エリート銀行員たちの驚きの恋愛事情。「火遊び」のつもりが大火災に!?暴かれた男の「正体」とは(後編)
サイレンの正体とは?二人の末路は?
耳をつんざくようなサイレンの音に続いて、こんな放送が流れました。
「ファイヤーウォール、ファイアウォール。ボイラー室で、火災が発生しました」
顔を見合わせる二人に、無情にもこんなアナウンスが続きます。
「ボイラー室が、数秒後に爆発します。直ちに避難してください」
確かに少しガス臭いような気もします。急いで服を整え、二人は廊下に出ました。
そこでは行員たちが、ゆっくりとした足取りで、ぞろぞろと歩いていました。
「どうしてみんな慌てないの?」と言う千尋さんに、仁さんは青い顔で呟きました。
「そうか、今日は避難訓練の日だったんだ……」
支店長に嫌われていた仁さんは、今日がその日だと知らされていなかったのです。
すると、廊下を歩いていた女子行員の一人が、彼に話しかけに来ました。
「課長!この前、息子くんに紹介してもらった人とデート行きましたよ!」
千尋さんは思わず、その女子行員に向かって声をあげました。
「え、息子さんって、亡くなってるんじゃないの?」
「そんなわけないですよ。もうすぐ弟が生まれるんですよね、課長もまだまだ元気ですね!」
千尋さんは彼の顔を見ましたが、そこにはどんな感情も読み取れませんでした。
彼の後ろでは支店長が、こちらも表情を欠いた顔で仁さんを眺めていました。
帰り際、千尋さんは支店長室に呼ばれました。
「支店長は、仁さんの評判をこっそり教えてくれました。過去にも『息子が天に帰った』と嘘をついて同情を誘い、女性行員たちと関係を結んでいたそうです」
銀行では「店内恋愛」は御法度ですが「行内恋愛」は許されており、行員同士の結婚は50%を超えているとも言われているほどです。このルールを知っていた仁さんは、「自店以外の女性行員」をターゲットにしていたようです。
「私は彼に騙されて、彼は避難訓練に騙されて……。似た者同士なのかな。嘘で始まり、嘘で終わる関係でした」
しかし、自分のうまくいかない子育てに対して、仁さんにかけてもらった言葉は今でも胸に残っていると言います。
それは「子供は元気なだけで充分だよ。お母さんのできることは、美味しいご飯を作って、温かいお風呂を入れて、寝床を用意してあげる。それだけでいいんだよ」というものでした。
「嘘にまみれた彼だけど、あれだけは本音で話していたような気もするんですよ。そう思いたいだけかもしれないけど……」
日本では、冬は火事が起こりやすい時期としても知られています。
皆さんも「火遊び」の際は、ぐれぐれも気をつけてくださいね。
▶前編はこちら「火遊びが大火災に。炎が示した不倫相手の正体とは!?【エリート銀行員たちの不倫事情】前編」
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