更年期トラブル「暑い・イライラ・眠れない」いつまで続く?更年期症状を抑える最新療法とは
更年期は、女性にとって必ず訪れる人生の節目。
イライラしやすくなったり、眠れなくなったりする症状は日常生活に影響を与えます。
更年期症状の治療法のひとつとして、ホルモン補充療法があるのをご存じでしょうか?
今回は、あんしん漢方薬剤師の碇純子さんに、ホルモン補充療法のメリットとデメリットについて教えてもらいました。
暑くて寝付けない! 寝入りばなの汗とほてり
ちえみさん(45歳)は、寝入りばなに感じる暑さとほてりに悩まされていました。
「眠りにつこうとすると急に暑くなるんです。とくに背中がほてって、からだ全体が汗だくです。なかなか寝付くことができず、毎日睡眠不足です……」
ちえみさんを困らせていたのは、更年期症状を代表するホットフラッシュでした。
「隣でグーグー寝ている夫を見るとさらにイライラして、暑さと汗がひどくなります」
産婦人科ですすめられたのは「ホルモン補充療法」
ちえみさんは、暑さと汗で寝付けない日々が続いていました。
「睡眠不足のせいで、起きたときの疲労感が日に日に増していました。昼間も仕事どころではありません。意欲が沸かないんです」
ある日、毎日元気のないちえみさんを見かねた会社の先輩が相談に乗ってくれました。
「それホットフラッシュじゃない? 更年期の始まりに多い症状よ。産婦人科に行ったほうがいいわよ」
先輩から助言を受けたちえみさんは、さっそく更年期症状に詳しい産婦人科クリニックを訪れました。
「よく似た症状で病院に来る方は他にもいますよ。ホットフラッシュは更年期に出てくる代表的な症状です。ホルモン補充療法なら、ちえみさんの症状もだいぶ楽になりますよ」
産婦人科の先生が言うには、更年期を迎える女性の多くが、ちえみさんと同じ悩みを抱えているというのです。
ちえみさんは先生と相談し、ホルモン補充療法を受けてみることにしました。
更年期症状を解消するホルモン補充療法とは?
生活に支障をきたすような更年期症状には、病院で適切な治療を受ける必要があるといわれています。
ここでは、ホルモン補充療法についてご紹介します。
1.ホルモン補充療法とは
ホルモン補充療法は、人工的に女性ホルモンを投与することで、女性ホルモンの減少により生じる症状をやわらげる療法です。
ちえみさんのような40~50代の女性は、卵巣から分泌される女性ホルモンが減少していきます。
女性ホルモンが減少すると、暑さに弱くなったりイライラしやすくなったり、眠れなくなったりする更年期症状があらわれます。
まさに、ちえみさんが訴えていたような症状ですね。
こういった方には女性ホルモンを補充する、ホルモン補充療法がよく効くのです。
ホルモン補充療法では、子宮の有無に応じて投与方法が異なります。
子宮がある場合には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの両方を使用します。
一方、子宮がない場合は、エストロゲンにより子宮内膜が増殖するリスクがないため、エストロゲンのみを単独投与します。
このように投与法は、子宮の有無に加えて、年齢や閉経など、患者個人の状態に応じていくつかの種類に分かれています。
2.ホルモン補充療法で改善できる症状
では、ホルモン補充療法により、どのような症状を改善できるのかご紹介します。
ホルモン補充療法は、主に以下のような症状に効果があるとされています。
・ホットフラッシュ
・不眠
・骨粗鬆症の予防
・デリケートゾーンの乾燥や萎縮防止
・狭心症や心筋梗塞などの予防
ホルモン補充療法を行うと、さまざまな不調の改善が見込めます。
ホルモン補充療法は保険適用のため自己負担も少なく、根本的な治療として期待されています。
3.ホルモン補充療法の副作用
更年期のつらい症状を改善してくれるホルモン補充療法ですが、胸の張りや不正出血、頭痛、めまいなどの副作用も報告されています。
副作用として胃もたれや吐き気も起こりやすいといわれていますが、そのような副作用が気になる場合は内服薬ではなく、貼り薬や塗り薬を活用するのもひとつの方法です。
これらを用いることで、胃腸の負担を軽減することができます。
また、副作用のひとつである子宮体がんは、ホルモン補充療法の際に黄体ホルモン剤を組み
合わせて服用することで発症予防できるとされています。
気になる乳がんのリスクですが、近年の研究ではホルモン補充療法によりリスクが上昇するとは一概にいえないことがわかっています。[*1]
さらに、ホルモン補充療法はまれに血栓症を引き起こす恐れがあります。
そのため、血栓症のリスクが高い喫煙者や肥満の方はとくに注意が必要です。
また、乳がん治療中の方、脳卒中や心筋梗塞の既往がある方などはホルモン補充療法を受けられません。
ホルモン補充療法を受ける際には医師と十分に相談し、しっかりと検査を受けましょう。
投薬中も乳がんや子宮がんの検診を受けることで、安全に治療を進めることができます。
[*1]乳癌診療ガイドライン2022年度版 閉経後女性ホルモン補充療法(HRT)は乳癌発症リスクを増加させるか?
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/e_index/cq2/
女性ホルモンが減少する更年期には漢方もおすすめ!
更年期症状の治療では、ホルモン補充療法や向精神薬以外に、漢方薬も標準治療のひとつになっています。
ホットフラッシュなどの対策には、
・ホルモンバランスを整える
・血流をよくして熱を運ぶ機能を改善する
・自律神経のバランスを整える
といった漢方薬で不調の根本改善を目指します。
心とからだ全体のバランスを回復させる漢方薬は、さまざまな不調を訴える更年期女性に対してとくに有効とされています。
また、漢方薬は自然由来の成分でできているため、一般的に副作用が少ないという特徴があります。
毎日決められた量を飲むだけでいいので、手軽に始められるというのも利点です。
<更年期のホットフラッシュにおすすめの漢方>
・加味逍遙散(かみしょうようさん):ホットフラッシュの他、気分の落ち込みやイライラが気になる方に。自律神経の乱れを整え、更年期をはじめとして冷えのぼせなどに用いられます。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):しっかりした体格でのぼせのある方に。月経痛やのぼせ、ホットフラッシュを伴う更年期障害に用いられます。
・女神散(にょしんさん):急なホットフラッシュの他、のぼせが強くめまいのある方に。気(エネルギー)と血(栄養)の流れをよくし、不眠や不安などの神経症、月経不順、更年期障害などに用いられます。
漢方薬を選ぶ際は、自分の体質・状態に合っているかがとても大切です。
うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
漢方薬局や病院へ足を運ぶのは敷居が高い、対面では相談しにくいという方は、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに一度相談してみるのもいいでしょう。
AI(人工知能)を活用しながら、お手頃価格で個人に効く漢方を見極め、自宅に郵送してくれますよ。
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ホルモン補充療法で快適な日常生活を!
ホルモン補充療法は、更年期症状を改善する有効な治療法のひとつです。
しかし、副作用やリスクがあるため、医師との相談や適切な判断が必要です。
また、ホルモン補充療法以外にも、適切な漢方薬を選ぶことで更年期症状の改善が期待できます。
自分に合った方法を見つけ、快適な日常生活を送ることができるようにしっかりと向き合っていきましょう。
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師 /修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
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●Medical Health CH:https://www.youtube.com/channel/UC7XLi90xVGs_NnKhowC0G2w
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