美容医療、どうやって選ぶのが正解?って聞いてみたら、皮膚科医が口にしたとんでもない一言は

コロナ禍で一気に常識が先に進んだのが美容医療ではないでしょうか。マスクで、あるいは在宅勤務の普及でダウンタイムを気にしなくてよくなり、より手ごたえのある美容施術に挑む人が増えましたよね。

自分にあう美容医療ってどう選べばいいの? みんなどう探しているの?

SNSバズ常連の若き恋愛評論家・ジェラシーくるみさんの新著『そろそろいい歳というけれど』からお届けします。

 

美との闘い

その刺客は気づかぬうちにやってくる。

ある日、ふと隣を見ると不気味な影が延びていて「あれ?」と思ったが最後、毎日毒を盛られるかのごとく、そやつは少しずつ体に蓄積し、私は鏡を見るたびに悩まされることになる。

あれ、ゾンビメイクをした覚えはないのに顔色がよくない。
あれ、怒ってもいないのに眉間にうっすら一本線が。
あれ、真冬でもないのに風呂場から出て3秒後には顔が突っぱり始める。パリパリとひび割れの音が聞こえてきそう。

こんな珍事件を何度か経験して、ようやく理解する。

ああ、あなたでしたか、ご評判はかねがねお伺いしております……。お肌の曲がり角なんてかわいらしいものではない。こやつは下降線をたどり始めた「老い」である。

まずいと思って、お風呂場の全身鏡の前に真っ裸で立ってみる。1グラムすら痩せていないのに、ついこの間までふっくらしていたデコルテ付近がごつごつしている。胸を張ると、「あばらだよ!」と声高々に主張してくる12対の肋骨。

腕のたるみも気になる。昔も立派なふてぶてしい二の腕をしていたが、ささみ肉のようにツヤとハリがあった。それが今は微妙に肉質が変わり、腕を体につけるとぶにゅっとつぶれるのだ。我が二の腕よ、いつの間に豚と んとろになった?

生まれたときからボリューミーなお尻だって。今までは丸くプリッとしていた気もするが、今は丸というより四角形に近く、うなだれた老犬の首肉さながら垂れてきた。

鏡と向かい合いながら悲しい間違い探しをすること5分。50前後でやってくると油断していた「加齢」のサインが、もうすぐそこにきているのだ。在宅ワークで引きこもり生活を満喫していたせいだろうか、健康診断で数年ぶりに測った体脂肪率は平均値ギリギリくらいの値を示していた。見たことのない数字に「この数値、まずいですよね?」と焦る私。「あ~でもこのくらいなら平均値の範囲なので……」と苦笑いをする看護師さん。

30手前で「とろとろ豚の角煮」ボディはごめんだ、と思い、すぐにヨガマットをポチり、クローゼットの奥からダンベルを掘り起こし、YouTubeの動画を見ながら家トレーニングを始めることにした。 グループトレーニングのフィットネスや24時間営業のジムに申し込まなかったのは、こんな体を大衆の面前にさらす勇気がないのと、すぐ幽霊会員になってサブスクの闇に落ちるだけという過去の苦々しい教訓を思い出したから。

YouTubeで「筋トレ お尻(気になる部位)」と検索すると、再生回数1000万超えのトレーニング動画がずらずら出てくる。ヨガウエアを着た同年代の女性がお手本の型を示してくれて、画面右上に回数や秒数のカウントが表示される、ありがたいフィットネス映像。慣れてきたら、パソコンでYouTubeの映像を小音量で流し、スマホでポッドキャストを流し、二刀流で楽しめるようになってきた。

腕や尻の肉質はまだ変わらないままだが、おうちトレーニングを始めて2週間、思わぬ副産物があった。縁側で丸まって寝る猫に負けないくらいの猫背&巻き肩に、わずかな改善が認められたのだ。最近まで姿勢を無理に正すと肩甲骨や腰が痛くなったり疲れたりして、姿勢の維持を諦めていたが、その疲労感も徐々になくなってきた。

背中のトレーニングは5分しかしていないので、たとえプラシーボ効果としても万々歳である。

さて、家トレは地味に続けるとして、問題は顔面である。

いつ美容医療に手を出すべきか……と踏みとどまっていた私を尻目に、同年代の友人たちは軽々とそのラインを超えて美容ライフを楽しんでいた。

1年半ほど前に「やばい、シミできたかも」と目の下のすっぴん写真をグループLINEに投下していた友人は、久しぶりに会うと顔面が発光したのかと思うくらい透明度が増していた。フォトフェイシャルに5回通ってシミやくすみを消滅させ、今は某デパコスでスキンケアラインを揃え、隔月でフェイシャルエステに通っているそうだ。

肌の透明度アップの秘訣はフォトフェイシャルと毎週のジム通いでの滝汗流し、そして深夜型から朝型へのワークスタイルのシフトだと考えられる。

フェイシャルエステはあくせく働く自分へのご褒美だけでなく、同じエステティシャンに継続的に見てもらうことで、自分の肌がどう変わったか客観的なコメントをもらう〝定期観測〟としての役割も果たしているらしい。

私も朝型人間を目指そうと早寝してみたが、0時から10時まで10時間睡眠を成し遂げただけだった。

また、外資系企業で鬼のように髪を振り乱しながら働いていた友人と4年ぶりに再会したときには、「久しぶり~!」と笑った彼女の輝くシルク肌に声が出そうになった。多忙な日々を送っていたはずなのに、むしろ若返っている……。

彼女が言うには、社会人1年目の終わりに、荒野と化した肌を変えるべく美容に目覚めたらしい。スキンケアは、皮膚科で専売されているものを揃え、ビタミンCの高濃度美容液(30mlで2万円! キャビアでも入ってるのか?)を毎朝晩に塗布。

ドクターズコスメとして名高いゼオスキンを定期的に使用し、肌の再生サイクルを整えているんだとか。

私からの質問攻めの終わりに、彼女はさらっと、「あと結婚式に向けてボトックスとヒアルと鼻もやった!」と付け足した。

おでこにシワが寄りやすいため、おでこにボトックス、小顔効果のためにエラボトックス、中顔面短縮のために頰にヒアルロン酸を打ったらしい。

どうりで顔がひと回り小さくなり、ほっぺたがJKのごとくパンッと張っているわけだ。

そしてずっと悩んでいた鼻の形も、評判のいい美容外科でお直ししたという。耳から鼻へ軟骨のお引っ越しだ。

夫には1週間の出張と嘘をつき、ホテルでリモートワークをしながらDT(ダウンタイム)を過ごしたのだとか。

あっぱれすぎる。

しかし美容医療やスキンケア商品が数多ある中で、自分の肌悩みに合致するものを一体どうやって選べばいいのか。また、肌に合わず新たな肌トラブルが出てしまったらどうするのか。

皮膚科医として大学病院・クリニックで働く友人に聞いてみたところ、「医者もどの治療法が合うかなんて一発の診察で完全にはわからないから、ピーリング剤とかレーザーとか色々試すしかない」との助言をもらった。

お医者さん自身も定番ものから最新の施術まで自分で色々試してみて、肌に炎症が起きた場合は様子見をして肌のターンオーバーを待ち、自らの肌の上で実験を行っているらしい。

「美」は単なる課金ゲーだと思っていたが、日々の努力と工夫、そして施術ガチャを繰り返す勇気の結実だったのだ。

はつらつとした美しさを身にまとった同年代の女たちは、何かに抗うように始めた美容やセルフケアをいつの間にか楽しんでいるようだった。肌や顔面に課金するだけでなく、毎週のワークアウトや趣味にも情熱を注いでいた。

「老け」に肩をトントンされてからというもの、私は鏡を見るたびに一喜一憂していた。

だが、そんな心もとないメンタルでは、歳を重ねていく自分とうまく付き合えないだろう。そろそろシワの1本や2本にジタバタするのは終わりにして、変わりゆく自分の容貌に合った手入れや身繕いを探求してやろうと、腰を据えてどんと構える胆力を身につけていきたい。

その人の気品やバイタリティ、意志の強さや茶目っ気は、肌とか体形といった単体のパーツではなく、佇まいや風格に表れるものだから。

途方もない美容の旅はまだ始まったばかりだ。

 

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