年下男性が42歳の私の体に夢中になる「喜び」そして恐怖…異常な関係がたどり着いた末路は(後編)
不倫に「復縁」はない
男性の本当の望みは、佐知子とふたたび不倫関係になることだろう。独身で彼女もおらず諾々と日常を送るだけの30代男性が、降って湧いたような幸運、体の関係を楽しむだけで何の責任も取らずにいいと了解された関係を諦めるのは、難しいだろうことは想像がついた。
男性が「不倫をばらされたくなければ黙って元の関係に戻れ」のような強硬な姿勢を取らないのは、佐知子の係長という肩書きが無関係ではなく、脅したことが原因で自分の会社が不利になるような流れを避けたいからかもしれなかった。ばれてしまえば困るのは自分だって同じはずで、重要なポストにいるわけでもない自分がどんな処分を会社から受けるか、わかるだろう。
だから本当は男性側にとっても、佐知子の言動ひとつで自分の身が危うくなる状態なのだ。それを薄っすらでも理解できるから下手に出ながら何とか相手をしてくれる佐知子に甘んじていたが、まったく近づこうとせず距離を取る一方の佐知子に業を煮やした結果の現状かもしれなかった。
「こっちから、線を引いていかないとね」
佐知子は繰り返す。「うん」とうなずいて
「不倫に復縁はないんだって、わかってもらわないと」
と今度は力強い声で言った。
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