忙しいのは事実です。この場合はどう書いたら良いのでしょうか。
- まずは、メールにて失礼致します。
「取り急ぎ」を「まずは」に変えるだけで、こんなに印象が変わります。
書いてあることは同じです。「詳細は後回し」という事実も同じです。しかし「まずは」と書くことで、「一刻も早くお伝えしたかったんです!」感さえ伝わるから、日本語、特に大和言葉って素敵ですよね。
お礼のメールなど、丁寧にしなければいけない場合、でも、急いで感謝の気持ちだけでも早く伝えたい、そんな時にはこんなフレーズはいかがでしょうか。
- 略儀ながら、まずはメールにてお礼申し上げます。
4・「ご自愛ください」は元気な人にだけOK
体調を気遣った結びの言葉は、基本的に元気な人に対してだけ使うようにしましょう。
元気でない方が受け取った場合、ただでさえ弱っている体と心に、そして毎日精一杯自分の体と向き合っているところに「体を気遣ってあげてね」というメッセージは酷なのです。元気な人なら大丈夫です。体への気遣いのメールは、感謝する余裕がありますし「あなたもね」と言い返す気力もあります。
なお「ご自愛ください」は「体を大切にする」という意味があり「体」が重複するので「お体ご自愛ください」とは言いません。「ご自愛」の場合は「体」という言葉は不要なのです。
5・身体が弱っている方へは、むしろ一般的な挨拶で
冒頭の「頑張って下さい」は「益々のご活躍をお祈りしています」「これからも楽しみにしています」というように、相手に何かをさせようという言葉ではなく、こちらが「活躍を楽しみにしている」という気持ちを素直に伝えるのが良いようです。
- それではまたお目にかかれるのを楽しみにしています。
こんな普通の挨拶が、健康を病んでいる人にとっては、心強く感じるのではないでしょうか。
6・元気な方への結びには季節の言葉もプラス
体を気遣う結びにしたい場合「ご自愛下さい」に関しては元気な人を対象に、季節の言葉を添えて書くと良いでしょう。
「寒さ厳しき折」「暑い日が続きますが」などの言葉です。
- 寒さ厳しき折、どうぞご自愛下さい。
7・おいといくださいはとりわけ目上の人にOK
- 寒さの緩む季節ではございますが、どうかお身体おいといください。
「おいといください」という素敵な大和言葉があります。こちらは「体を厭(いと)う」という言葉からできていますが、年配の方に送る時には重宝です。「お疲れ様」を「お疲れの出ませんように」と言い換えるように、「ご自愛ください」を「おいといください」と言い換えるのも良いでしょう。ただし「厭う」は漢字で書かないほうが印象がいいでしょう。意味は違うのに「厭(いや)」と同じ漢字を使うからです。また「体」を「身体」にすると印象がさらによくなります。
何を伝えたいのかを結びの文できちんと伝える、相手を気遣う言葉に気をつける、その際、女性は大和言葉を使うと美しく伝えられる、この3点を覚えておきましょう。
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