イケメン次長と、秘密の場所で…。不倫に飛び込んだ女性の末路は【エリート銀行員たちの不倫事情】後編
彼の服装は?衝撃の末路へ
「彼は変なアロハシャツを着て、立っていたんです」
和枝さんは信じられない思いで、亮さんを見つめました。周りの人も好奇心に満ちた目で、彼をチラチラと見ています。
彼はブンブンと手を振っていました。
彼女は恥ずかしさで耳まで赤く若くなるのを感じながら、彼と一緒にカフェに行きました。
「話の内容?覚えていませんよ。どうしてこんな服着てるんだろうって思いで頭がいっぱいで……」
今までだったら昼間でもホテルに行ってたかもしれませんが、その日は早々に解散しました。
後日、彼女はアメリカ時代の彼を知る友人に、彼とハイキングに行った時の服装を見せてもらいました。
「白いノースリーブに、青い短パン。頭にタオルを巻いていました」
そこには彼の洗練された姿や颯爽と働く面影は全くありませんでした。しかし、和枝さんは不思議と安心したと言います。
「彼と会うのは楽しかったんですけど、『こんな完璧な人いるんだ。この人と結婚すれば良かったな』という思いで胸が苦しくなっていました。でも、神様は平等でした。彼には決定的にダサいファッションセンスを与えたんですよね」
家に帰ると、大学の同級生から連絡がありました。彼女は夫と同じ職場で、よくご飯を食べに行く仲です。
「ねえちょっと!事務職のサユリからチョコもらわなかった?あいつさ、職場の既婚者男性に本命っぽいチョコばらまいてるんだよね。和枝、誤解しちゃって変に気を病んでるんじゃないかなと思ってさ……」
この話を聞いて、和枝さんは全てを理解しました。
「夫にチョコのことを尋ねた時、彼がぶっきらぼうな態度をとったのは、彼は『義理チョコだからどうでも良い』と思っていたからだったんですよね。私が勝手に勘違いしていました」
その後、和枝さんが夫に歩み寄ったこともあり、亮さんとはなんとなく疎遠になっていきました。
しかし寂しさはなく、恋愛感情の代わりに心が満たされていたといいます。
「完璧な人なんていない。夫に悪いところはあるけど、仕方ない。私も肩の力を抜いて良いんですよね。この気付きが何よりの、バレンタインのギフトだったかもしれません」
和枝さんは微笑みました。どこか春の訪れを思わせる、あたたかく、深い笑みでした。
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