がんは怖い。がんにかかると何が起きるのか?これからリスクが上がる40代50代女性が「知っておきたい」こと

がんはかつて、余命宣告と捉えられていました。しかしこの20年で治療奏効率は向上、治療法の選択肢も増え、「共存しながら日常生活を過ごしていく病」の一つになりました。

子宮がん、乳がんなど40代、50代の女性に見つかりやすい女性がんも、早期発見できれば手術と抗がん剤の併用で寛解が可能です。その後も「再発がある」前提で定期的に検診を行い、再発が見られたら再び治療を繰り返すというのが現在の標準的な治療。

2人に1人ががんに罹患する時代、私たちには「がんとつきあいながら生きていく」未来が早かれ遅かれ訪れます。

「そもそも、ぼくは乳がんの術後治療も本当に必要なのかなと思うことすらあります」。そう語るのは、外科医としてキャリアをスタートし、現在は乳がんを含むがん全般のセカンドオピニオン医として自由診療を続ける新見正則医院・院長の新見正則先生。

がんと付き合っていく未来の心構えを聞きました。

 

「がん家系」という言葉は遺伝だけを指さない。環境因も大きく関わるので誰しも無関係ではない

よく「私の家はがん家系で」という言葉を聞きます。あるいは「周囲にがんで亡くなった親族がいないから私は大丈夫」と考えている人もいるかもしれません。日本人ががんで死亡するのは、「がんに罹患できるくらいまで寿命が延びたからだ」という話も耳にします。そもそも、がんになりやすい家系というのは実在するのでしょうか。

 

「たとえば遺伝性の乳がん、大腸がんなど、明らかにその人が生まれつき持っている遺伝子と密接に関係あるがんもあります。アンジェリーナ・ジョリーが乳がんの遺伝子を持っているため予防的切除を行ったのは有名です。さらに、遺伝要素以外の面でも『がん家系』という言葉は正しい語です。家系とは遺伝子だけで決まるものではなく、生活を構成する環境までを含むからです」

 

ハワイに移住した日系人は2世、3世と世代を経るにつれ、糖尿病や心疾患など西洋型の生活習慣病を発症する割合が増えることが判明しています。遺伝子は日本人のものでありながらも、主に食生活の影響を受けて病気の「西洋化」が起きるのです。

 

「たとえば塩辛い味付け、喫煙や飲酒など、生活環境の多くは親から子へと引き継がれていきます。だから、養子に入ってきた人、つまり遺伝子が違う人でも、生活習慣を同一とする家族と同じ病気になることが知られています。食べ物や運動、場合によっては受けるストレスなど、生活全部が健康に影響を与えると考えていい。脂っこい食事のお家と一緒になるなら脂質代謝異常に注意しようなど、リスクが明らかになっていることについては用心しておくに越したことはありません」

 

誰でも日頃から気を付けられる「がんを遠ざける生活」とは?

そもそも「がん家系だし、がんリスクがあるかも」と気が付いている人は、1日でも長く「がんのない状態」を保つために何をしておけばいいのでしょう。

 

がんとは、正常な遺伝子に何らかの原因で傷がつくことで、コピーエラーのように発生し増殖すると考えられています。実は私たちの身体の中ではは毎日数千個とも言われるがんが発生していますが、同時にがんを抑制する遺伝子が働き、がん化した細胞を排除しています。この仕組みを活性化し身体を守るのが『免疫力』です。

 

「いま、コロナ禍の間になりをひそめていたさまざまな感染症が猛威を振るっていますが、これは3年間これらのウイルスと接触しなかった私たちの体の免疫力が落ちているのも原因の一つでしょう。たった3年でこれだけ落ちるのです。アスリートは試合の後など身体が疲弊を極めた直後は免疫力が落ちるため、感染症への罹患率が有意に上がることが知られます。ストレスや疲労で風邪をひきやすくなるのは気のせいではなく、当然のことです」

 

感染症もがん細胞も同じ免疫機構で身体から排除されるため、極端に言えば風邪にかかりやすい状態にあるときはがんも排除しきれないとき。そのため、日頃感染症にかからないように免疫力を鍛えることが、結果的にがんを遠ざける暮らしにも結び付きます。

 

具体的にどのような行動が免疫力をアップするのでしょうか。

 

「取材を受けるとあれをすればいいか、これはどうかとこと細かに質問されますが、そう聞きたくなる人はちょっと精進が必要です。というのも、細かく気にして行うことはすべてストレスになるからです。免疫力を下げる最大要因はストレス。なにごともテキトウにやる、でも毎日きちんと反復で行うことです。このバランスのとり方は人によって違いますが、自分にとってのストレスのない範囲を見極めることが非常に大切です」

 

何から手をつけていいかわかりにくい「免疫力を上げる」ためのステップ、3つ挙げるなら

失礼しました、精進します。では質問を変えて、先生がご自身の免疫力を保つために日ごろから実行していることを教えてください。

 

「1つめは散歩です。ぼーっとできるところがいいですね。でも、毎日散歩しようと決めてしまうとストレスになりますから、できる範囲で『何となくやる』ようにしてください。今日は25分しかできなかった、8000歩しか歩けなかったと落ちこむ人が出るのですが、そういうのはもうやめて、何となくやっていればいいです。時間だって、駅まで、スーパーまで、15分とか30分とかでいいんです。歩かなかった昨日より歩いた今日の自分をほめればそれでじゅうぶんです」

 

私は膝を傷めているのですが、日頃からスニーカーを履くなどして身体を守ったほうがいいでしょうか?

 

「痛みは習慣化を妨げますから、なくなる工夫はしたほうがいいでしょう。しかし、前述の通り手法を細かく決めるのをやめてください。決まりを守ることが目的になってしまい、治る病気も治りません。三日坊主の原因は『決めすぎた内容を守れず挫折』ですから、きっちり決めずにぼーっとやってください」

 

思い当たります、危うくスニーカーを買うのが目的になってしまうところでした。では2つめはどんなことでしょうか?

 

「日光浴です。これも、手のひらを5分でいいかと細かく聞かれますが、適当に15分くらい日なたにいたらいいです。日焼けしたくないなら手のひらでいいし、脚でもいい。日光は体内でのビタミンDの生成を助けますので、免疫力の強化につながります」

 

そういえば、東日本大震災のあとに子どもを室内で遊ばせていた時期、日光曝露の不足とビタミン D 摂取不足の両方によるビタミン D 欠乏性くる病の症例が報告されていました。ビタミンD源であるキノコ類も当時は食べていなかったから、Wで影響があったんですね。

 

「そう、食事はとても大切です。ぼくが3つめに実行していることがバランスのいい食事です。といっても30品目食べようとしなくていい、ただ炭水化物を減らしてお肉を食べることだけ覚えてください。普通に暮らしていると炭水化物の摂取量が多すぎる傾向がありますので、炭水化物をなるべくお肉に置き換えていくんです。野菜も食べろと言われますし、食べるに越したことはありませんが、免疫細胞の構成成分はたんぱく質ですから、免疫のことだけ考えるならば野菜はそこまで重視しなくてもいいです」

 

お肉はコレステロール等の問題で「食べないほうがいい」と思わされている人が多いものの、赤身ならば問題がないそう。新見先生自身が50歳からトライアスロンを始めて、タイムを伸ばすためにさまざまな肉体改造に取り組んで出した結論です。

 

「人間の身体はいろいろなものをバランスよく食べているときにちょうど具合がよくなります。たとえば縄文時代、自然の恵みは旬という一瞬の期間だけで味わえたはずで、今のように1年中同じものを食べることはできなかったはずです。動物ならどうするかを考えればだいたい正解になるでしょう。そのほか大事にしていることは、4つめが睡眠、5つめがストレスを減らすこと。そして6つめが、ぼくが普及している生薬成分、フアイアです」

 

つづき▶『がんに限らず「病気の治療」を選ぶときに「騙されない」ため患者が知っておくべき「3つの判断基準」とは

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