寝起きに「寒さ」を感じると高血圧リスク?40代がこの季節に気を付けるべきことは
3月に入ってようやく春の気配を感じるようになりましたが、まだ朝晩は冷え込みますよね。みなさんは朝、起きたときにエアコンを付けていますか?
実は、特に朝起きるときに室温が低すぎると血圧が上がりやすく、身体に負担がかかるといわれています。
「高血圧なんて、自分はまだまだ大丈夫」と思った人! ミドル世代になるに連れて、高血圧のリスクは自覚症状がないままに上昇しているそうですよ。
今回は、医師の解説の下、血圧上昇リスク対策をご紹介します。
ミドル世代に差し掛かったら血圧を意識すべし
そもそも、血圧上昇のリスクにはどんなことがあるのでしょうか。一般社団法人日本臨床内科医会によれば、血圧が高いほど、脳卒中の危険が高いことが分かっているそうです。また脳以外にも、高血圧は、多くの臓器・部位にさまざまなかたちで悪影響、つまり合併症が現れるといいます。高血圧を治療するのは、そうした合併症を未然に防ぐためだというのです。
「高血圧は自覚症状がありません。高血圧を発症するタイミングはもちろん人それぞれの体質やライフスタイルにより異なりますが、男女ともに50歳を超えると半数以上が高血圧になるといわれています。しかし、ミドル世代に差し掛かったくらいで発症する人もいます。高血圧は上手に血圧をコントロールすることで、脳・心血管疾患のような重大疾病の発症リスクを下げることができます。男性は30歳から、女性は40歳から家庭での血圧計測を開始することを強くお勧めします」(島本先生)
まだ朝は寒い! 起床時の血圧上昇には要注意!
日本高血圧協会の理事長である島本和明先生によると、一日のうちで最も血圧が上昇しやすいタイミングが、朝、起きたとき。寒い朝、ふとんから出た瞬間に血管が収縮して血圧が上がりやすくなるそう。
「寝室から寒い廊下などに移動する際の急な気温変化の影響で血圧が急上昇することがありますが、部屋の移動だけでなく、起床時にも注意が必要です。暖かい布団から寒い寝室に出た時や、裸足で冷えた床に接した時などは血圧が上昇しやすくなります」(島本先生)
もう冬も終わりかな…なんて油断しがちな今こそ、うっかり”寒っ!”と毎朝血管に負担をかけてしまいそうですね。
暖房機器のタイマーを使い起床時の室温の調整を
起床時の血圧上昇を予防するには、どうすればいいのでしょうか。島本先生は、次のようにコメントしています。
「暖房機器のタイマーを使い起床時の室温を調整しておく、暖かい室内用の履物を準備しておくなどの工夫をすることで、血圧変動のリスクを下げることができます」(島本先生)
朝のエアコンによる暖房使用と血圧上昇の関係について、三菱電機とオムロンヘルスケアが実験を行いました。エアコンの入タイマー機能を使って起床1時間前までに寝室のエアコンで部屋を暖めた場合と、エアコンを利用しない場合について、家庭血圧を測定して血圧上昇を比較。
結果、エアコンを利用した場合の血圧上昇は3.1mmHg、エアコンを利用しない場合は5.0mmHgとなり、「エアコン暖房を利用したほうが血圧上昇は1.9mmHg低くなる」ことがわかったのです。さらに、特に起床時の血圧上昇が大きい人の場合は、起床時にエアコンを利用した場合に、利用しない場合と比べて平均で5.3mmHg低くなっていました。
つまり、「起床前から室内を暖めることにより血圧上昇が緩和されやすい」ということもわかったのです。
血圧上昇対策として、タイマーで暖房を付けることは有効であるようですね。
脱水による血圧上昇リスクにも注意を!
また、血圧上昇を防ぐには、寝る前に水分をとっておくことも大切だといいます。そう話すのは、脱水に詳しい「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長の谷口英喜先生。
谷口先生によれば、睡眠中は脱水を起こしており、脱水を起こすと血液量が減少してしまうことから心拍数が上がり、不整脈の発生や血圧上昇の原因となってしまうこともあるそう。
そのため、寝る前にもお水を飲んでから寝る、朝起きたらコップ1杯のお水を飲む、などの対策を勧めます。
とはいえ、「夜寝ている間にトイレに行きたくなったら嫌だなぁ」と思う人もいるのでは? その場合は、水分・塩分・カリウムなどがいちばん無駄なく吸収されやすい濃度で入っている「OS-1」に代表される「経口補水液」をコップ1杯飲むのがおすすめだそうです。身体に無駄なく吸収されるほど、尿の頻度や量が減るそうで、寝る前に飲む水を経口補水液に変えたところ、夜中に起きなくて済むようになった、という人も多いそうです。
まだ寒い朝が続いているので、寝る前にタイマー予約でエアコンの暖房をセットし、水分を摂って、朝の血圧上昇を予防しましょう。
お話を聞いたのは…
島本 和明先生
日本高血圧協会 理事長、日本医療大学 総長
北海道小樽市生まれ。札幌医科大学卒業。平成8年札幌医科大学第二内科教授。平成16年~20年札幌医科大学附属病院病院長。平成22年~28年札幌医科大学学長。同年4月より日本医療大学総長、平成29年10月より日本高血圧協会理事長。専門分野は高血圧の疫学、病態、成因、治療に加え、生活習慣病とメタボリックシンドロームの研究。
谷口 英喜先生
教えて!「かくれ脱水」委員会 副委員長
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長兼栄養部部長
専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。著書「熱中症・脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック 改訂版」『イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本』
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