年下男性が42歳の私の体に夢中になる「喜び」そして恐怖…。異常な関係がたどり着いた末路は(前編)
年下男性との情事。リードしていたのは私
佐知子の不倫相手は、仕事で取引のある会社に勤める30代の独身男性だった。「若いし独身だから、後腐れないかなって」と、当時軽い調子で話していた佐知子を思い出す。独身で彼女がいないことも本人から聞いていたので、肉体だけを楽しむ関係には「いい」だろう、と思ったのが佐知子の間違いだった。
最初に「ちょっかいを出した」のは佐知子のほうで、ふたりきりの時間を求める彼女に応える形で男性は流されていった。仕事の相談にかこつけて週末はふたりで居酒屋に行くようになり、仲はあっという間に深くなった。時間を持て余す男性特有のフットワークの軽さは、既婚者である佐知子にとって好都合だった。
不倫関係になってからしばらくは、周囲にこの親密な仲を知られずホテルに行くような刺激的なつながりにふたりは燃えていた。佐知子は係長で男性のほうはいわゆる平社員、上下のある関係は不倫にも持ち込まれ、リードしていたのは佐知子のほうだった。
密に連絡を取り合い、業務でもつながりがあれば、疑似恋愛のような興奮は目が覚めることなく続くだろう。だがこの「仕事でも関係がある」ことが、別れた後になって佐知子を悩ませた。自分はとうに関心をなくして元の「取引先の人間」という体で接していても、相手の男性のほうはよりを戻したくてあれこれと接触を持ちかけていた。
「別れた後のほうが大変なんて、本当にどうしようもないわね」
と自嘲気味に笑っていた佐知子を思い出す。不倫のツケは、関係に誘った佐知子に重くのしかかっていた。
何度も連絡が来て…もつれる関係
佐知子は結婚して20年になる夫がおり、ふたりの子どもにも恵まれて家庭は順調だという。自分と同じく会社員として働く夫とはとうにレスになっており、欲を持て余した佐知子は手近なところでその解消を求めた。「仕事でつながりのある人間」だからこそばれる危険について同じレベルで考えてくれるだろうと佐知子は目論んでいたが、その期待は別れた後になって大きく外れた。
「もう一度会いたいって、何度もLINEが来て困っているの」
と佐知子から相談を受けたとき、「会うと絶対に次を求めてくるから、やめたほうがいいよ」とすぐに返した。不倫に限らず、別れた相手に未練を持つ人間はよりを戻すために何度も会おうとする。物理的な距離を取ることが、諦めてもらうには重要だった。
ただ、「会えない」と返しても、たとえば次の日に打ち合わせが入っていればどちらかの会社の会議室で顔を合わせることになる。親密な会話はできなくても、存在を確認されたらその刺激がまた相手を突き動かす。
打ち合わせが終わった後ですぐ「今日もきれいだね。少し電話できない?」と男性からメッセージが飛んでくることに、佐知子は恐怖を覚えていた。下手に冷たくすると周囲に過去の不倫関係をばらされる恐れはどうしても消えず、「これから別の取引先と会うから」などと断りながらも「もうLINEをしないで」とは言えずにいた。
佐知子の葛藤を想像するのかどうなのか、男性はそれ以上は食い下がらないが夜になってまた「話したい」とメッセージを送ってくるのだった。最初のうちは仕方なく30分程度の会話に付き合っていた佐知子だったが、ふたりきりで会うことだけは避けていた。終わったはずの不倫相手との関係は、どんどんもつれていった。
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