「いいお母さん」だったのに不倫…。魔が差して、快楽のあとに女性が見たものとは(後編)
過去に振り回されない強さ
真美は、3ヶ月の不倫について夫や子どもに深い罪悪感を持っていた。どうして夫以外の男性に身を委ねたのか、「夫にママ友のことを愚痴っても『仕方ないだろう』と言われるばかりで、それも苦しかった」と後で教えてくれた。だが、だからといって不倫していい理由には絶対にならないことは、こちらが言うまでもなく「馬鹿だった」と真美は口にした。
自分が決めた不倫について、開き直ることもできず夫のせいにする気持ちも持てず、「自分の責任」とわかっているからこそ、終わった後の後悔は深く大きなものになる。心の整理がつかない状態で、日々「嫌な存在の人間たち」をどうしても目にすることで、真美はいつまで経っても安心を取り戻せずにいた。
過去は変えられないし、消せることもない。だから今の自分で生きていくしかない。表現を変えてこう言うと、真美は「わかってる」とうなずく。隠し通さなければならない過去なら、その痛みをしっかりと受け止めて乗り越える力がないと、いつまでも「その自分」に振り回される。
噂好きな女性たちを気にするのではなく、過去の不倫を「終わったこと」として今の自分から切り離す意識を持てないことが、真美にとって一番の弱点だった。それは誰でもなく自分で培っていくものであって、集中するべきなのはいつだって今の現実なのだ。
「また電話して」
真美がその力を持てるまでは、こうして弱音に付き合うことになるだろう。着信を放置しないのはそれができると信じられるからで、いつかは前向きに現状をとらえるようになることを願う一方だった。
この記事の前編:ママ友関係に悩み、現実逃避で不倫。最初はよかったけれど、そのあとは…
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