エリート銀行員たちの驚きの恋愛事情。「火遊び」のつもりが大火災に!?暴かれた男の「正体」とは(後編)

2024.01.01 LOVE

サイレンの正体とは?二人の末路は?

耳をつんざくようなサイレンの音に続いて、こんな放送が流れました。

「ファイヤーウォール、ファイアウォール。ボイラー室で、火災が発生しました」

顔を見合わせる二人に、無情にもこんなアナウンスが続きます。

 

「ボイラー室が、数秒後に爆発します。直ちに避難してください」

確かに少しガス臭いような気もします。急いで服を整え、二人は廊下に出ました。

 

そこでは行員たちが、ゆっくりとした足取りで、ぞろぞろと歩いていました。

「どうしてみんな慌てないの?」と言う千尋さんに、仁さんは青い顔で呟きました。

「そうか、今日は避難訓練の日だったんだ……」

 

支店長に嫌われていた仁さんは、今日がその日だと知らされていなかったのです。

すると、廊下を歩いていた女子行員の一人が、彼に話しかけに来ました。

「課長!この前、息子くんに紹介してもらった人とデート行きましたよ!」

 

千尋さんは思わず、その女子行員に向かって声をあげました。

「え、息子さんって、亡くなってるんじゃないの?」

「そんなわけないですよ。もうすぐ弟が生まれるんですよね、課長もまだまだ元気ですね!」

千尋さんは彼の顔を見ましたが、そこにはどんな感情も読み取れませんでした。

 

彼の後ろでは支店長が、こちらも表情を欠いた顔で仁さんを眺めていました。

 

帰り際、千尋さんは支店長室に呼ばれました。

「支店長は、仁さんの評判をこっそり教えてくれました。過去にも『息子が天に帰った』と嘘をついて同情を誘い、女性行員たちと関係を結んでいたそうです」

 

銀行では「店内恋愛」は御法度ですが「行内恋愛」は許されており、行員同士の結婚は50%を超えているとも言われているほどです。このルールを知っていた仁さんは、「自店以外の女性行員」をターゲットにしていたようです。

 

「私は彼に騙されて、彼は避難訓練に騙されて……。似た者同士なのかな。嘘で始まり、嘘で終わる関係でした」

しかし、自分のうまくいかない子育てに対して、仁さんにかけてもらった言葉は今でも胸に残っていると言います。

 

それは「子供は元気なだけで充分だよ。お母さんのできることは、美味しいご飯を作って、温かいお風呂を入れて、寝床を用意してあげる。それだけでいいんだよ」というものでした。

 

「嘘にまみれた彼だけど、あれだけは本音で話していたような気もするんですよ。そう思いたいだけかもしれないけど……」

 

日本では、冬は火事が起こりやすい時期としても知られています。

皆さんも「火遊び」の際は、ぐれぐれも気をつけてくださいね。

▶前編はこちら「火遊びが大火災に。炎が示した不倫相手の正体とは!?【エリート銀行員たちの不倫事情】前編

 

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