「彼女はいつでも楽しそうで、なんだか妬ましいな」と思ったら、どうして彼女が楽しそうなのかを知るべきとき【青木さやか、91歳のシスターに聞く】
本当は幸せに、周囲に感謝しながら毎日を笑って過ごしたいのだけれど、日々ストレスに飲み込まれて怒って不安になってイライラして、今日も疲れたな……と眠りにつく。なんで私、いつもこうなんでしょうね。
大切なのは、自分の気持ちと、外側で起きた出来事とを分けて捉え、自分は自分の中心軸をしっかりもち、相手には相手の中心軸があるということを理解しておくこと。そう語るのは、91歳のシスター・鈴木秀子さんです。
そんな鈴木さんに、50歳になった青木さやかさんが「人生の後半を楽しく笑って過ごすコツ」を聞く新刊、『』から抜粋をお届けします。
自分で自分を認めることで力を発揮できる。
青木 中心軸をしっかりもたないままだと、この先の人生、どうなりますか?
鈴木 中心軸がないと、例えば誰かが自分のことを好きだと言ってくれたら、すぐに舞い上がってしまったり、反対にちょっと自分の悪い部分を指摘されただけで、ぐったり落ち込んでしまったり。結局、ヘトヘトになってしまうんです。
青木 人が「こっちだ!」と言ったら、自分も「こっちだ!」となってしまうんですね。
鈴木 例えば中心軸がないのに、パソコンを開いて誰かが書いた自分への批判なんか読んだら、ショックで立ち直れなくなります。
青木 逆に言えば、中心軸さえあれば何が起きても安定していられるということですね。
鈴木 人はみんな違います。中心軸をもって、「あの人はこういう形で鬱憤払いしているんだ」と思えば良いじゃありませんか。人はこう言っているんだ、言うのは当たり前だろう、私には関係ないと。その中で、「あ、これは良いヒントになるな」と気持ちよく受け入れられるものがあれば、それは活かせば良いのではありませんか。
青木 そうですね。中心軸があれば、冷静に分析もできるということですよね。
鈴木 先程言ったように、自分で自分の親になり、自分をしっかり認めてあげること。それが中心軸を鍛えるということです。人間は認められること、褒められること、頼りにされること、よく評価されること愛されることがどうしても大事だから、自分でそれをやってみたら良いのではないでしょうか。
青木 自分で自分に、ですね。もし、誰かに評価してもらったり褒めたりしてもらえるとしても、自分でやる方がいいのでしょうか?
鈴木 誰かがやると、その人の視点が入ってしまいますからね。だから、人から「自分に正直でいいですね」と褒められて、自分でもそう思ったら、「あ、自分にこんなに正直になれて良かったね」とか、自分でも自分に言ってあげたらいいんです。
青木 自分を褒められる人になることですね。
鈴木 それが中心軸のある人です。私の友人で、どんなことでも良いことと感じる人。嫌なことなんて無いって人いるんですが、その人と一緒にいると面白いんです。そんなところはさーっとすっ飛ばしていいところだけ待つ。いるんですよ、そういう人。
青木 そんな方が。その方にも苦しいことはあるんでしょうか?
鈴木 もちろんあるんですよ。でも苦しいことにはほとんど目を向けず、すっ飛ばすことができるんですね。だから周りからは能天気とか言われやすいんですよ。ご本人は、そう言われることさえもあまり気にしていないですね。
青木 生きるのが楽そうで羨ましいです。
鈴木 楽だけど、「自分は人から心配されてないじゃないか」ということは、人よりも感じることはあるかもしれません。
青木 そうかもしれませんよね。
鈴木 人は皆それぞれ、苦しいことがある。でも苦しいことの中から、いいものを見つけ出すことです。「これは意味があって起きていることだ。今、自分を育ててくれて助けてくれる」と思うことですね。
つづき>>>傾聴という言葉はよく聞くけれど、ほとんどの人が「実はできていない」たった一つのこととは
『話せば、うまくいく。―50代からの人生を機嫌よく生きるヒント』聖心会シスター 鈴木秀子・青木さやか・著 1650円(10%税込)/時事通信社
【著者プロフィール】
鈴木 秀子(すずき・ ひでこ)
1932年生まれ。聖心会シスター、文学博士。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。フランス、イタリアに留学。ハワイ大学、スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学文学部教授(日本近代文学)を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。長年にわたり、執筆・講演活動を行い、多くの相談を受けてきた。聖心女子大学キリスト教文化研究所研究員・聖心会会員。『9つの性格 エニアグラムで見つかる 「本当の自分」と最良の人間関係』、『人はいつか死ぬのだから』(共にPHP研究所)、『機嫌よくいれば、だいたいのことはうまくいく。』(かんき出版)など多数の著書がある。
青木さやか(あおき・ さやか)
1973年生まれ。タレント、俳優、エッセイスト。名古屋学院大学外国語学部卒業。名古屋でフリーアナウンサーとして活動後、上京しタレント・お笑い芸人になる。「どこ見てんのよ!」のネタがブレイクし、バラエティ番組で活躍。2007年に結婚、2012年に離婚。2017年と2019年に肺腺ガン手術を受けた。実母との確執と自身の半生を綴った 『母』(中央公論新社)、『厄介なオンナ』(大和書房)、『母が嫌いだったわたしが母になった』(KADOKAWA)、『50歳。はじまりの音しか聞こえない』(世界文化社)などの著書がある。
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