出会い系の既婚者でもいいから、自分を求めてほしい…36歳女性の苦悩は【不倫の精算・リバイバル】#11 後編
そのとき、K子は
「こんな私、誰が相手にしてくれるのよ」
と口の端を歪めて笑った。
それが出会い系を続ける理由にはならないことは、本人が一番理解している。既婚男性が自分と会ってくれるのは、後腐れなく体の関係だけを楽しめるからだ。決して本気で自分を愛してくれているわけでも、先を考えているわけでもないことは、嫌でも実感するはずだった。
一度寝てしまうと、いつも関係は短命で終わっていた。それもK子を追い詰める事実のひとつだった。
「結婚してるオトコにすら、すぐ愛想尽かされるような私なのよ。独身なんて無理じゃない」
背中を丸めてスマホを握る指に力が入った。出会い系も、結局モテない自分を改めて思い知る瞬間の連続だったのだ。
「そんなことないって……」
言いかけて、後に続く言葉が思いつかなくて止めた。「誰からも相手にされない」自分を、誰よりも知っているのはK子自身なのだ。
こんなこと、いつまでもは続けられないだろう。K子の中に生まれた飢餓感は、既婚男性では決して埋まらない。それでも、まるで蟻地獄のようにK子は求め続けるしかないのだ。
孤独から逃れるために、出会い系を使うという人は現実に大勢いる。
それはつかの間の触れ合いであって、独身同士なら確かに新しい関係へ発展する可能性もあるだろう。
だが、相手が既婚者である限り、幸せな結末より重いリスクのほうが事実であり、K子の孤独も飢餓感も、深まる一方になる。
そこから目をそらし続ければ、本当に「誰からも相手にされない」自分を消費していくことになるのだ。
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