「こんなバレ方するなんて…」不倫の落とし穴にハマった40歳勝ち組女性。イケメン上司との末路は(後編)
「男性に可愛いなんて言われたの、久しぶりだけど嬉しかったです。もう40歳になるけど、いつまでも女の子扱いされたいんですよ。何歳になっても、大事にされたいじゃないですか」
ジンを専門に扱うお店で、上質なスパイスの匂いにいつもより早く酔いが進みます。人事部の副部長に自分を売り込んで、ゲームを有利に働かせよう。そう思っていたはずが、いつのまにか愚痴を言っていました。
「”詰め込み教育”や”指示待ち型”ではAIに負けてしまう。これからの時代は生き残れないから、クリエイティブ性が必要……そんな言葉は嫌でも耳に入ってきます。でもそれってゲームに負けた人たちの意見ですよね?好き勝手に生きて良かったなら、もっと可愛く生きたかったですよ」
聞き上手な彼は肯定も否定もせず、にこやかに話を聞いてくれました。『大丈夫だよ』と彼は返しました。『人生は、どこかで帳尻が合うようになってるんだ。あの時頑張ったから、今こうして美味しいお酒も飲めているんだしね』と。彼はそう言いながら、食べ物の写真を熱心に撮っていました。「SNSにあげるんですか?」と彼女が聞くと『いや、パーソナルトレーナーに食べたものを送らなきゃいけないんだよ』と言います。
「いかにも銀行で出世しそうなタイプです。相手の意見を潰さずに、自分を決して出さない。そして自分のやりたいことは淡々とやっていく」
『でも我慢は良くないな』と彼は続けます。『やりたいことを我慢して別のことをやると、それはじわじわと後の人生を蝕むからね。やってみてダメな方がいい』。酔いが回った彼女は気付くとこう口走っていました。『じゃあ、誰かと寝ることを我慢するのはどうなんですか?』と。
『それは、我慢しない方がいいだろうね』と彼は言います。吸い込まれそうな頃ほど黒い瞳が、彼女を捉え続けていました。
オトナな彼との情事は… 次ページ