「光る君へ」に登場した「散楽」って?そして不屈のまひろ、今回の偉業とは!【NHK大河『光る君へ』#7】

2024.02.19 LIFE

*TOP画像/まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」7回(2月18日放送)より(C)NHK

 

紫式部を中心に平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第7話が18日に放送されました。

 

まひろ、庶民の娯楽「散楽」に挑む。本当に笑える話だったのか…?

第6話では、まひろ(吉高由里子)は散楽のタネを直秀(毎熊克哉)に提案するものの、「誰もおまえに頼んでねえよ」と軽くあしらわれました。それにもかかわらず本放送では、まひろは「笑える話 考えてきたの。聞いてくれる?」と、直秀ら散楽の一団に駆け寄っていきます。

 

もったりしていて、内向的にも見えるまひろですが、好きなことや関心のあることにはとことん積極的な彼女らしい行動です。

 

ちなみに散楽とは、古代中国で栄えた、軽業・曲芸・奇術・幻術・こっけい物まねに類する西域起源の大衆的雑芸。公的な正楽・雅楽に対する俗楽です。やがて名前が猿楽(さるがく)へと変化し、内容も滑稽物真似や歌舞を中心としたものに変わっていきました。この猿楽が鎌倉時代に能と狂言へと発展したとされます。

散楽でキツネを演じる直秀(毎熊克哉) 大河ドラマ「光る君へ」7回(2月18日放送)より(C)NHK

さて、まひろが考えてきたストーリーはキツネにだまされる猿たちのお話でした。猿の顔をしているのは右大臣家の一族。彼らは神の顔をしているキツネに福をくれとすり寄ります。

 

「そんなにも福がほしいか?」と問いかけるキツネ(直秀)に、猿たちは「福を下さい!何でもします!キキ~ッ!」と答えます。彼らはキツネに言われるままに、キキ~ッ!と声をあげながら、キツネを囲んでくるくるとまわります。

 

しまいには、馬が落としたもの(糞)を命令に従って頭にのせ、おちゃらけた表情をします。見物人は子どもも大人も楽しそうに笑っており、日頃の憂さを忘れているかのようです。

 

いつの時代も女子のメンタルは変わらない…「失恋なんて、笑って忘れてしまえ!」

そもそも、まひろは道長への想いを断ち切りたいと散楽の台本を執筆したにもかかわらず、なぜ道長の一族である右大臣家をネタにしているのでしょうか。そこには道長への愛おしさを笑いに変えて、吹き飛ばしたいという彼女の内なる思いも感じ取れます。

 

道長の一族を滑稽に描いたのは「道長のことなんて笑って忘れてしまえ!」「右大臣家を笑いで吹き飛ばしてしまおう!」という彼女なりの思いがあったはずです。

 

また、二人の関係に溝が生じているのはまひろが一方的に道長と距離を取っているから。まひろは道長の兄・道兼(玉置玲央)が母を手に掛けたことに衝撃を受け、当時の権力者の息子である道長と自分との間に格差を感じています。まひろは庶民たちと一体となり、右大臣家を題材にしたパフォーマンスを笑うことで孤独感やもどかしさを忘れられたはずです。

 

第2話では、おなご宛ての手紙を代筆していたまひろ。手紙の代筆仕事でも相手の気持を汲み取った手紙を書き綴り、恋の成就に貢献していました。散楽の台本においても直秀ら散楽の一団や見物人の好みをうまく把握し、持ち前の執筆力を発揮しました。

 

『源氏物語』は人間観察力や心情描写が高く評価されていますが、本作はまひろ(紫式部)のこうした才能が所々で垣間見える内容となっています。また、まひろは第4話において身分社会に対する疑問をこぼしていたように、彼女は貴族でありながらも庶民に対する差別意識はさほどもっていないようです。分け隔てのない考え方をするまひろだからこそ、多くの庶民を笑わせる台本の執筆に成功し、庶民の中に溶け込むこともできるのでしょう。

 

つづき>>>平安時代の「貴族ではない人たち」は何をして暮らしていたのか?答えは簡単、我々と同じく…

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