モラハラ夫の巧妙なワナで自己肯定感ゼロになった私が「自分を取り戻す」までの一部始終

2023.05.13 WORK

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。経済的に自立した「働く女性」であってもなお逃げ切れずに苦しむ夫のモラハラについて、長年に渡りカウンセリングを続けてきた私なりの対策をお伝えしています。

今回はモラハラ夫の悩みを友人に相談しても誰もわかってくれないと悩む31歳女性、4歳と2歳のお子さんをお持ちのR子さんのお話、前編『「あんなに優しいご主人を悪く言うの?信じられない」誰にモラハラを理解されないワーママ、起死回生までの顛末』に続く後編です。

 

周囲をたっぷり味方につけた夫。ついに公然と私を悪者にし始めた

R子さんは、夫のモラハラを相談することも諦め、夫の外面のよさをただ呆れて見るだけでした。よくここまでいい人に変われるなと思っていましたが、他者からいい人だと思われるのは少なくともわが子のためにはよいことだと考えようとしました。ですが、夫は事あるごとにR子さんをけなし、役に立たない、R子は何もしないとネタに使うようになってきました。

 

保育園の運動会の日にも夫はR子さんを悪者にしました。

 

「運動会の日、夫は準備担当だったのですが、自分の用意が遅くて遅刻しました。なのに、『妻の用意が遅くて遅れました。皆さん申し訳ないです。でも妻に準備を任せっきりの僕も悪かったんです。妻を許してやってください』と平然と言うのです。私はもう『いつものことか』と諦め、引き攣った笑顔で『ご迷惑をおかけしました』とただ一言言うだけ。これで済むならそれでいいと思っていました」

 

でも私は運動会の間も笑顔になれず沈んだ表情になってしまっていたようです。夫がそばにきてそっと耳元で囁きました。「今楽しまないと変だと思われるだろう。そんな暗い顔しないでもっと楽しめ、そうしないと家に帰ったらどうなるかわかっているだろうな」

 

夫の言葉に驚いたR子さん。一生懸命笑顔を作り、声も大きく張り上げ、楽しそうに見えるよう頑張りました。精一杯演技を続けた運動会はやっと終わりましたが、帰宅途中から夫の陰湿な暴言は止まりませんでした。

 

「あんたが暗い顔していたから、心配していた人がいる。まるで俺が悪いみたいに思われるだろう」

「なんであんたは人の事を考えられないんだ。馬鹿なのか」

「周りの人がどう思うか考えることもできないのか!」

 

延々と文句を言い続け、帰宅後もずっと不機嫌なまま。そして「あー疲れた」「早く風呂の用意しろよ」「夕飯は疲れたから肉にしてくれ」と言い出します。

 

「お肉がないから買い物に行かないと」と言うと、「早く買い物行ってこいよ、俺は疲れてるんだ」と言うなりリビングで寝転びテレビをつけてダラダラしだしました。

 

「私だって疲れているのに。私一人で買い物に行くと、運転ができないから歩いて行くことになる。スーパーまで車で5分だけど、歩くと15分。重い荷物を持つのも辛いので『一緒に車で行ってくれる?』と言いました。すると、『こんなに疲れている俺に向かってよく言えるな! 夫を労ることもできないのか!』と怒鳴られました」

 

心の中が空洞になっていく感覚に襲われ、ただ涙が流れます。しかし、夫はそんなR子さんを見て「泣けばいいと思っているのか、早く買い物行ってこい」と追い打ちをかけました。

 

R子さんが離婚を決意したのはこの時でした。

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R子さんが離婚を心に決めてしばらくたったある日のこと。

 

「保育園のママ友、K美さんがおずおずと、『ご主人はいつも優しい人に見えるけど、本当は家では違ったりしませんか?』と話しかけてきました。最初はごまかしていましたが、思い切って『どうしてそう思うの?』と聞いてみたところ、K美さんのご主人も我が家と同じような状況にあると言うのです。『ウチの夫は人前ではいつも優しいでしょう。でも、家では全然違うの。私もずっと悩んでいたの』と。まったく同じじゃないですか!」

 

最初は半信半疑だったR子さん。あまりにもモラハラを受けすぎたため自己肯定感が下がり、「こんな私のことをわかってくれる人なんているわけがない」と思い込んでいたそうです。しかし、同じように自己肯定感が下がりすぎているK美さんとお互いの話をしてみると、聞けば聞くほど2人はそっくり。うちだけじゃないんだと安心できたうえ、よそのご家庭の異常な話を通じて夫の異常さも少しずつ理解できるようになりました。

 

「私とK美さんは少しずつお互いを知ることから初めて、やがて励ましあい、夫の愚痴を言いあうようになりました。怯えずに本音を話せる場所を見つけたんです。もう私は孤立無援ではない、同じ思いをしているのは自分だけではないと気が付くと、これまではむしろ先回りして絶望していたことにも気が付きました。同時に、こんな人生は何とかして変えなければという勇気と、変えられるという希望が湧いてきました。誰かと支えあうことができれば、こんな状況からでも人は変われるんですね。K美さんも同じように感じたみたいで、おずおずとした物言いが少しずつ変わっていきました」

 

ついに、周囲の友達にも相談しながら離婚の準備を少しづつ始めたというR子さん。離婚を心に決めたことで、夫のやることなすことを真に受けずに9割がた受け流し、心をガードしながらあしらえるようになりました。

 

「数年以内に離婚しようと心に決めました。自分の未来を自分で決めたことで、自分自身が強くなれたのだと思います。最近は離婚後も子どもの教育資金に困ることのないよう資産運用も始めました。子どものことを考えるとどのタイミングがいちばんなのか、あとは会社での昇進も視野に入れて決めるだけです」

 

R子さんはK美さんという相談相手を得たことで人生が好転するきっかけを得ました。いま周囲にこうした相談相手がいない方は、専門カウンセラーに相談してみてはどうでしょう。私のようなフリーのカウンセラーも心に寄り添いご相談をお受けできますし、また、自治体の女性相談窓口にも担当者がいます。自治体名+モラハラ+相談で検索してみてください。

 

あなたの人生はあなたのもの、あなたが選択していいのです。理不尽なモラハラで悩んでいる方、あなたは絶対に悪くありません。

 

夫婦問題・モラハラカウンセラー 麻野祐香
モラハラ/HSP専門カウンセラー。モラハラで悩む方の心を守ることを使命とし、カウンセリングとTikTokライブでモラハラとHSPで悩む方のサポートを続けている。モラハラと夫は別れるべきと勧められることが多い中、離婚をしたくても事情があって別れられない人々の為に、モラハラ夫からの自分の心の守り方を発信。著書「モラ夫のトリセツ」「夫婦の気持ちすれ違い解消ドリル」「モラ夫のトリセツ2」https://lit.link/asanoyuka

 

つづく>>>「あんなに優しいご主人を悪く言うの?信じられない」誰にモラハラを理解されないワーママ、起死回生までの顛末

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