「飲み代」は「のみだい」じゃない⁉簡単なのに読み間違える熟語9選(前編)

2023.06.16 WORK

「重版出来!」という速報を読んで、「○○さんの本、じゅうはんできだって!すごいね!」と伝えてくれた友人。ツッコミどころ満載でしたが「へー、すごいね!」と流しました。こういう言葉の訂正って、人間関係に響くので、難しい。だからこそ、皆さんには、正しい読み方を知っていてほしいと思う今日この頃です。
今回は、誰もが知っている漢字を使っているのに、誤読の多いものを選んでみました。

 

1・著す

読み間違いの例

ちょす、しるす

正しい読み

あらわす

意味

書物を書いて世に出すこと。

説明

小学校の漢字テストでよく出題されます。6年生で習う漢字で、私も作問しています(笑)

 

2・一見の客

読み間違いの例

いっけんのきゃく

正しい読み

いちげんのきゃく

意味

初対面。初会。

説明

「いっけんのきゃく」では意味が分かりません。「いっけん、客に見える人?」となりそうですね。たしかに「一見」は「いっけん」とも読みますが、「~の客」や「~さん」とした場合は「いちげん」です。元々遊郭で、その遊女に初めて会うことを言いました。今ではむしろ格式の高い店に対し、自分を下げて「この店は一見さん(いちげんさん)はお断りかな?」などのように使います。

 

3・気色ばむ

読み間違いの例

きしょくばむ

正しい読み

けしきばむ

意味

怒ったさまが表れる。意中をほのめかす。様子を顔色にあらわす。気取る。なまめかしい様子をする。

説明

現代では、怒りで顔色が赤くなった時に使うことが多いです。「批判されて気色(けしき)ばんだ」のように使います。「きしょく」と読むのは、おそらく「気色悪い(きしょくわるい)」から来ているかと思われます。「気色悪い」は「きしょくわるい」で「けしきわるい」とは読みません。怒った時に使う言葉なので、読み間違えてさらに怒りを買うことのないようにしたいものです。

 

4・重版出来

読み間違いの例

じゅうはんでき

正しい読み

じゅうはんしゅったい

意味

重版分の本が刷り上がり、書店に搬入されること

説明

2016年にテレビドラマ化された漫画『重版出来(じゅうはんしゅったい)!』を知っている方は間違わないかと思いますが、読めない人も多いのではありませんか。「出来」とは事件の起こること、物事ができあがることを表す言葉で「珍事が出来する(しゅったいする)」「近日出来(きんじつしゅったい)の予定です」のように使います。「出来」は「でき」とも読みますが、前後の文章から読みを判断した方が賢明ですね。

 

5・飲み代

読み間違いの例

のみだい

正しい読み

のみしろ

意味

酒を飲む代金。酒代。

説明

この「飲み代(のみしろ)」を「のみだい」と読むのは、慣用的なものになっていますが、辞書には「のみしろ」の方しか載っていない場合もあります。意味は「酒代(さかだい)」と同じ。酒代のように、代金を表す場合「○○代(だい)」と使うことが多いので、「飲み代」も「のみしろ」ではなく、だんだんと「のみだい」に変わっていったと思われます。

次のページ▶▶「一入」ってなんて読むの…?簡単なのに読めない漢字をこの機会におさらいしておこう!

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