「瞬間最高視聴率31.1%」韓国ドラマ『ペントハウス』シーズン3、白金不倫文学作家が明かす「タワマンあるある」とは?職業差別、子がブサイク、ウザい義母
Presented by PLAN Kエンタテインメント
韓国では瞬間最高視聴率31.1%を記録、社会現象を巻き起こしたドラマ『ペントハウス』。
『ペントハウス』をひとことでいうと、韓国ドラマのすべての要素がギュウギュウに詰め込まれた「マクチャンドラマ」(とんでもない展開が連続するドラマ)。リッチの象徴・ペントハウスで繰り広げられる、夢、欲望、プライド、裏切り、愛憎、復讐、不倫、暴力、サスペンス、出生の秘密、貧富の差……。
このドラマを日本の「タワマンマウンティング」目線で見るとどうなるのか? 自身も都銀出身のハイスペ人材、「白金不倫文学」の旗手である綾部まと(あやべ・まと)さんが語ります。
本記事の末尾にはシーズン1から3までのダイジェスト版視聴リンクも。「記事を読む時間がない!」という方は、ダイジェスト版だけでも観て世界観を楽しんでください。
「タワマンあるところに、マウンティングあり」。日韓で共通する文化とは?
タワマンの「マウンティング文化」をご存知でしょうか? たとえば私が実際に見聞きした日本のタワマンマウンティングには「お前の家は3階だから貧乏」という「階数マウント」、「公立の教師なんかが住むな」という「職業マウント」、若く美しいママにさりげないいやがらせをする「嫉妬マウント」などがあります。こうした怨念が渦巻いている場所であると言っていいでしょう。
以下、記事中にムカッとする表現があるかもしれません。しかし、それは作中に描き出された文化そのものであり、ムカっとした時点で「刺さっている」。つまり、ぜひこの作品をチェックすべしなのです……。まずはそのあらすじをシーズン1からトータルにご紹介しましょう。
ソウルの高級住宅地にそびえる100階建てのタワーマンション「ヘラパレス」で、一人の女性が転落死します。その事件には2ヶ月前のできごとが関わっていました。ロナは一般家庭で育ちながら、名門高校の声楽科に進もうとしますが、母の反対にあいます。母のユニもかつて同じ夢を抱いていましたが、財閥の娘・ソジンに傷つけられて夢を諦めた過去があったのです。
そうとは知らぬロナが声楽教師となったソジンのレッスンを受けようとしたため、ソジンとユニは再会します。その後、ロナは退学を迫られますが、ユニは娘の夢を守るために戦いを挑みます。ロナは声楽科に合格しますが、そこにはソジンの娘、「ヘラパレス」のクイーンであるスリョンと、経営者の夫・ダンテの子どもたちがいました。他の住民の子どもたちもいます。シーズン1ではヘラパレスと名門高校での、承認欲求と愛と欲望に満ちた、血みどろの闘いが楽しめます。
シーズン3では刑務所のシーンからスタート。ペントハウスの住人たちは悪事が明らかになり、一部を除く大半が刑務所で服役しています。しかしこのままでは終わらないのが、ヘラパレスの面々。それぞれが財力や演技力、そして暴力を使って刑務所から出ることに成功しますが、シャバの世界にはさらなる地獄が待っていて……。
韓国ならではのカルチャー「死ぬ気で頑張れば一代で成り上がれる」のコッテコテな現実を見よ
最初に日本のタワマン文化と最も違う点から述べましょう。ズバリ、「死ぬ気で頑張れば一代で成り上がれる」という、韓国の人生観です。ペントハウスの住民は資産額だけで見れば、千代田区(敢えて港区とは言わない)のスーパー富裕層に匹敵するかもしれません。でも、争っている内容は程度の差はあれど、武蔵小杉・豊洲レベルのタワマン住民と変わりありません。要するに、きらびやかだけれども、私たちから手が届かなくもない現実そのものです。
というのも、和を以て貴しとなす日本では、固定化された階層が崩れることは稀。いわゆる「金持ち喧嘩せず」ですから、ペントハウスの住民並みの資産を持っていたらこのような「特に得るもののないマウンティング」には参加しません。だいいちに彼らは「声を荒げる」ということをしません。「大きな声なんか出さなくてもいい人生を送っているから」です。いや、表向きは笑顔でも、水面下で札束の殴り合いをしているかもしれませんが……。
日韓ともども、会社員は下に見られてしまう現実。「人権がない」とまで言われる職業すら
作中では、不動産コンサルタントのシングルマザー・ユニが「私もペントハウスに住みたい」という娘のために奮闘します。悪事に手を染めた成果もあり、晴れてペントハウスに住めることになりました。
タワマンといえば「マウンティング差別」がつきものです。武蔵小杉や豊洲でも商社・マスコミ・外資コンサル以外の会社員は基本的にバカにされるのが、タワマンの掟。特に食品メーカーに風当たりが強いという、謎の風習もあります。
公務員も安心はできません。外交官や経産省などのキャリア組以外は「何で住んでるの?」と噂されます。3B(美容師、バンドマン、バーテンダー)は言わずもがな。子ども同士の遊園地や誕生日パーティーに呼んでもらえず、ひっそりと住むことになります。
さて、韓国。ユニは晴れてペントハウスにたどりつくも、そこで待ち受けていた住民は医者、弁護士、経営者など「ペントハウスにふさわしい職業」の家庭ばかり。しかもユニは最上階に住むボスママの宿敵という、地獄へのデスロードの条件が完璧に揃っていました。
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両親ともに美男美女。だけど子どもの顔は普通……ご存じですよね、「何が起きたのか」
武蔵小杉や豊洲などのタワマンに住んでいるママは、読者モデルに登場しそうな人が多いです。赤坂や六本木の「何を食べればその美肌になるの?」と聞きたくなる美魔女ではないものの、それなりに綺麗です。
一方で作中の子どもを見ると、きっと「あれ?」と思うことになるでしょう。ママはそれなりに綺麗なのに、子どもは両親ほど、かわいくないのです。
ペントハウスに住む爆美女オペラ歌手・ソジンの娘・ウンビョルも、至って普通の顔をしています。父親はこれまたペントハウスでも一番のイケメン医師・ユンチョルなのですが……このあたりは日韓の「文化の差」ですね。皆までは申しません。
決してウンビョルはブサイクではありません。公立の学校なら中の上レベルです。しかしtiktokで踊ったら一瞬でバズりそうなリトル・ペントハウスクラブの子どもたちに比べると、顔面偏差値は劣っています。そして「一軍女子に入れないけど、彼女たちの周りにいる子」には、日本と同じくイジメという運命が待っています。
日本にもいるけれど、もっと顕著な韓国の…「ザ・毒義母とマザコンくず夫セット」
どのタワマンでも、全ての住民が自力で住んでいるわけではありません。「本人は無能だけど、母親の援助があるから住めた」というケースも多くあります。日本での典型は「地主ボーナス」ですね、昔から住んでいた地所にタワマンが建つ場合の等価交換など。
韓国でもその手のマザコン男は愛想は良いけど、肝心な時に頼りになりません。子どもがいない仮面夫婦ならまだしも、子どもを持つと地獄。育児の相談をしてもアホな回答しか返ってきません。そして結局、しゃしゃり出てくる義母のアドバイスに従うことになるのです。
本編で出てくるマザコン弁護士・ギュジンも始終ヘラヘラしていて、どこか憎めないキャラです。でもアナウンサー出身の妻・サンアの心労は絶えません。義母が頻繁に押しかけて嫌味を言ってくる上に、義姉たちも攻撃してくるからです。
サンアは夫の能力を良く分かっているので、彼女たちに逆らうことができません。アナウンサーの仕事を辞めて、息子もいるため、離婚するわけにもいきません。しかも息子は出来が悪くボンクラ。仕事も育児も極められず、葛藤しています。
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「興味は湧いたけど、正直韓国ドラマが初めてで」という人、いますか?
今回ご紹介した他にも「子どもの受験に親の方が必死」「承認欲求のぶつけ合い」「マンション内の不倫」など、タワマンあるあるがてんこ盛りの『ペントハウス』。タワマンに住んでいなくても、観れば「あー!いるわ、こういう人!」と毎回膝を叩くこと間違いなし。
日本文化との親和性が高いから、韓国ドラマが苦手な人も楽しめる作品です。筆者も今まで基本的に韓国ドラマは毎回1話で挫折してきましたが、ペントハウスは初めてシーズン1から最終話まで完走しています。
シーズン3が最新作ですが、そこから観ることは正直お勧めできません。前シリーズで殺される人数が多いため、重要人物たちがシーズン3の初登場時には既に死んでいるからです。また、韓国の人物名になじみがないため、顔と名前が一致するまでに時間がかかるし、そもそも名前で男女の性別すらつきません。シーズン1の序盤には人物紹介も兼ねたシーンがあるので、比較的そのストレスが少ないのではと思います。
また完結編のシーズン3では、シーズン1と2の伏線回収が多くあります。前シーズンを観てからの方が「このシーンは、シーズン1のあの場面と繋がっていたのか!」「死んだと思ったキャラが生きてた!?」と、面白さが100倍になります。
『ペントハウス』が初めてだけどシーズン3を見たくてたまらない方は、せめてシーズン1の1話~3話だけでも観ることをお勧めします。
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『ペントハウス3』は下記動画配信サービスでシリーズ全話が見放題配信中です。 ABEMA/アジアPremium/FOD/ひかりTV/Hulu/iTSCOMオンデマンド/J:COMオンデマンド/Lemino/milplus/Netflix/TELASA/U-NEXT/VideoMarket
<文/綾部まと>