年下男性が42歳の私の体に夢中になる「喜び」そして恐怖…異常な関係がたどり着いた末路は(後編)
「けじめ」をつけるためには
「まだ返事はしてないのだけど、これ、どうすればいいと思う?」
佐知子の細い声を聞きながら、スマートフォンを握ってうなだれる姿を想像した。
「ほかの人が見るかもしれない資料にまでそういうことをし始めたのなら、ちょっと本当に危険だね。これで会わなかったら、次は何をしてくるのかわからない」
と返すと、そうよねと頷いてから
「やっぱり、一度は会ったほうがいいのかな」
と佐知子がまたため息をついた。
ここまで来たら、会うしかないだろう、と思った。佐知子が電話で話してくれる時間もしだいに短くなっている今、男性のほうは切られようとしている自分に焦っているのがひしひしと伝わった。
「一度だけ、だね。これが最後って約束をしたうえで、コンビニの駐車場とか人目のあるところがいいかも」
と慎重に言葉を選んで返すと、佐知子は
「え、コンビニって、誰かに見られたらどうするのよ?」
と驚いた声で返した。
「だから、もう不倫は終わっているのだから、後ろめたい関係じゃないのだからって証明よ。
誰かに見られても問題がないでしょうって、こっちから線を引いていかないと」
「……確かに」
けじめをつける機会にするなら、ふたりきりの空間こそ避けるべきだと思った。男性はそれを望むだろうけれど、主導権は渡さない。あくまでも「頼まれて会う」体を守ることが、男性に期待をさせない線引きだった。
男性は、ふたたび不倫関係になることを望んでいて… 次ページ