円安値上げで消滅する仕事とは?「7つの軸仮説」で見る「この職場にいていいのか」問題

2022.07.22 WORK

日本の生産性が先進7カ国の中で最下位であることは周知の事実です。豊かな社会をつくるためには、無駄な「動き」を減らし、価値を生み出す「働き」の部分を増やし、生産性を高めることが必要です。

 

生産性を伸ばす国に日本が変わっていくには、どんな「働き」を私たちがすればいいのでしょうか?それについて考えるヒントになる『“軸”についての7つの「仮説」』をご紹介します。

 

  めざすものを持った生き方を志向する

人の生き方には、大きく分けて2種類あります。「めざすものを意識して生きる」という生き方と、何となく漫然と生きる生き方です。多くの日本企業では、指示されたことを確実にやり遂げるだけで会社は回る、ということが前提になっています 。 

 

ですから、自分の“夢”や“めざすもの”を持たなくても、仕事をさばくことはできるのです。 「めざすものを持って生きる」ことを志向するなら、自分の頭で考えることは不可欠です。なぜならば、「自分は何をめざすのか」ということと向き合い続けなければならないからです。

 

自らの主体的な意思で目的意識を持って生きる(めざすものを持つ)ということは、仕事と向き合う姿勢をしっかりしたものにすることでもあり、自分らしい人生を生きることをも意味します。自分なりの仕事人生をつくり上げるプロセスの最初の一歩でもあるのです。

 

  タテマエよりも事実・実態を優先する

日本企業の現場では、よく「失敗をしてはならない」という言い方をします。これは、失敗は起きるという現実(事実・実態)と乖離したタテマエの押し付けになります。失敗は許されないからといって、タテマエを押し付けるなら、かえって失敗は増えるのです。

 

「失敗をしてはならない」というタテマエが押し付けられると、「どうやるか」 にしか意識は向かわないのです。「なぜ失敗が起こったのか」の究明よりも、守らせるべき規制をどう作るかに集中してしまうからです。 これに対し、「人間は失敗する生き物である」という事実を冷静に踏まえた対応があります。これは、“あるべき論” ではなく、事実・実態に即した言い方です。

 

失敗したときに、タテマエではなく事実・実態を踏まえた姿勢を堅持していれば、「起こりやすい小さな失敗を題材にして経験から学ぶ」といういちばん大切で重要な機会が生み出されていきます。失敗を隠す対象から学ぶ対象に変えていくのです。

 

  “当事者”としての姿勢を持つ

“当事者”という言葉は、一般的には、ある事柄に直接かかわる関係者を指しています。ここで私が言う“当事者”とは、その事柄に対して、自分の思いを持ち、主体的・能動的に向き合っている人、内発的な動機を持っている人を意味しています 。 たとえば、飲み会などで、上司を批判することはよくある光景です。これは、自分が描いている上司の理想像から現実の上司を引き算して、問題点をただ指摘する“評論家”、あるいは“傍観者”としての姿勢です。

 

“当事者”の姿勢を持った批判というのは、上司と自分に共通の目的があり、自分自身もその目的に向けて、自分なりの思いでかかわっているという前提がなくてはなりません。 その前提のもとに、上司に対して、目的を達成するための問題意識を、自分を主語にして言える人こそが“当事者”だということです 。 

 

  常に“意味や目的、価値”を考え続ける

日本の企業の多くが環境の激変にさらされ、従来のビジネスモデルを転換していく必要に迫られている今、変化に対応していける変化対応能力が求められています。 そのためには、「そもそも自分はこの会社でどういうミッション(使命)を果たすべきなのか」といった「問い」と向き合う機会を持ち、問題の本質に迫る力を鍛えることが必要です。 

 

「常に“意味や目的、価値”を考え続ける姿勢」を身につけることで、新しい価値を生む仕事とそうでない仕事の区別ができるようになります。仕事に優先順位がつけられ、余裕をもって仕事ができる可能性は広がるのです。

 

  “拓かれた仮説”にしておく

「ロジカルな推論で導き出した“結論”を、中身をつくり込んだ設計図に 沿った工程で計画的に進捗させていく」のが、効率的な仕事のしかたと言われています。 このプロセスの中では、“結論”は「確定したもの」として扱われています。押し付けられた結論ありきだと、「どうせ言ってもムダ」と受け身の姿勢が生まれます。結論ではなく“拓かれた仮説”にしておくことで、関心を持っている人の意見を織り込むことを可能にします。

 

私たちが必要としているのは、主体的な“当事者”としての姿勢です。仮説にしておくことで、“当事者”として前向きにかかわろうとする部下は確実に増えます。「答えを部下と一緒につくり込み、試行錯誤をしながらゴールに向かう」という進め方が可能になってくるのです。 

 

  “めざすもの起点”で考える

目的に向かって判断をする際の思考姿勢は、大きく二つに分けられると思っています。“現状起点”と“めざすもの起点”です。“現状起点”は、「現状に込められているさまざまな制約条件を考慮に入れ、それをもとにできるかできないかをしっかり考えた上で、目的に向かうかどうかを決める」というものです。 安定した組織にありがちな制約条件を先に考える「現状起点の判断」です。

 

“めざすもの起点”は、「めざしている目的にどういう意味があるのかを掘り下げ、それがもたらす価値を、目的に向かうかどうかの判断をするときの材料にする」というものです。つまり、意味や価値があるなら、現状はさておき、目的に向かうことを優先し、「どの制約条件を克服すればいいのか」を徹底して考えるということです。

 

  衆知を集めて担当責任者が決める

日本の組織における意思決定は、通常、関係者全員の合意を形成していくプロセスを経て、いちばん上位の人が形式的に決めているのが実態です。この決め方の問題は、誰も本気で「決めた責任は自分にある」と思ってはいないことです。しかも、合議で決めるというのは、時間がかかります。特に将来の予測を含んだ意思決定をする場合は、誰も経験はなく、どの意見も「仮説」です。

 

議論は仮説同士のぶつかり合いになり、簡単に決着がつかないのが普通です。従来の合議では、時間はいくらあっても足りません。意思決定の遅さを解決するのは、「衆知を集めて、推進責任を持つことができる人間が、判断基準をはっきりと示しつつ、責任を持って一人で決める」という意思決定のしかたです 。もちろん、「一度決まったら、自分の意見と違っていても、決まった方向で進むことに協力する」というのが最低限のルールです 。 

 

■文/柴田昌治

株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー。1979年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。大学院在学中にドイツ語学院を起業した後、ビジネス教育の会社を設立。80年代後半から組織風土・体質改革の支援に本格的に取り組む。社員が主体的に協力し合っていきいきと働ける会社にしたい、という社長の思いがスピーディに組織の隅々まで伝わる会社づくりをめざしサポートを続ける。2009年にシンガポールに会社を設立、対話によるチームづくりを通じて日本企業のグローバル化を支援している。

著書に『なぜ会社は変われないのか』『なんとか会社を変えてやろう』『トヨタ式最強の経営(共著)』『なぜ社員はやる気をなくしているのか』『考え抜く社員を増やせ!』『どうやって社員が会社を変えたのか』(以上、日本済新聞出版社)など多数。

 

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