アートメイクが「数年で消える」は嘘だった!約2カ月で「タトゥー化」する皮膚のメカニズムとは?医師が明かす、衝撃の真実
毎朝のメイク時間を劇的に短縮でき、汗や水でも落ちないアートメイク。現在、美容市場の約12%を占めるほど取り入れる人が増えており、40~50代の大人世代にとっても、メイクの延長線上にある身近な美容施術となりつつあります。
巷では、刺青やタトゥーと違って皮膚の浅い部分にしか入れないから、肌の新陳代謝であるターンオーバーによって数年で自然に消えると言われることが一般的です。しかし、これは本当なのでしょうか? 日々、過去に入れたアートメイクの除去治療に取り組むなかで、何年経っても色が残っているという深刻な相談を多く受けている形成外科医の西林涼子先生に、皮膚組織内の真実を教えていただきました。
※TOP画像/40代女性の症例。①15年前 ②8年前にアートメイク施術をした跡が残っている。
学会でも発表した「アートメイク除去」のリアルな実態
朝のメイクが楽になるからと軽い気持ちで受けられる方が増えているアートメイク。ですが、私が形成外科医として除去治療に取り組む日々のなかで、15年経ってもベタッと色が残っている症例、あるいは不自然な色に変色してしまったというご相談を非常に多く受けてきました。
本当にアートメイクは自然に消えるものなのか?
その本質を突き詰めるため2020年1月から2025年4月にかけて、のべ148例のアートメイク除去症例を検証・研究し、学会での病理学的な発表も行ってきました。対象は20代から80代のすべての女性で、眉が127例、アイラインが21例です。今回は、誰も見たことがなかった皮膚組織内の真実とともに、アートメイクの隠されたリスクを医師の視点からお話しします。
原因は「技術の低さ」だけじゃない? 15年経っても墨のように残るワケ
15年、20年も前の色が残っているのは、昔の無資格サロンで深く彫られすぎたからではないかと思う方もいるかもしれません。 確かに、それも一理あります。
2000年代初頭、いわゆる平成10年代半ばから医療資格制度の整備が進むまでの時期には、美容室やマンションの一室などで無資格者によるアートメイク施術が行われていた、いわば「グレーゾーン」の時代がありました。施術者の技術や経験には大きなばらつきがあり、本来想定される真皮浅層を超えて色素が深部まで到達したケースもあったと考えられます。
また、当時は現在ほど品質管理が確立されておらず、化粧品用途ではなく工業用途にも用いられる顔料を含むインクが使用されることもありました。こうした質の悪いインクは経年変化や日光の紫外線を浴びることで化学変化を起こし、茶色で入れたはずの眉がベタッとした黒やグレー、あるいは赤茶色に変色して肌に残留してしまう可能性が非常に高くなります。
しかし、問題はここからです。現代のクリニックで医師の管理のもと、看護師資格をもったプロのアーティストが正しい深さに入れれば時間経過とともにきれいに消えるのかというと、実はそうとも言いきれません。
昔の施術環境やインクの質といった歴史的背景だけでは説明できない事実が、私の最新の研究でもわかってきたのです。現在のアートメイクにおいても、インクが皮膚の奥深い真皮深層(0.5〜1.4mm)まで達しているケースが見られ、さらに体内のお掃除係である「マクロファージ」という免疫細胞の中に、インクが取り込まれて保持されている様子も確認されました。
これらの事実は、「昔のアートメイクだけが深い」「今のアートメイクは皮膚の浅い層だけに留まる」というこれまでの理解を見直す必要があることを示しています。

過去に2度の施術をされ、15年以上が経過しても肌に残ってしまった眉アートメイクの実例です。下の写真で青く囲った部分が15年前、オレンジで囲った部分が8年前のもの。経年劣化によってインクが不自然に変色してしまい、時間とともに退色しない状態になっています。

美容室で施術し10年が経過、赤色に変色してしまった眉の症例です。インクに含まれる成分が日光の紫外線を浴びることなどで経年変化を起こし、元の色とは全く違う色みで残留してしまっています。

過去の施術によるインクが深緑から青灰色に変色して残ってしまった70代女性の症例です。インクが皮膚のあまりにも深い場所に入り込んでいたため通常のレーザー照射治療では治療が難しく、最終的に皮膚を外科的に切り取る眉下切開手術によって治療を行いました(下の写真は除去3カ月後)。
▶どんなに完璧に浅く入れても、インクが皮膚の奥へ沈んでいってしまうのはなぜか?
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