不倫の歓喜を知ってしまった。彼女はごくごく普通の主婦だったのに【不倫の精算#45】

2022.04.05 LOVE

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後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

 

「普通の主婦」の心の奥底に眠る不倫の歓喜

Bさん(39歳)は、会社員の夫とふたりの子どもを持つ「普通の主婦」だと自分で言う。

 

家庭の話になると頻繁に出るこの言葉に、最初は頷いていたがそのうち「どうしてわざわざ強調するのか」と不思議に思うようになった。

 

正社員の夫は年収500万、自分の実家の近くに一軒家を構え子どもたちも順調に育ち、Bさん自身は少し遠くのドラッグストアにパートとして勤務している。

 

160センチくらいの身長に少しぽっちゃりとした体型、髪型もメイクも「何年もコレ」と自覚があるほど変化はなく、普通の主婦である自分を特に違和感を覚えず受け入れているのだろうと思っていた。

 

会えば話題はいつも家のことで、家事や家族のこと、義実家との付き合いなど、考えてみれば「自身より周囲」が目立っていた。

 

そんなBさんから不倫を打ち明けられたときは、「まさかこの人が」という驚愕とともに「逸脱」という単語が浮かんだ。

 

「どうしても忘れられなくて」

 

と、額に手を当てて大きなため息をつくBさんからは、苦悩する様子が伝わったがどこか捨てきれない歓喜も見えていた。

 

瞳に宿るのは、闇ではなく光だった。

 

Bさんは、独身男性から「望まれて」肉体関係を持った自分に対して、興奮を覚えていたのだ。

 

「独身男性から求愛された」その事実に既婚女性はコロリとやられてしまう

その日、呼び出されたのはBさんの自宅で、きれいに片付いたリビングであたたかいチャイをいただきながら話を聞いた。

 

「あなたは不倫に詳しいから」

 

というLINEのメッセージを読んだときは、Bさんの周囲でそんな話があったのかなと勝手に思っていたのだが、いざソファに座って対面してみると状況はまったく違った。

 

目の前のBさんは、ファンデーションを塗った肌でジーンズにマスタード色のニットを合わせていて、普段通りの姿だった。

 

「実はね、お店に来るお客さんと不倫していて」と最初に言われ、のけぞるほどに驚いたがそんなこちらを見てもBさんは慌てず

 

「びっくりするでしょう、私が不倫するなんて。

でも、本当なの」

 

と低い声で続けた。

 

聞いてみると、半年ほど前からお店で見かける男性に声をかけられ、品物の場所を教えたり新商品の紹介をしたり、話しているうちに親しくなり、男性のほうからLINEでのやり取りを求められ応じたそうだった。

 

客と個人的に親密になることは、会社の規則には書かれていないが「ご法度」だと社員のなかでは周知されており、それをBさんは「私はパートだし」と深く気にしなかったそうで、男性に誘われるがまま休日に食事に行くようになった。

 

「私のことをね、素敵ですって言ってくれたの」

 

恥ずかしそうにそう口にしたBさんは、赤くなった頬を抑えるように手を当てて、

 

「そんなこと、夫からも言われないのよ」

 

と瞳に光を溜めながら続けた。

 

「今日の髪型も素敵です」

「かわいいですね」

「太ってないですよ、全然」

 

Bさんから聞く男性の言葉はあからさまな口説き文句であり、「そんなことないですよ」と必死に手を振って否定するBさんが目に浮かぶようだったが、その姿を封じて「ありがとうございます」と返せるようになるまで、この男性は食い下がったことも想像できた。

 

Bさんが褒められる自分を認めてしまえば、男性の言葉に「乗る」ことにどんどん抵抗が薄くなる。

 

そうやって距離が縮まるのは、独身者同士の恋愛ならまったく問題ないのだが、不倫となると話は別だった。

 

その高いハードルを超えさせるほどの魅力が、男性にはあったのだろうか。

 

Bさんは見たこともない表情で称賛のシャワーを浴びる自分を伝えてくれたが、その結果が不倫なのだとしたら、「喜んでいいこと」では決してないのだ。

 

男性の「目論見」はわかっていた。でも、嬉しさのほうが勝った

「寝る相手がほしい男がよく使う手だよね」という言葉を飲み込んで、

 

「そう言われたら、うれしい気持ちはわかるよ」

 

と返すと、カップを口に運ぶこちらをちらりと見て

 

「私が結婚しているって知って、遊び相手にしたくなったのでしょうね」

 

とBさんはあっさり答えた。

 

わかっていたのかと思わず目を見開くと、

 

「私みたいに特別きれいでも何でもない普通の主婦に声をかけるなんて、それが目的でしょ。

ほら、マンガとかでもよく見るじゃない、『旦那に相手にされなくなった主婦を口説いて不倫相手にする』ってやつ。

あの人もそういう感じだと思うよ」

 

と、こともなげに続けた。

 

Bさんの表情はいまだきらきらと光る瞳のままだ。

 

「……わかっていて、どうして」

 

不倫なんか、と言おうとして、被せるようにBさんの言葉が飛んだ。

 

「いいのよそんなこと、どうでも」

 

男の気持ちなんて、と言外に聞こえた気がして、カップを下げ改めてBさんを見た。

 

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