不倫、男ってやっぱりずるいよね。でも、私も【不倫の精算#34後】
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
前編はこちら>>>不倫「コロナで会えない」二人に起きる悲劇【不倫の精算#34後編】
その既婚の彼と不倫関係になったきっかけは
Qさんと既婚の彼が肉体関係を持ったとき、「旦那とはずっとレスだし、久しぶりだから燃えちゃった」と恥ずかしそうに話すのを聞いていた。
精力的に行為を求める彼との時間について、“報告”は何度かあった。
いつもひとりでバーに来る彼は「息抜きで」と口にした。同じく家庭から解放されるわずかな時間を楽しみたかったQさんは気持ちがよくわかり、お互いの家や仕事のことなどを打ち明けあううちに親しくなったそうだ。
それぞれの配偶者がいない場所で、男と女が意気投合すればどうしても“そっち”に流れる雰囲気は生まれる。
外見的にもQさんの好みだった既婚の彼は、“意図せず“漂う甘い空気のなか、「あなたももっと休んだら」とささやいてホテルに行くきっかけを作った。
一度寝てしまえば忘れていた情欲が噴き出すのは自然なことで、それからしばらくは、バーに行くと嘘をついて彼と短い逢瀬を繰り返していたQさんだった。
LINEのIDは交換していたが、「万が一のことがあってはいけないから」と彼が言い、メッセージのやり取りは数日おきにし、ホテルに行くときはバーの名前を出すのが合図だった。
不倫を始めることは意外に簡単だが、そのあとは
同意さえあれば簡単に始められるのが不倫であり、何よりも心を熱くしてくれる刺激的な時間を重ねるほど、相手に向ける愛情と期待は大きくなる。
続けてくれるでしょう? 会いたいと思ってくれるでしょう? 抱きたくなるでしょう?
それが「しばらく会わなくても大丈夫」の“信頼”であり、Qさんは彼も同じだと思っていたのだ。
だが、不倫こそ実は「相手しだいで簡単に終わるもの」が現実で、温度差を感じる相手を目の前にして、やっとQさんは向けられている情熱はその場限りでしかなかった、と気が付きはじめていた。
「何があったのか」ではない、「そうなっただけ」が理由
「もう少し様子を見たほうがいいとは思うけど、正直に言って、諦めるなら今だよね」
言葉を切ったQさんの様子にそう言うと、
「そうだよね、やっぱり。
何か、恥ずかしくなっちゃって。
私がひとりで盛り上がっていたのかなって」
耳に届くため息は、「自分だけが関係に期待していた」ことへの後悔が感じられた。
Qさんは、「気のせいじゃない?」「諦めずにまた連絡してみれば?」という言葉も、おそらくは待っていただろう。
第三者に否定してもらえたら、まだ希望を持てる。混乱するとき、人は誰かの言葉を頼る。
だが、不倫については“今の状態“のみが答えであり、相手の姿に温度差を感じるのであればそれが本音と捉えるのが、深入りして傷を負う前に引ける勇気になる。
Qさんは、「何かあったのかな」とは口にしなかった。“心変わり“の理由を外に考えてはいなかった。
それが正解で、「何かあったのか」ではない、「そうなっただけ」が不倫の現実なのだ。
不倫を一方的に終わらせたがる既婚男性の「ずるさ」
「でもさ」
ぽつんと、Qさんがつぶやくのが聞こえた。
「その気がなくなったのなら、一言伝えてほしかったよね。
私から連絡しなかったら、このままフェードアウトだったってことでしょ?」
「それができるのが不倫だもの」
すぐに答えると、Qさんがすっと息を詰めるのがわかった。
それが不倫。
関係を続ける熱意がなくなったことをわざわざ伝える誠実さなど、見せる必要もなければ責めを受ける立場でもない。
フェードアウトにして、連絡先をすべてブロックして、バーに行かなくなれば既婚の彼の「日常」はもとに戻るのだ。
Qさんの気持ちは置き去りにして。
「……うん。やっぱり、諦めるのが一番いいね」
力の抜けたQさんの声は、「既婚の自分も、彼と同じことができるのだ」という実感を伝えていた。
「会えない時代に不倫する妻」あまりにも辛い現実とは【不倫の精算#33】
既婚のPさんは40歳、はじめて挨拶を交わしたときから清潔感のある装いと柔らかい笑顔が印象的で、会話のテンポも合うので個人的に親しくなるまで時間はかからなかった。
約束から会うまで、テンションの変わらない様子は安心感があって、お互いの家庭や夫のこと、婚外恋愛や不倫についてなど、いろいろな話題で盛り上がる時間が楽しかった。
そんなPさんに変化が見えたのは、新型コロナウイルス感染症が流行して自粛生活が当たり前になった頃だった。続きは>>>こちらから
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