「らく」でも「がく」でもありません。「櫟」の読み方、知っていますか?
本記事では意外と読めない漢字のクイズを出題します。本記事でご紹介するのは「櫟」です。
「櫟」の読み方は?
「櫟」という漢字は、「木」に「楽」の旧字である「樂」が組み合わさったものです。「樂・楽」という漢字から「櫟」を「らく」と読みたくなるところですが、残念ながらそれは不正解。
「櫟」はある樹木の名称です。
ブナ科の落葉高木。山野に多く、樹皮は暗灰色で裂け目が多い。葉は長楕円形で縁にぎざぎざがある。5月ごろ、雄花と雌花とが咲く。2年目の秋に球状のどんぐりがなり、食べられる。材は炭やシイタケの原木に、樹皮・実は染料に使われる。
出典:小学館 デジタル大辞泉
“球状のどんぐり”がヒントです。
正解は……
「くぬぎ」です。なお、後述しますが「いちい」と読んでも正解です。
「くぬぎ」には「櫟」の他、「橡」「椚」「櫪」が当てられることもあります。このうち、「椚」は「国字」です。
「国字」とは
1 その国の言語を表記するものとして通用もしくは正式に認可されている文字。
2 漢字に対して仮名をいう。
3 漢字の字体にならって日本で作られた文字。ふつう訓だけで音読みがない。「峠(とうげ)」「辻(つじ)」「躾(しつけ)」の類。出典:小学館 デジタル大辞泉
を表します。3にある通り、「椚」には訓読みしかありません。
「櫟」は「いちい」とも読みますが……
日本語・漢字検索サイトによると、「櫟(いちい)」は以下のように解説されます。
イチイ科の常緑高木。深山に自生。高さ約三〇(メートル)。葉は針形で羽状に密生。実は赤く熟し食用になる。材はかたく、農耕具の柄や建築材・家具などに用いる。アララギ。
出典:いちい|言葉|漢字ペディア
「櫟(くぬぎ)」はブナ科で、「櫟(いちい)」はイチイ科。異なる科の樹木に同じ漢字が当てられていることに頭がこんがらがります。
ですが、「櫟」の漢字が示す「いちい」はイチイ科の「いちい」ではなく、ブナ科の「イチイガシ」であるという情報が見受けられました(一次情報を見つけ出すことはできませんでした)。
上記サイトでも“「赤檮・一位」とも書く”とあるのですが、この「赤檮」という表記は、イチイガシの別称です。
いちい樫(イチイガシ)を辞書で引くと、以下のように解説されています。
ブナ科の常緑高木。暖地に自生し、高さ30メートルに達する。葉の裏面に黄褐色の短毛が密生。実はどんぐりで、食用。材は堅く、建築・家具などに用いられる。いちがし。いちい。
出典:小学館 デジタル大辞泉
そしてイチイ科の常緑高木である「いちい」の漢字表記は、一般的には「一位」と表されます。これは「いちい」が「笏(しゃく)」※の材料であり、「いちい(位階の一位)」の名が与えられたことが由来とされています。
※笏は、平安時代以降の、天皇以下公家男子の正装である「束帯(そくたい)」を着たときに、右手に持つ細長い薄板を指します。
「くぬぎ」であれ、「いちい」であれ、「いちい樫」であれ、日常ではひらがなやカタカナで表記されることがほとんど。漢字表記を見かける機会は少ないかと思いますが、本記事をきっかけに覚えてみては。
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