これが更年期のブレインフォグ?「物忘れ」で大きなミス、49歳で退職を余儀なくされ【100人の更年期#91】後編
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
前編『45歳で突然始まった「強烈な汗」。てっきり更年期のサインだと思ったのに、告げられた病名は』に続く後編です。
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【100人の更年期#91】後編
キョウコさん 50歳
夫と二人暮らし。体調の異変と親の介護が重なり仕事に支障が出たため退職。現在は体調をセルフケアしながら両親の生活サポートを続けている
介護が始まり仕事との両立に限界が。業務ミス連発でやむなく退職
45歳で急に始まった発汗。これが更年期のスタートかと受け止めていたのに、思いがけず自律神経失調症の診断を受けたキョウコさんですが、かといって仕事の量やストレス、完璧主義の考え方を急になくすことはできません。
度々ぶわっと吹き出る汗をやり過ごしながら生活していたところ、発汗の量や頻度はますます増え、加えてイライラや極度の倦怠感に悩まされるようになりました。月日の経過とともに諸症状はどんどんひどくなり、48歳のときには、仕事を終えて帰宅すると、呼吸以外は何もできないほどのだるさに襲われるようになりました。
「ちょうどこのころ父が入院して、病院からの呼び出し対応に追われるようになりました。実家の母は高齢者の一人暮らしなので、両親の生活サポートを私一人ですることになったんです。そうなるともう、だるいなんて言っていられませんよね」
キョウコさんは自身の体調不良を我慢しながら、両親のサポートと仕事を両立させていました。ところが、今度は物忘れが始まり、徐々に職場でミスを連発するようになってしまいました。
「必ず確認すべき患者さんの保険証を確認し忘れたり、患者さんに渡してはいけない書類を渡してしまったり……。たび重なるミスに、始末書を提出したこともあります。今までこんなミスをすることがなかったので、とてもショックで、不安になりました」
ミスを繰り返さないよう、作業内容を付箋に書いて自分のパソコンに貼ったり、何度も業務確認したりしましたが、それでもミスは起きてしまいます。責任を感じたキョウコさんは、49歳のときに退職しました。
更年期の不安や悩みは「誰かに聞いてもらうだけ」で心がほっと落ち着くんです
退職から1年ほど経ち、50歳になったキョウコさん。いまは、父親のサポートが一段落するタイミングに合わせて短期の仕事をするなどして過ごしています。発汗やイライラ、倦怠感は、退職後少しずつ薄れていったそうです。代わりに、最近は胃の痛みや食欲不振などの症状が出てきたといいます。
「やっぱり更年期による体の変化も関係あるんじゃないかと思っています。更年期の情報サイトや動画などを見ると、胃痛や食欲不振も更年期の症状にあるみたいなので、病院で診てもらいたいと思ってはいるんです。最近、生理時の経血量が増えたり日数が減ったりしてきたので、さらに気になっています。更年期外来を探したのですが、通える場所にはなくて。いまのところ、まだ病院へは行っていません」
通える範囲に更年期外来があればすぐにでも行きたいと思いながら、現在は同世代の友人と食事に行って更年期の話をしたり、好きなアーティストのコンサートに行って楽しい時間を過ごしたりしながら、やり過ごしているそうです。
「結局のところ、いまの体調不良に更年期が関係しているかは、はっきりしていません。最近はドライアイも気になり始めましたが、これも、更年期と関係するのか単なるスマホの見過ぎか、それとも他の原因なのか分かりません。ただ、誰かに心や体の悩みを話したりするだけで、気持ちが少し楽になります。今回、この取材で自分の経験を話せたことは、気持ちの面でいいサプリメントになりました」
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