病院では教えてくれないがんの治療先「ここをチェックするべき」こととは【医師の本音】#3
「子宮頸がんかもしれません」、ある日突然そう言われたらどうしますか?
あるいは、乳がん、子宮体がん、卵巣がんなど女性特有のがん。
「がんのセカンドオピニオン」を中心に診察する医師・新見正則先生に「どうすべきか」心構えを教えてもらいました。
「女性特有のがん」と40代【医師に聞く】
子宮頸がんの治療方法には何があるのか?
アキ「もし治療に進む場合、どういう方法があるのでしょう?」
新見「明らかに進展したがんの段階では、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つを単独、もしくは組み合わせて行います。国によって主流が違い、欧米では多くは放射線療法。体の外から照射する場合もあれば、膣内からアプリケーターを使う『内照射』もあります」
アキ「日本ではどうなのでしょう?」
新見「日本では手術療法が主流です。早期の子宮頚がんであれば子宮頸部円錐切除術でしょう。異形性の段階ではレーザーで焼いてしまうこともあります」
詳しくは>>>日本産科婦人科学会
アキ「治療法はどう決めればいいのでしょう。たとえばレーザー照射か円錐切除かを選んでくださいと言われたら?」
新見「その前に、細胞診でクラスIVの場合、経過観察になるかもしれません。ですが、どの場合も絶対安心のゼロリスクはあり得ません。治療方針に悩んだ場合、ぼくがいつも言うのは、医師に『先生ならどうしますか? 先生のご家族ならどうしますか?』と聞くのがいちばんいいということです」
アキ「切除したあとの再発の可能性はどうなんでしょう?」
新見「可能性はあります。そもそも、年齢がある程度になるとがんは毎日5000個ほど体内で発生していると言われていて、それを免疫力で排除しているんです。今回処置しても将来また出てくる可能性があるので、たとえば生活リズム、嗜好品、喫煙など、がんの原因として思い当たることがあるならこれを機に変えたほうがいいです。不摂生がないのならばそのままでいいですよ」
私が「選ぶべき」がんの治療法と、そのための病院選びとは?
アキ「私が定期的にかかってきた婦人科の一つが出産した病院です。そこに行けばいいのでしょうか?」
新見「選べるならば、放射線治療を選べる病院に行くほうがいいです。なぜなら、ないところに行けば確実に手術になるからです。自院でなくとも連携する病院があって、放射線治療を案内してもらえればOKです。できれば放射線は体の外からの照射だけでなく、小線源による腔内照射までできる病院ならさらにいいのですが、できる病院は全国に約200院しかありません」
アキ「どうやって調べればいいのでしょう?」
新見「日本放射線腫瘍学会の一覧から、『実施治療内容に関する情報』を見てください。
>>>こちらからこれは国立がん研究センター中央病院の例です。いちばん下の「密閉小線源治療」が腔内照射のことなので、この場合は自院で実施が可能です。
こちらはNTT東日本関東病院。紹介体制があるという例です。これでも大丈夫です。
ですが、放射線治療はいうなればやけどをさせてがん細胞をやっつける治療です。いっそ病変部位をすっかり取ってほしいという思いがあるのなら、放射線治療をしなくていい。この項目のない病院でも何ら問題はありません」
アキ「すぐに治療法を決断できない気がしますが、そう言っている間にがんは進行していきます。とても焦りますし、死が近づいているような気持ちで不安です」
新見「がんは何年もかけてでき上がりましたので、慌てる必要はありません。数ヶ月遅れてもほとんど問題ありませんよ。ですから納得できるまで、しっかりと考えましょう。子宮がんも乳がんも、医療の選択は大変に難しい。副作用のあるなしも、医師が思うことと患者さんが思うことは違ったりします」
アキ「どういう点が違うのでしょう?」
新見「たとえば乳がんの場合でお話すると、代表的な薬剤治療は抗ホルモン剤、殺細胞性抗がん剤、分子標的薬の3つで、がんの種類ごとに使用する薬剤が異なります。医師は抗ホルモン剤なら副作用が軽いと説明しがちですが、抗ホルモン剤を使用する患者さんでは、多くは医原性の更年期障害に苦しみます」
アキ「女性ホルモンの分泌を強制的に止めると聞いたことがありますが、それですね?」
新見「はい。急に全力で更年期が始まるので非常につらく、患者さんにとっては全然軽くありません。でも、軽いと言われたからと我慢を背負い込んでしまいます。いっぽうで、医師は髪の毛が抜けないから軽くてよかったねと口にしてしまう。こうしたボタンの掛け違いは非常に頻繁に起きています」
つづき>>>医師が明かす「検査結果を聞くときの心得」って?
>>>こちらからご覧ください
お話/新見正則医院 院長 新見正則先生
1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。2013年イグノーベル医学賞受賞。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在はがん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。セカンドオピニオンのパイオニアとして次の仕事は「第三者がオンラインで参加する開かれた診察室」を広めたいと思っている。また漢方の勉強中に出会った世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙をライフワークにしている。
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