めまい、イライラ、倦怠感が続き休職。会社から「いつ来るの?」の催促が怖くて退職へ

うつ病と診断され薬を飲むも回復せず。心と体が限界に達して休職へ

大量の汗やのぼせ、生理不順に加え、イライラしたかと思えば倦怠感を覚えたり、常に眠気を感じたりするようになったケイコさんは、心療内科を受診しました。その結果は……

 

「うつ病と言われました。自分とは無縁だと思っていたので、ショックでした」

 

心療内科で処方された抗うつ剤を飲み始めたケイコさんでしたが、2~3カ月経っても体調不良はよくなりませんでした。それどころか、心療内科に通っている自分が嫌で、余計に落ちこむことが増えました。

 

「抗うつ剤は私には効果がないから、止めたいと思いました。でも、医師によると、抗うつ剤をやめると体に負担がかかるから簡単にはやめられないとのことで、もう少し続けるよう念を押され、そのまま続けることにしました」

 

抗うつ剤を飲んでも体調が回復しないケイコさん。会社に産業医など相談できる人がおらず、ついに体も心も限界に達し、休職することにしました。

 

「休職中は人事部から定期的に『いまどんな状態?いつから出勤できる?』という連絡が入りました。人事部はそれが仕事だからやっていると分かってはいますが、いつ回復するか分からない私にとって、その質問は脅迫でしかありません。いつ復帰できるか分からないなら辞めれば?と言われている気がして、電話やメールがくること自体が恐怖でした」

 

 

休職→退職へ。自分の時間が増え、ふたたびよぎる「更年期では?」の思い

ケイコさんは徐々に、会社を退職する方向に気持ちが傾きました。人事からの連絡に対するストレスも理由の一つでしたが、仮にいまの職場に復帰しても、前と同じ業務量をこなせないと思ったからでした。

 

そして、休職から一年後。ケイコさんは10年続けたコールセンターの仕事を辞めました。

 

退職して時間に余裕ができたケイコさんは、病気や治療に関する情報を調べるようになりました。そこでふたたび気になったのが、更年期の三文字。更年期の症状例を見ると、どれも自分がいま抱えている不調にぴったりと一致していました。49歳の時点では、医師に「まだ更年期ではない」と言われたケイコさんでしたが、あれから1年の時が経ち、状況が変わっている可能性があるため、前回とは別の婦人科でもう一度調べてもらうことにしました。

 

「血液検査の結果、はっきり更年期だと言われました。体調不良の原因が分かってよかったですが、それよりなにより、私はうつ病じゃなかったんだと分かって、ほっとしました」

 

 

HRTを開始。もっと早く始めておけばよかった!

そしてケイコさんは、この病院でHRT(ホルモン補充療法)を始めることにしました。下腹部にパッチを貼るタイプの治療を始めると、1~2カ月で大量の汗が出る頻度が格段に減り、イライラしたり、突然怒りだしたりすることも少なくなりました。眠気やだるさも前ほど感じなくなり、集中力も少しずつ回復している感じがありました。

 

「HRTを始めてから、明らかに心身が楽になったので、ずっと続けていた抗うつ剤を止めることにしました。服用回数を徐々に減らし、ゼロになったときは本当に晴れやかな気分になりました。正直、うつ病患者として通院していると、それだけで自分がうつ病であると念を押されている感じがして嫌だったんです」

 

抗うつ剤を辞め、HRTに希望を見出したケイコさんでしたが、テープにかぶれやすく、パッチを貼った部分が赤くなり、無理して貼り続けていると黒ずんでしまうようになりました。
そのため、2~3年目からは、腕に塗る薬と飲み薬の併用に変え、現在まで約10年間続けています。

 

「こんなに調子がよくなるなら、もっと早くHRTを始めておけばよかった。いま思えば、心療内科ではなく先に婦人科で診えもらえばよかった。私はやっぱり、うつ病ではなかったと思います。抗うつ剤は3年ほど続けましたが、その間ずっと倦怠感や眠気は続きました。HRTを始めてからは、感じていたほとんどの不調が軽減しました。HRTをいつまで続けていいか担当医に聞いたところ、骨粗しょう症のリスクが下がるメリットもあるので、定期的な検査通院や薬を塗ることが面倒でなければ続けていいよ、とのことで、もうしばらく続けようと思います」

 

HRT期間中は定期的に検診を受けるため、受ける前よりも健康管理ができているとケイコさんは言います。ケイコさんの場合は、子宮にポリープができやすいことが検診で分かり、検診で見つかって治療したこともあるそうです。

 

「私は独身で、年金だけでは老後を暮らせないので、できるだけ長く働きたいと思っています。そのためには、無理なく働ける環境はとても重要です。コールセンターの仕事は天職だと思っていましたし、管理職はやりがいがありましたので、辞めるときは勇気が必要でした。ですが、長く健やかに、体に無理なく働き続けることを考えれば、これでよかったと思っています」

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