呪いの思い込み「うちの子は平均以上」が苦しくてたまらない【連載_東京こども4人育児日記 #8】
小学校一年生の勉強は「出来て当たり前」という思い込み
就学前の保育園最後の保護者会で、園長先生がこんな話をしていました。
「就学前にたくさん予習をさせる親御さんがいるけど、そんなことしなくても大丈夫! 一年生は生活に慣れることが第一だから、あまりプレッシャーを与えないであげてくださいね。自分の名前を読み書きできれば十分ですよ」
なるほど。私が小学一年生の時を思い返してみると、特に就学前に勉強していなかったけど、学校で習う初めてのひらがなや算数は新鮮で面白かったなぁ。私が出来る出来ないとかではなくて、周りも同じだったし、きっと長女ちゃんも大丈夫でしょう! 出来ることが普通なんだから。
小学校の勉強は「楽勝」だと思っていたぶん、私は現実とのギャップに苦しめられることになるのです。
ADHDあるある「集中すること」の難しさ
長女の場合は、ADHDの特性である「作業の優先順位がわからない」「集中力が続かない」といったことが、入学してすぐ顕著にでてきました。
例えば、字を間違えて消しゴムで消すことになったら、筆圧で少し凹んだ跡が気になり、穴があくまで消している。ただ、それで本人が納得いくようなキレイさにはならないので、そこでまたシクシクと泣いてしまう。そうこうしているうちに授業はどんどん先に進んでいって、休み時間になってもノートをとり続けていたりも。
出来る出来ない以上に、「授業を受ける」というスタートラインにすら立っていないことを目の当たりにしました。
ADHDあるある「興味がないことはシャットダウン」
ただでさえ集中力が続かない性格なのに、さらに「好き嫌い」で「やるやらない」を決めるという超マイペースぶりも発揮していました。
読み書きは好き。人並に読めて、書くこともできる。
しかし、問題は算数!どんなに繰り返し説明しても、興味がないのか何も頭に入っていないご様子。いつまでたっても、ぴかぴかキレイな空白欄。ようやく埋めることができても、スーパー乱雑。
算数に関してはテストで名前を書かないほど「やりたくありません」を一貫していました。
ここまでくるとすがすがしさすら感じる……。ただ、この深刻さは誰にも伝わらないんです。ママ友に相談しても、「子どもなんてそんなもんよ~」なんて笑いとばされる始末。
分かりますよ、人様の子どもならほほえましいなぁで終わると思いますよ……。でもね、自分の子どもだったらどうよ? 足し算&引き算につまずくってけっこうしんどい。このままの調子だったらきっと掛け算も出来ないだろう。
宿題をして、まるつけをしてもひとつかふたつの間違えで、その間違えもちゃんと理解して……そんな普通に勉強をしている子どもたちが「なんてすごいんだろう」と思う日が来るなんて夢にも思いもしませんでした。
心のどこかで「うちの子は平均以上」だなんて、思い上がりもいいところだった。でも、どこかでまだ「平均だから大丈夫」だなんて自分に言い聞かせていて、それがまた自分を苦しめる負のスパイラルになっていました。
タラレバの話になってしまいますが、「もしこの時にADHDと強迫性障害が診断されていれば、適切な対応が出来たんじゃないか」「長女も生きやすかったんじゃないか」と悔やむこともあります。
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