
不倫相手を忘れられない…。既婚男性にすがる35歳女性の孤独は(後編)
最初から既婚を隠そうとせず、「お互いに同意のうえで」肉体関係を持つ流れを男性は作っており、不倫は世間に知られればまずい関係だと理解していながら、咲希は「この人となら苦しまないだろう」と勝手に思い込んだ。彼氏がほしくてマッチングアプリに登録する30代なかばの独身女性の飢えを男性は見抜いていおり、「堂々と表を歩ける彼氏にはなれないけれど、今すぐに疑似恋愛を提供できる」とサービス精神たっぷりで言葉を送っていた。今までもこうやって相手を見つけていただろうことは、聞いていて簡単に想像ができた。
その結果、ホテルに行くことが前提の約束しか男性とはできなくても、咲希は溺れていったのだ。男性の狙いは肉体関係だけであって、抵抗なく自分と会ってもらうためにそれ以外の時間は甘い言葉を送り続け、咲希の「男性に求められる自分が見たい」という欲求を満たしていった。「好きだ」「かわいい」「会いたくて苦しいよ」「早くベッドの上でめちゃくちゃにしたい」と言われ続ければ、独身で彼氏のいない女性は落ちるだろう。そうやって手のひらで転がすように女性の気持ちを扱う既婚男性は、多く見てきた。
そして、終わりは常に男性側の一方的な決断を押し付けられる形となり、散々好きになるよう仕向けられた女性のほうは、未練に苦しむのだ。咲希もそうやって肉体を堪能された後の倦怠期に差し掛かったところで捨てられていた。不倫慣れしている男性との関係など、どこまでも軽く不誠実さばかりが最後は目立つ。振られてからやっと咲希はその現実に気が付き、未練はあっても追いかけることはしなかったのだった。
それなのに未練が残って… 次ページ
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