ずっと受け身のセックスばかりだった、けど。【40代、50代の性のリアル】#2(前編)
「何度か結婚を考えたことはありました。子どもが小学校にあがるときとか、そういう節目のときに。彼はどの仕事に就いても長続きせず、『落ち着いたら籍を』といってはいたんですが、状況は何年も変わらないまま。それはそれで彼の人生だからいいんですけど、ただ、長いあいだ一緒に暮らしているうちに、わざわざ結婚する意味が見なくなったんですよね」
交際がはじまったころは頻繁だったセックスも、そのうち回数が減り、月に一度すればいいほうという状態が長くつづいた。それもリュウジさんが求めてきたときに「仕方なく」していたのだとアヤコさんはいう。
「家族になった彼とのあいだに、セクシャルな空気をあんまり漂わせたくなかったんですよね。それまでは男性が望めば受け入れてきた私でしたが、彼とは毎日一緒にいるから『いつでもできるよね』『今日でなくてもいいじゃん』という気持ちから断るようになり、そのうち彼も誘ってこなくなりました。最後の3年間ほどは完全にセックスレスでしたね」
そうしているうちに、リュウジさんがうつ病を発症した。
40代で知った劇的なセックス
新しい職場は出張が多く、激務に追われていた。そのせいだとしか思えない。病院に行くよう勧めたり仕事を辞めたほうがいいと助言したり、彼を支えようといたアヤコさんだが、当の本人は仕事を辞める気もなく、次第に症状を重くしていった。
自分の想いが通じず、彼の帰りが遅くなると「何かあったのでは」と気をもむ日々。けれど子どもの手前、自分が引きずられてはいけないと気を張ってもいた。
「そんなとき、仕事のつながりでユウスケさんに出会ったんです。彼女にフラレたばかりで落ち込んでいる彼を励ますうちに、好きになっちゃって。私、自分から人を好きになることがそれまでなかったんですよ。常に受け身で、好きになってくれた人とつき合ってきました。でも、彼は違った。お互いに徐々に距離感が縮まり、彼の傷も回復してきたのを間近で感じていました」
ユウスケさんとのセックスをふり返り、アヤコさんは「劇的だった」という。
「いままで自分がしてきたセックスが正直どうでもよくなりましたね。求められて『私でよければ』ぐらいの気持ちでしていたから、中身は重要ではなかったんです」
>>後編「ふたりでしている、という感覚をはじめて得た。これまでの男性たちと違ったことは」に続く
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