夫がうつ病に。関節痛が辛くても、私がすべての仕事を辞めるわけにはいかない【100人の更年期#99】後編
出勤30秒後に帰宅して寝込んだまま、1年間休職した夫。私が頑張らなきゃ!
49歳で発症した指先の関節痛が原因で、天職だと思っていた仕事を辞めざるを得なかったユキコさん。いっそ兼業していた他の仕事も辞めて体を休ませる選択肢もあったのに、その道を選ばなかった背景には、ある家庭事情がありました。
「実は、私が更年期を感じ始めた頃と同時期に、同じ年齢の夫がうつ病になったんです。その少し前から過労気味だとは思っていたのですが、ある朝、『行ってきます』と家を出たと思ったら30秒くらいで帰ってきてベッドへ直行し、起きられなくなって。そのまま、1年間休職しました。さらに、高校生の息子は知的障害があるため、いちばん動きが取れる私が頑張らなきゃいけないんです」
夫は後に職場復帰したため給与は出ていますが、それに頼ってしまうと夫に負荷がかかります。また、仕事好きなユキコさんにとっては、家でじっと休むよりも仕事をしたほうが痛みや辛さを感じずに過ごせることもあり、すべての仕事を辞める選択肢はなかったそうです。
私の天職はいずれAIに取って代わられる。更年期のいまが潮時だったかも
継続を決めた一般事務の仕事は、パソコンのキーボード操作がメイン。マウスを駆使することがないせいか、徐々に指先のしびれや痛みを感じなくなっていきました。どんなにマッサージなどのケアをしても治らなかったしびれや痛みが、マウスを駆使する仕事を辞めたら1カ月でなくなったのです。やはり、特殊なマウス操作が関節痛の原因だったとユキコさんは思いました。
「天職を諦めるのは勇気が必要でしたが、いいタイミングでした。社会のDX化が進む中、私が担っていた特殊事務は過去のものになりつつありました。いつかAIに取って代わられる仕事の一つです。これから新しくなっていく業務システムを覚える自信はなかったので、いつか潮時がくる覚悟をしていました」
それからユキコさんは、継続を決めた一般事務職に励んでいます。いまはもう、指や腕の関節痛は感じない生活を送れています。ときどき踵に痛みを感じ始めたものの、しばらく時間が経つと治まるので、病院には行かず、様子をみている状態です。
夫も、現在は仕事の量を減らし内容を変更して、病気と付き合いながら働いています。夫は基本的に在宅ワークですが、家にいると寝てしまうと言って、自宅近くに借りたレンタルオフィスで仕事をし、うつの症状が現れたらすぐ家に帰るようにしているといいます。
更年期世代に寄り添ってくれる職場や派遣会社に救われ正社員を目指すように
現在のユキコさんの職場にいる事務員は、ユキコさん以外は20代。一般的には、更年期を身近に感じにくい世代です。
「少しでも頭が痛いとか目がかすむとか言うと、同僚がすぐに『更年期ですか?』と純粋に心配してくれます。パソコン画面が見づらくて目を凝らしていると、大きなモニターを持ってきて『ユキコさんは目が見えない(文字が見づらい)んだから、大きなモニターを使ってください♪』と気を利かせてくれます。本当に悪意がなく親切で言ってくれるので、職場の居心地はよく、同僚には感謝しています」
いまの仕事を紹介してくれた派遣会社も更年期世代の採用に理解があり、スキルや実力があれば仕事を紹介してくれるため、ユキコさんの仕事へのモチベーションは日々高まるばかり。いずれは正社員になることを目指しています。
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