東大卒エリートの「裏の顔」。銀行員との不倫に溺れた女性の末路は
ある日、どうしても夜間対応が必要になり、サヨコさんは20時を過ぎてもオフィスに残っていました。丸の内本部が「不夜城」と呼ばれたのは遠い昔。今は働き方改革により、部屋には彼女の他に、隣の部署の男性しか残っていませんでした。
「その男性は、最近異動してきたエイトさん(仮名・45歳)。開成・東大というメガバンクによくいる人材ですが、彼が他と違っていたのは、そこそこ格好良かったこと。背は高く、細身でメガネもかけていない。それだけであのカテゴリの上位5%には入るでしょうね」
お互い名前を知っている程度の関係で、口を聞いたことはほとんどありません。普段から寡黙な彼は、無言でカタカタとキーボードを打っています。彼女は息抜きがてら、デスクのパソコンでガーデニングの情報を調べ始めました。最近は、家の中の観葉植物にコバエが湧いて困っていたのです。
「夢中で調べていると、背後から声をかけられました。驚きました。それはエイトさんで、とても良い声をしていたのです」
彼の声はソフトで低く、良い声をしていました。色素の薄い目が、彼女をじっと捉えています。『植物のことで、何かお困りですか?』と彼は尋ねます。彼女が悩みを話すと『あぁ、それなら簡単ですよ』と返されました。『ドブ漬けすればいいんです』
ドブ漬けが何か分からないでいると、彼は『ちょっと失礼』と言い、彼女のキーボードで『どぶづけ しょくぶつ』と検索キーワードを打ち込みました。
『ほら、ここにあるでしょう。植物を鉢ごと、完全に水に浸してしまうんです。そこでコバエやコバエの卵が浮いてくるので、それを取り除けばいいですよ』
「え?あぁ、はい」と彼女は生返事をしました。彼からは甘くさわやかなハーブの匂いがして、意識がそっちへ行っていたのです。
「く、詳しいんですね」と言うと彼は、少し何かを考えた素振りをしました。『えぇ。実家が園芸をやっていますので』と言い、胸ポケットからスマホを出しました。
『LINE、交換しませんか?もし植物のことでお困りだったら、いつでもご連絡ください。お答えできるかと思います。コバエにきく粒剤もあるので、後で送りますね』
彼女は慌てて引き出しからスマホを取り出しました。「これは浮気じゃない。確か彼には奥さんも子供もいる。植物のことで相談するだけだ」と言い聞かせながら、連絡先を交換しました。
「自分を納得させなければいけなかった時点で、既に何かが始まっていると分かっていました」
しかし、その始まった「何か」が、そのあと後戻りできないところまでダストシュートのように突き進んでいくとは、当時は分かっていませんでした。
▶急展開。彼との恋の行方は
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