「女として終わりたくない」レスの果ての不倫、貪欲な二人の夜【不倫の精算 ・リバイバル7】(前編)
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
【不倫の精算 リバイバル2023】#7 前編
半年前は輝いていたのに。彼女はやつれた姿で現れた
その日、待ち合わせのカフェに登場したIさんは、焦燥がひとめでわかるほど疲れた顔をしていた。
「大丈夫?」
注文を済ませて真っ先に尋ねると、ふらりと目線を揺らしながらこちらを見る。
「うん、ごめんね、心配かけて。
心臓の動悸がずっと止まらなくてね、
夜も眠れないの……」
ぼそぼそと話すIさんはろくにメイクもしていない。半年前に会ったときはきれいにカールされたまつ毛に乗るボルドーが印象的だったのに。
Iさんは38歳、結婚10年目の夫と子どもがふたりいる。
夫は公務員、Iさん自身もパート勤めをしており、小学生の子どもたちは元気で特に家庭に問題がないことは、以前聞いていた。
Iさんには現在不倫中の彼がいて、その人との関係が始まったのは半年前。
「もうこの人しか見えなくなった」
と電話で報告をもらったとき、その切羽詰まった声色に彼女のなかでくすぶり続けている葛藤が見えた。
不倫相手はIさんが勤める会社の上司。3歳年下の35歳だが、熱心に仕事の説明をしてくれて、パート勤めの彼女にも優しい言葉をかけてくれるという。
そんな人と関係を持ちたがっていた彼女はずっとアプローチを続け、それが叶って幸せなはずだった。でも、今はその選択に苦しんでいた。
▶「女でなくなる」のが怖すぎて
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