【弁護士が解説】近隣トラブル、発生!隣のエアコン室外機がうるさい。どうすればいい?
隣家のエアコン室外機の音や熱風によるトラブル
意外と盲点になりがちなのが、エアコンの室外機にまつわるトラブルです。
三菱電機 霧ヶ峰PR事務局が東京・大阪在住の男女600名を対象に行った「エアコンの室外機に関する調査」の結果によると、隣家や近隣の家の室外機が気になった経験がある人は14.2%いました。
具体的には「窓を開けると隣家の室外機から吹き出てくる風が気になった」「夏場、庭先の植物に熱風があたる」「深夜、室外機の稼働音がうるさくてなかなか寝付けなかった」などの意見が挙がりました。
そこで近隣に騒音や熱風をもたらす加害者にならないためのポイントや被害者になったときの対処法を、森田さんにうかがいました。
●加害者にならないための予防法は?
「室外機から稼働音や熱風が出ないようにするのは現実的に不可能です。過去の裁判例では、騒音や熱風の程度のほか、被害防止措置の有無・内容、建物周辺の地域環境なども考慮して、被害が一般社会生活上、受忍すべき限度を超えた場合に違法となっています。
騒音の判断では、各都道府県の条例で定められた騒音の規制基準が考慮されることも多く、まずは条例が定める基準以下に騒音を抑える措置を講ずることが望ましいでしょう。
熱風については、室外機の設置状況や隣の建物との境界の状況などさまざまな事情が考慮された上で違法性が判断されるため、室外機の設置場所を工夫する必要があります」
●エアコンメーカーのアドバイス
エアコンメーカーはどのように設置するようアドバイスしているのでしょうか。三菱電機株式会社空調冷熱システム事業部の久田優美さんによると、室外機設置時には、次のポイントに配慮しながら、ハウスメーカーの担当者やエアコン設置業者に相談して設置するのが良いそうです。
・隣家の窓や玄関に近い場所での設置はなるべく避ける
・吹き出し口を、隣家や玄関の方に向けないようにする
・室外機のファンに、ホコリやごみ等が当たることにより起こる異音を防ぐために、ホコリが溜まりづらく風通しの良い場所を選ぶ
・室外機の周りには、風を遮るものを置かない
・近隣住民が通る場所(マンションの場合は隣室のベランダ)に、ドレン水(室内機で空気を冷やす際に出る、ドレンホースで外へ排出する必要がある水のこと)が流れないようにする
●被害者になったらどうする?
「ご自身でできる対処法としては、部屋の窓に防音シートを貼る、遮熱・遮音カーテンを利用するなどにより効果を得られる場合があります。しかし個人でできる騒音対策には限界もあります。
その場合、室外機の音については騒音計を、熱風については温度計をそれぞれ用いて数値を測定することをおすすめします。そして、測定したデータをもとに、賃貸住宅であれば管理会社や大家さんに対処を依頼することで、隣人への注意が行くといったことが期待できます。
また、騒音や熱風が違法と判断されるかは、受忍限度を超えるかという法的判断が必要になります。受忍限度とは、社会通念上、我慢できるとされる範囲のことです。もし限界に近いのなら、法律の専門家である弁護士に今後とるべき対応について相談するのも対処法の一つといえます」
エアコンの室外機、これまで気にしていなかった場合は、一度チェックしてみるのが良さそうですね。
ここまでの前編記事ではエアコンの室外機のトラブルへの対策について伺いました。後編では「隣家の物音やテレビの音」と「ペットの鳴き声、共用部分の悪臭・不衛生」に関するトラブルへの対策を伺います。
つづき>>>隣家のペットや騒音どうにかして! 弁護士が解説する近隣トラブル対処法
【取材協力】
森田 雅也さん
弁護士。東京弁護士会所属。賃貸管理を中心に数多くの不動産案件を取り扱い、多数の不動産賃貸管理トラブルを解決へと導いた実績を有する。また、不動産法務だけでなく、不動産と切り離せない相続問題にも注力。依頼者や顧問先企業のニーズに寄り添い、柔軟に対応することを信条としている。
久田 優美さん
三菱電機株式会社空調冷熱システム事業部
入社以来、家庭用エアコンをはじめ業務用エアコンまで幅広く担当。その結果、外を歩けば自然と室外機が目に入る体質に。現在は、テレビやWEBメディアを通じて、エアコンに関するお役立ち情報を発信している。
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