更年期の手の痛み。どのような病気の可能性がありますか?【医師に聞く】後編

手指に違和感を感じるとき、どのような病気の可能性があるのでしょうか。四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリーセンター センター長である平瀬雄一先生に伺いました。

<<前ページ

不調が起きる原因はホルモンバランスの乱れ

閉経を挟んだ前後約10年間の「更年期」。この時期には女性ホルモンの一種であるエストロゲンの急激な低下が起き、関節や腱の周りにある「滑膜」という組織が腫れます。すると、「関節が腫れる、神経を圧迫してしびれる」という症状が起こりやすくなるのです。

 

更年期の不調を和らげる効果が期待される「エクオール」

指の不調を含む更年期障害の症状の治療法として最も有効なのは、エストロゲンなどの女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)です。しかし、HRTはエストロゲンの低下を軟着陸させるもので、いずれはやめなければなりません。また、乳がんや卵巣がんの既往がある人には使えません。

 

そこでいま注目されているのが、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてつくられる「エクオール」という成分です。エクオールは、女性ホルモンと似た働きをする成分で、更年期症状を和らげる効果が期待されています

エクオールを摂取することで、手指の痛みやこわばりなどの症状を抑え、関節の変形を予防することが期待できます。

 

エクオールは、大豆食品を摂取すると体内で産生されます。しかし、体内でエクオールをつくり出せるのは、日本人女性では約42%と言われています。

エクオールが産生できる体質かどうかは、尿検査で調べることができます。


[エクオール検査 ソイチェック]

自宅で尿を採取し、ポストに投函。結果は約1週間でWEBで確認でき、充分な量のエクオールが作られているか分かる。4,180円(ヘルスケアシステムズ)

 

自分でエクオールを作れない人や、大豆を摂るのが難しい人は

大塚製薬 エクオール含有食品「エクエル(EQUELLE)」

自分がエクオールを作れない体質だと分かった場合、エクオールのサプリを飲みましょう。

そもそも、有効なエクオールを作るために必要なのは、納豆だと1日2パック(50g)、豆乳だと200cc、豆腐だと2/3丁。それを毎日摂取するのはなかなか難しいです。エクオールを作れる体質の人でも、食生活の改善が難しい場合にはサプリがおすすめです。

 

手指に不調を感じたら、3ヶ月エクオールを飲んでみましょう。

それで改善が見られない場合は、手の専門医にかかることをおすすめします。

 

関連記事:「指の違和感」放置すると変形の可能性も。手指に不調を感じたときにすべきことは?

 

お話/四谷メディカルキューブ手の外科・ マイクロサージャリーセンター センター長 平瀬雄一先生


四谷メディカルキューブ 手の外科・ マイクロサージャリーセンター センター長
東京慈恵会医科大学卒業
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学(Harry Buncke教授に師事)
米国デービスメディカルセンター客員教授
東京慈恵会医科大学 講師
米国サンフランシスコ市デービスメディカルセンター 客員教授
慈恵医大柏病院形成外科診療医長
埼玉成恵会病院形成外科部長(埼玉手の外科研究所)
2010年 四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリーセンターのセンター長に着任

日本手外科学会認定専門医・理事
日本形成外科学会認定専門医
皮膚腫瘍外科分野指導医
日本マイクロサージャリー学会評議員
米国形成外科学会Corresponding member
米国手の外科学会International member
米国マイクロサージャリー学会Associate membe

 

■主な著書

『私の手はなぜ痛いのか、しびれるのか、曲がっているのか』(2020年 幻冬舎)


四谷メディカルキューブ

手の外科
tel.03-3261-0401(代表)
Google mapで確認

東京都千代田区二番町7-7

(構成/文 星雅代)

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク