「お願い、私を見て…」不実な既婚男にきわどい写真を送信し続ける彼女の心の慟哭は【不倫の精算 ・リバイバル6】(後編)
私だけじゃない、という可能性に気がついたとき、I子の中に生まれたのは嫉妬ではなく諦めだった。
どんな写真を送っても、彼から返ってくるのは短い言葉だけ。ベッドでの交わりを予感させてくれるものだけ。そこに「愛」は見えない。
「別に、そこまで彼のことが好きなわけじゃないしね。こうやって馬鹿なことして楽しめればいいやって」
投げやりな口調で言うが、そこには「いつか飽きられる」という不安が見える。だから複数の女性が彼の側にはいるのだ。
彼女たちとたたかうつもりはない。神経をすり減らしてまで恋愛したいわけじゃない。ただ、体の欲望を満たして欲しいだけ。
写真を送り続ける彼女からは、そんな押し殺した声が聞こえてくる。
お互いの「欲」はいつまで続くのか。強くコーヒーカップを握る指にI子のわずかな葛藤を感じながら、次はどんな姿になるのだろうか、とさきほど見せられた写真を思い出していた。
本当に肉体関係だけで続く不倫も、もちろんあるだろう。
お互いに都合よく欲望を解消できていれば、不満もないかもしれない。
だが、I子はすでに飽きられる予感を抱えてしまっている。きわどい姿を見せつけることで彼の欲求を引きつけても、いつか終わるだろうという虚しさが、彼女の中に生まれた本当の葛藤だった。
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(本記事はリバイバル配信です)