間違いやすい日本語「いやがおうにも」。正解は?

2017.08.28 WORK

夏真っ盛り。甲子園もいよいよ大詰め。最近の高校野球は、スター選手も揃っているので「いやがおうにも」盛り上がります!

「え?『いやがうえにも』が正しいの?何それ?使ったことない!」そんなあなた。こっそり読んでしっかり勉強してくださいね。

 

 

文化庁の平成26年度「国語に関する世論調査」の結果では、この「いやがおうにも」の誤った使い方が取り上げられています。

文頭で取り上げた、「いやが○○にも盛り上がります!」ですが、調査によると、

  • 「いやがおうにも」を使う42.2%
  • 「いやがうえにも」を使う34.9%
  • 両方とも使う3.8%
  • どちらも使わない13.9%
  • 分からない5.3%

参照
平成26年度「国語に関する世論調査」の結果について
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h26_chosa_kekka.pdf

 

 

正解は「いやがうえにも」

この調査の分析を見ると、本来の言い方とされる「いやがうえにも」の割合は、やはり50代以上が一番高く、4割台前半となっています。一方、誤りである「いやがおうにも」の割合は 20~30代が他の年代より高く、5割台です。では40代ではどうかというと、「いやがおうにも」が44.9%、「いやがうえにも」が31.5%で、誤った使い方の方が多い状態です。

 

 

「いやがうえにも」と「いやがおうにも」の違い

「いやがおうにも」は、そもそも「いやがおうでも」が正しい言い方。漢字では「否が応でも」と書きます。意味は、「なにがなんでも」です。つまり「否(NG)でも、応(OK)でも」という感じ。「有無を言わさず」と同義語です。

 

  • 先輩が行くと言ったのなら、否が応でも行かないとね。
  • 男だけの職場は厳しい。否が応でもタフになるわ。
  • コンサートにまさかのゲスト登場で、会場は否が応でも盛り上がった。

漢字にすると分かりやすいですよね。ところが、話し言葉となると、「いやがおうでも」と「いやがうえにも」が混同されます。だいたい、日本語は意味が大きく違うのに似ている言葉が多すぎる気がします(笑) この言葉が使われている文献を検索しても、間違って使われているものが出てくるくらいです。

 

では「いやがうえにも」はどう書くのでしょうか。なんと「弥が上にも」です。びっくりでしょう?(笑)「弥」は「ますます」という程度を表す漢字です。そこから「なおその上に」という、強調の意味を持ちます。

 

  • ヒット曲を連発したアーティストが「命をかけた」と言う新作。弥が上にも期待は高まります。
  • 日本初上陸の専門店がいよいよ明日オープン。ファンとしては弥が上にも盛り上がっています!
  • テーブルに置かれたハンバーグ。見た目だけで美味しそうなのに、ソースをかけたらジューッと!弥が上にも食欲が増しました。

この「弥が上にも」には、「否(NG)でも、応(OK)でも」という意味はありません。「ますます」という意味です。

 

 

ではどう使い分ければいい?

違いが分かったところで、具体的にどうしたら間違わないか教えます。まず、漢字で覚えることが秘訣。「否が応でも」か「弥が上にも」です。「否が応でも」の場合は、「否(NG)でも、応(OK)でも」で覚えると良いでしょう。また、「否が応でも」は無理矢理な感じがするのとは対照的に、「弥が上にも」は「ますます」という意味なので、主に「弥が上にも盛り上がる」のようにポジティブな盛り上がりを表現する時に使います。

 

 

他にもそんな言葉ありそう……

40代の人が、分かれ目となる、言葉の誤用。他にどんなものがあるのか少し気になってきたと思います。あと1つ簡単に説明しますね。

 

 

「煮詰まる」と「行き詰まる」

これも語感がとても似ていますね。「煮詰まる」は「結論の出る状態になること」です。つまり良い状態。
「行き詰まる」は反対に「八方ふさがりの状態」のこと。つまり悪い状態。

 

そう「煮詰まってきた」は「イイ感じ。もうすぐ結論にたどり着くね!」という時に使います。

 

例:七日間に及ぶ議論で計画が煮詰まった。

この例文で、40代では本来の意味である「結論の出る状態になる」を選んだ人が35.7%、誤った意味である「「結論が出せない状態になること」を選んだ人が59.1%で間違えて覚えている人が優勢でした。

 

参考

平成25年度「国語に関する世論調査」の結果について
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h25_chosa_kekka.pdf

こちらも、「煮詰まる」と「行き詰まる」のように、漢字で考えるとイメージがしやすいでしょう。その際、煮過ぎてしょっぱくなってしまった煮物を思い浮かべず、美味しく煮詰まったビーフシチューや大根の煮物などを思い浮かべるといいかもしれません。

 

言葉は変化するもの。もしかしたら誤用の方が正しい意味になる時代が来るかもしれません。しかし、このように漢字に直したときに違う場合は、語源も含めて、正しい用法の方を覚えていて損はありません。女性のたしなみとして、教養として、頭に入れておきましょう。

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