40代、恋愛なんて何年ぶり…?年下の彼は【小説・あなたのはじめては、わたしのひさしぶり12】

(この小説の一気読みはこちら)

おひとりさま40代の私の部署に、年下の男性が配属されてきた。
歓迎会に誘っても「そういうの迷惑なんですよね」と言い放つ、協調性のない若い男の子、高坂くん。
ところが、ひょんなことからお互い「犬が好き」なことに気づく。
女性と2人で出かけたことすらなかったピュアな高坂くんと、私の関係は、少しずつ変化し……。

 

付き合うということ。

 

 

私と高坂くんが仲がいい、ということは、いつの間にかフロアの人に知られるようになっていた。週末一緒にドッグカフェに2人で行った。

これは、他の人から見れば、デートに思えるのだろう。

 

「最近、高坂くん、明るくなったよね」

いろいろな人が、私に意味ありげに声をかけてくる。

「犬に毎週会えるから、楽しくてしょうがないのよ。会社の人にも里親募集の画像を見せて回ったりしているでしょ?」

 

そう説明しても、みんな納得してはくれない。

「付き合ってるんでしょ?」

という顔をしてくる。

 

高坂くんも、どうやら同じ目に遭っていたようだった。

会社の人たちに、からかわれているらしい。

会社帰りに同じ電車に乗り合わせた時に、彼が私にこう言ってきた。

 

「付き合ってるの? って、最近、よく聞かれるんですよ。でも、付き合うって、どういうことですか?」

 

純粋な気持ち

 

私の顔が熱くなった。

こんな風にまっすぐに聞かれると、どう返事をしたらいいのか、本当に困る。

 

付き合うって、なんだろう。

恋人がいたことなんて、遠い昔のことだから、うまく思い出せない。

 

「付き合うってなんだろうね。多分、毎日連絡を取ったり、週末を一緒に過ごしたりする特定の仲の人がいるってことなんじゃないのかな」

「そうなんですか」

 

高坂くんはしばらく考え込んだ後で、口を開いた。

 

「じゃあ、僕たち、毎日連絡しているし、最近は週末は一緒にドッグカフェに行くし、付き合ってるようなものなんですか?」

「そっ、それは……っ」

ストレートすぎる聞きかたに、胸がドキドキした。

こんな風に周りに色々聞かれると、どうしても高坂くんを、意識してしまう。

 

「付き合うって、恋愛関係だと思うの。ほら、好きだって言い合ったり、手をつないだり。だから、私たちの場合は、付き合ってるというよりは、犬仲間みたいな感じかな?」

 

 

恋愛って…

 

心の中でふっと、高坂くんと付き合ったらどんな感じなんだろうと想像する。

恋愛に関して無知だから、きっとこんな風に、ストレートな質問をたくさんされるんだろう。

でもそんな関係も、楽しいのかもしれない。

 

恋愛って、何だろう。

以前は、ごく普通に恋人に連絡したり会ったりしていた。

それが当たり前のことだと思っていたから。

 

彼に対して気持ちさえさめなければ、今もそんな感じだったかもしれない。

それとも結婚していたかもしれないけれど。

 

「今まで、誰かと付き合ったことは、あるんですか?」

「あるわよ」

「どうして終わっちゃったんですか?」

「なんでだろうね。もうこの人とはすることがもう何もないなって思ったからかな」

 

一緒に色々なことを経験して、二人の歴史を積み重ねていたはずなのに。

ある時突然、もう終わった、と感じたのは、嘘ではない。

彼もおそらく同じ感じだったのだろう、私たちは次第に関わらなくなっていった。

 

高坂くんはそんな私をじっと見つめて、こう切り出してきた。

「僕たち、付き合ってみますか?」

 

 

 

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