意外と盲点になってない!? 専門家に聞く「暖房の温度設定のコツ」とは
だいぶ寒さが増してきましたね。今年の冬は寒くなることが予想されるなか、暖房を使う頻度も高まると思われます。でも、寒いからといって温度を上げすぎると、大人よりも代謝がいいとされる子どもがいる家庭は、子どもが暑すぎて汗をかくという心配も。電気代が上がるのに子どもも快適でない、暖房代もかかるなんて、いいことなし!
そこで今回は、家族みんなの体感温度を意識しながら、暖房の温度設定を上手に行うポイントをご紹介します。
エアコン暖房の温度設定、どうしてる?
家族で暮らしていると、男女や大人と子ども同士で、エアコンの温度設定のことでもめること、ありませんか? よくあるのが、夏場のエアコンの温度設定。男性は暑がりで温度を下げたがる一方で、女性は冷え性の方も多く、一緒に部屋にいられないなんてこと、よくありますよね。
暖房についても同様で、男女や大人と子どもで体感温度が異なるため、温度設定を誰に合わせるべきかわからないという悩みを抱えている人たちは多いようです。
三菱電機 霧ヶ峰PR事務局が2022年10月、東京、大阪在住の男女600名およびその子ども(小学生)に行った調査によると、「冬場、リビングのエアコン暖房を使用する際、親、小学生のお子様、どちらの快適さを基準に設定温度を決めていますか」という質問に対して、「親」と回答した人は40.2%でトップに。
その理由を尋ねたところ、「大人と子どもで、快適だと感じる室温に違いはないと思うので」と回答した人が30.7%、「子どもにとって快適な室温が分からないので」が29.5%となりました。多くの家庭では、親基準で温度を決めているようです。
また、親基準で暖房を設定している家庭の子どもに、「冬、家のリビングにいて、『暑い』または『寒い』と感じることはありますか」と質問をしたところ、「ちょうど良い」と回答したのは35.3%と少ない結果に。
実際、子どもたちからは「温度が快適か聞いてほしい」「勝手に温度設定を変えないでほしい」、「ちょうどいい温度にしてほしい」、「言いたくても気持ちを伝えづらい」などの意見が出ており、エアコン暖房の設定温度について家庭内でうまくコミュニケーションが取れていないことが判明!
「まさにうちもそんな感じ!」とうなずいた人も多いのでは?
子どもと大人の体感温度は異なる!?
そもそも、子どもと大人とでは、体感温度が異なるのだそう。非営利団体コドモノミカタ 代表理事で、大学の保育講師や研究を長年行う井桁 容子さんは、次のように解説します。
「日中、子どもは室内室外問わず活発に動くので、大人と比較して運動量が多くなります。そのため、同じ部屋で過ごしていて大人が寒いと感じていても、子どもは暑いと感じていることがあります」
三菱電機が実施した試験でも、 子どもの温度感覚は大人より高い結果に。同じ室温でも大人より暑く感じていることがわかりました。
「室温に対する子どもと大人の主観評価」三菱電機調べ
また、子どもによっては寒さにも注意が必要のようです。
「日中は暑いと感じる子どもがいる一方、朝方は寒いと感じる子どもが多くいらっしゃいます。
寝つく際に子どもは汗をかきやすく、その状態で朝を迎えるため汗が冷えて身体を冷やしてしまうことがあります。また、子どもは大人と比較して感覚が敏感なため、寒さにも敏感に反応します」(井桁さん)
子どもがいる家庭の温度設定のポイント
そこで井桁さんは、「子どもは、自分の意見を大人に言えなかったり、自分自身と大人とで体感温度に差があることに気づいていないケースがあったりするため、大人が普段から子どもの様子をよく見て子どもとコミュニケーションを取り、柔軟に設定温度や服装等を変えることが重要です」と話します。
■子どもの様子を確認するときのポイント
・子どもの首や背中を触って、汗をかいていないかを確認
・おなかや首元等の胴体を触って、ひんやりしていないかどうかを確認
・唇が紫色になりかかっていたり、鳥肌が立っていたりする場合も身体が冷えている
また、子どもが暑いと言った場合は服装を大人よりも1枚少なくしたり、寒がっている場合は、保温性の高い肌着を着せてベスト等の着脱しやすい上着で工夫をするのも大切。
子どもは体温調節を手のひらや足の裏で行うため、室内では靴下を履かせる必要はないとのことでした。
ちなみに三菱電機株式会社の空調冷熱システム事業部 久田優美さんによると、「大人の足元を狙ってエアコン暖房の風向を設定すると、子どもの顔に気流が当たり、頭がボーッとしてしまうことがあります。子どもの体格(身長や体型)や姿勢などにあわせて気流の角度や風量を調整するのがおすすめです」とのこと! 気流にも注意が必要ですね。
ストレスや疲れをケアして冷えない配慮を
子どもはもちろんのこと、大人も体に負担がかからないよう快適な温度の中で生活しましょう。
ところで、大人にとって注意したいのが、ストレスや疲れをためること。ストレスや疲れによっても体が冷えてしまう!と医師の石原新菜先生の「『体を温める漢方』で不調を治す」(PHP研究所刊)に解説されています。
ストレスや疲れがたまってくると、それに対抗するために体は戦闘モードに切り替わろうとし、交感神経を働かせます。副腎からアドレナリンが分泌されて、全身の血管を縮めて血圧を上げるのですが、末梢の血流が減って、体は冷えるのだそうです。
漢方では精神的な不調は「冷え」と「水分」が原因であるという考えもあり、体の冷えが精神的な不調を引き起こすといいます。
冷えを放置するとうつなどの精神症状が出る恐れがあるので、ぜひ冷えないようにストレスや疲れも上手にケアしましょう。
これからますます寒さが厳しくなる一方。ぜひ家族みんなが快適な部屋の中で暮らせるよう、お互いを気遣いながらエアコン暖房の温度設定をするよう、心がけたいですね。
お話をうかがったのは…
井桁 容子(いげた ようこ)さん
非営利団体コドモノミカタ 代表理事
東京家政大学ナースリールームに 42 年間勤務し、東京家政大学非常勤講師も務め、保育の実践及び保育者養成に関 わりながら研究に従事。現在は「非営利団体コドモノミカタ」代表理事、「保育の根っこを考える会」主宰などを務めるほか、 保育実践の場から抽出した子どもの本質、質の高い保育の在り方について数多くの実践研究や講演、保育・子育て関係 著書多数を執筆。NHKE テレ「すくすく子育て」助言者「いないいないばあ」監修、そのほか保育 DVD 制作など幅広く活躍している。
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