男性更年期はどう始まる?49歳から始まった驚きの症状、一部始終とは【100人の更年期#66】
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
あまり知られていないことですが、男性にもホルモン分泌の変化が起き、ゆるやかながら男性更年期が起こり得ます。今回は、語られざるその経過を52歳男性に教えてもらいます。
【100人の更年期#66】前編
ヒロシさん 52歳
飲食店経営/ミュージシャン。妻と二人暮らし。お酒が大好きで50歳までは1日ビール5リットル飲む日もしょっちゅうだった。
49歳。いつもと違う二日酔いに違和感を覚えた
大のお酒好きが高じて、40代後半に念願の居酒屋経営を始めたヒロシさん。店に立ちながら、1日にビールを5リットル、サワー10杯程度飲む日もありました。二日酔いにも慣れたもので、多少の具合の悪さならやりすごす日々でしたが、49歳頃から、これまでにない体調の異変を感じるようになりました。
「突然、滝のように汗がぶわっとまとめて噴き出てくるようになって。最初は二日酔いのせいにしていましたが、そのうち酔っていないときでも汗が出るようになって、これは違うなと思い始めました」
汗を流そうとシャワーを浴びても汗はひかず、加えて、熱いお湯を浴びると動悸が。本調子ではないと思い、異変を感じたら布団で横になるようにしましたが……
「布団に入っても汗は止まらなくて、すぐに布団がびしょびしょになりました。布団が濡れても交換する元気はなく、そのうち冷えた汗に体温が奪われて寒くなって、ぶるぶる震えてしまい、眠れない。こんな日が続きました」
気絶したように寝込んだり、突然不安が襲ったり、これっていったい……
ときには3時間程度しか寝られない日もでてきたヒロシさん。症状は徐々にひどくなり、月に1度のペースで、気絶したかのように一日中寝込んでしまうこともありました。
「寝落ちする瞬間、突然バクン!と胸部に不安が襲ってくるんです。何に対しての不安とかではなく、漠然と不安な気持ちになりました」
さすがに怖くなったヒロシさんは、異変を感じ始めて半年ほど経った50歳の秋、クリニックで診察してもらいました。
50歳で初めて知った男性更年期
「寝落ちするときのバクン!は胸部に感じるので、胸部のレントゲンを撮ってもらいましたが、特に異常はありませんでした。医師に『もしかすると更年期かもしれません』と言われ、そこで初めて自分が更年期かもしれないと意識しました」
これまで更年期にまったく関心がなかったヒロシさんは、この日を境にインターネットで更年期について調べるようになりました。
「調べれば調べるほど、自分の症状が更年期のそれにぴったりで。まさか男にも更年期があるなんて、思ってもいませんでした」
自分が更年期だと確信を持ったヒロシさん。妻と母親に更年期だと伝えたところ……
50歳、男性更年期を告白。妻と母の反応は…
噴き出す汗がとまらず、漠然とした不安が襲う日々が続き、医師から「更年期かもしれない」と告げられたヒロシさん。妻と母親に自分が更年期だと伝えたところ……
「二人とも、『まさかー!』と言いながらゲラゲラ笑っていました。いつも明るい二人らしいリアクションですが、やっぱり、男が更年期になるなんて信じられなかったみたいです。更年期経験者の母からは『上手に付き合っていくしかないからね』と優しくアドバイスをもらいました。二人が深刻にならないで笑いとばしてくれたことが、気分的にはよかったと思います」
「それって、ネタだよね?」理解されない男性更年期。先輩男性の反応は…
四六時中汗をかくようになっていたヒロシさんは、仕事中はいつも額にタオルを巻いていました。このため周りに「ラーメン屋」と呼ばれるようになっていました。
「みんな、ネタだと思っていたんです。思い切って更年期だと言っても、先輩世代の男性は『それは年取ったからだろ』と、信じていませんでした。それはそうですよね。昔は男性更年期という概念はなかったですから」
「更年期と付き合っていくしかない」覚悟を決めてとった行動は…
母親から「付き合っていくしかない」とアドバイスをもらったヒロシさんは、持ち前の研究心を生かして、更年期の症状を楽にする方法を片っ端から調べました。調理師免許を持っていて栄養素には詳しいことから、まずは食生活を見直すことにしました。
「酒飲みは自律神経に影響を受けやすいと聞いたので、自律神経を整えるのに役立ちそうなバナナやぬか漬けを多く食べるようにしました。妻も僕の健康を気づかって野菜やお酢ドリンクをよく買ってきてくれるようになり、一緒に食生活を改善しています」
さらに、更年期によさそうなサプリメントを飲んだり、リラックス効果があるマッサージサロンに行ったりして、常に心と体の調子を整えるようになりました。
「これは自己流の対策ですが、発汗や気分の落ち込み、だるさを感じたら、背中全面に冷たいシップを貼って寝ると、物理的なスッーとする気持ちよさとともに、気分も楽になります。シップなので持続するのは3時間程度ですが、3時間あれば入眠できます」
更年期が健康の大切さを教えてくれた
そして、誰もが「そもそも飲み過ぎじゃないの!?」とツッコミたくなるレベルのお酒の量も、健康のために減らしたそうです。
「今は、ビール1杯、サワーは以前の半分程度かな。惰性で飲まず、少し気分をよくしたい時など、飲むシーンを選ぶようになりました。まったく飲まない日も増えましたよ。さらに、あえて居酒屋へ出かけてノンアルコールのサワーを飲んで、我慢の訓練をしています。今では4~5日飲まなくても平気でいられるようになりました」
食生活の改善、サプリメント、お酒を減らすなどの努力を続けたことで、現在は1日中寝込むほどのひどい症状はなくなったそう。
「結果、更年期のおかげで酒の量が減り、生活が健康的になりました」
と笑うヒロシさん。これからも適度にお酒を楽しみながら、更年期と付き合っていくそうです。
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