モラハラ夫「あんたはもう生きる価値がないから死んで」新婚26歳女性に繰り出された前代未聞の暴言
はじめまして、夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。
私は1996年にリラクゼーションサロンのオーナーとして活動をスタート、途中でお客様の気持ちに沿った施術を行うために心理カウンセリング資格を取得しました。心身両面での癒しが実現するサロンとしてご好評をいただいたため、カウンセリング活動に特化。それからの20年以上でのべ8000人以上のカウンセリングをお受けしました。
私自身も夫のモラハラを受けた経験を持つため、ただ傾聴し離婚を勧めるだけでなく、関係修復、再構築、経済自立など皆様が心に願う夫婦の形、人生のあり方を実現するため、実効性の高いカウンセリングを提供しています。
今回からこのオトナサローネで、主に働く女性を視野に入れた「モラハラの現実」の連載を始めます。経済的自由度のある働く女性たちでも、やっぱり「この程度のことで離婚なんて」と対策を打てない傾向があります。愛はなくても情はある、というケースもあります。「自分も同じ体験をしているかも」と気づいた方が次にアクションを起こす手助けになれるようにと願っています。
【実録・となりのモラハラ夫】#1
親しい友人にすら「男性なんてみんなそんなものよ」と言われ、モラハラ被害者の心は折れていく
さて、「そんなひどい目にあっていたなら相談してくれればよかったのに」。そんなことも言われがちなモラハラの被害者ですが、現実はどうなのでしょうか。
中には思い切って周囲に相談したところ「なんでわざわざモラハラ男性と結婚したの?」「自分でその人を選んだのだから自分も悪いんじゃない?」など悪気なく言われてしまい、いわば心の2次被害に遭われる方もいます。
また、モラハラ男性の多くは外から見ると穏やかでよい人を装うことに長けているため、「まさか、あんな素敵な旦那様が?大げさよ」「男性なんてそんなもんよ、うちのダンナだって」と一笑に付される場合も。
付き合い始めからわかりやすいモラハラを堂々と行う男性だったら、誰だって結婚相手には選びません。モラハラ男性は結婚前はとても優しく素敵な紳士を演じているため、モラハラとわからずに結婚をしてしまうのです。また、モラハラ男性、略して「モラ男」は「そうしたハラスメントにニブくて逃げ出さない女性」を的確にかぎ分けます。
今回はそんな典型例のひとつ、結婚後にモラハラ夫だとわかったAさんの例をお話ししましょう。
ハネムーンに出かける空港で、優しかった彼が「モラ男に戻る宣言」を繰り出した
Aさんが結婚したのは26歳の時です。
「結婚前の夫は本当に優しい、理想の男性でした。言葉に出さなくても私の感情を理解してくれる。欲しいなと思うものをピンポイントでプレゼントしてくれる。そのうえサプライズが得意。高級車に乗り、オシャレなお店に連れてってくれ、いつもスマートな対応で。理想の旦那様を見つけたと心から喜んでいましたし、周囲にも自慢の旦那様でした」
しかし、夢のような結婚式が終わり、ハネムーンに旅立つ時に、夫が決定的なひとことを放ちました。
「やっと嘘をつかないで済む」。
その瞬間は何のことなのか理解できず、何か嘘をついていたのかな?と流してしまったAさんですが、新婚旅行中にその意味を知ることになります。
新婚旅行中、ツアーで一緒のご夫婦はみんな幸せそうに腕を組み、微笑みあって買い物や観光をしていました。
「でも夫は、あくびをしてつまらなそうにダラダラと歩いているだけです。腕を組むと『暑い』と振り払われ、私のペースを無視してさっさと先に歩いて行きます。昨日の結婚式であんなに優しかった夫が、どうしたんだろう?具合が悪いのかなととても心配しました」
免税店で品定めをしていても「金の無駄だ」と言わてしまいます。結婚前ならば手に取って見ているものをさりげなくチェック、後からサプライズでプレゼントしてくれていたのに。
「他の人達といる時は、私の肩を抱き、優しい微笑みをむけてくれます。でも、二人きりになると『めんどくせえ』『疲れた』しか言わないのです。ホテルの部屋で私が『マッサージするね』と夫の体に触れようとすると、すごい勢いで跳ね飛ばされて、触れ合いも拒否されました。なのに、夜の営みは夫の一方的なタイミングで毎晩始まります。一度は跳ね飛ばされていますから、夫から自分に触れてくれるということだけでも嬉しくて、嫌われていないんだと安心できました」
「目の前で豹変する人間を見たのはこれが初めてで、本当に怖かった、どうしようと」
暗雲立ち込める新婚旅行でしたが、帰国し、日常がスタートしてからは、結婚前ほどではないものの、優しい普通の夫に戻ってくれていました。やはり結婚式の疲れや慣れない海外で疲れていたのだろうと、新婚旅行中の夫の言動は考えないよう、Aさんは夫にもあえて言わないようにしていました。
しかし、再び事件が起きたのは帰国後しばらくしてからのこと。二人で久々の外食に行った時、お酒も入っていたAさんは「新婚旅行中のあなたは意地悪だったよね」と口にしてしまったのです。
「夫の顔色がみるみる変わっていきました。ボタンを押すと笑っていた人形がくるっと裏返って怒りの顔に変わる人形をご存知ですか? 本当にその人形そのもので、人が豹変する瞬間というのをリアルに見ました。恐ろしかったです」
続けて、夫は典型的なモラハラワードを繰り出します。
「俺が今まで優しくしてやっていたからっていい気になるんじゃない」
「誰のおかげでいい生活ができると思っているんだ」
「あんたみたいな女と結婚してやったのに感謝もないのか」
当時モラハラ知識のなかったAさんには、こうした夫のハラスメントワードがぐさぐさと突き刺さってしまいます。ショックで何も言えず、ただ「ごめんなさい」と声を絞り出すだけで精一杯でした。
怒りの治まらない夫は、まだ食事中にも関わらずにお会計を済ませて店の外に一人で出て行ってしまいました。Aさんは慌てて追いかけ、夫の背中に「ごめんなさい」と何度も謝りましたが、夫は目も合わさずに先を歩いて行きます。帰宅してからもずっと無視。
「自分の何がいけないのかもわかりませんでしたが、とにかく謝ることしかできないので、ただひたすら謝り続けました。翌日の朝も夫の機嫌は悪いまま、私が作った朝食も食べずに出勤して行きます。私は、夫のやっていることを理不尽だと思うこともせずに、どうしたら夫の機嫌が治るのか、夫の好きなおかずを夕食に並べようと何とかして夫の怒りを鎮めたい、それしか考えられない状態でした」
前編ではモラハラ夫がとる典型行動の入り口部分を解説しました。こうした態度に覚えがある女性はただちに「ハラスメントを理解してくれる」しかるべき人物または機関に助けを求めてください。後編ではこのような典型行動がどのように発展するかをお伝えします。
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