【医師が解説】気が散って、仕事が進まない! すぐに試せる「集中力を上げる」4つのテクニックとは?
集中力を安定させる鍵を握るのは「自律神経」にあり!
集中力の意外な事実がいろいろとわかりました。日常的に集中力を高める取り組みを行いたくなってきませんか? そこで小林先生に、集中力を高め、安定させるコツをうかがいました。
そもそも集中力は2種類ある
集中できている状態に医学的な定義はないようですが、自分が取り組んでいること以外の現象、例えば、音や周囲の様子などに意識が向きにくいときや、物事を成功させたり、予想以上の結果を出したりしたときに「集中できている」もしくは「集中できていた」と感じるものです。
その状態を実現する「集中力」には、「短期集中力」と「持続集中力」の2種類あるといいます。
短期集中力:アスリートや演奏家などが限られた時間内でパフォーマンスを上げるための集中力。
持続集中力:仕事や勉強で必要とする、ゆるやかに長く、途切れない集中力。
私たちに必要なのは、持続集中力のほう。1日のタスクすべてに対して、集中しながら立派にこなせる、安定的な集中力が欲しいものです。
小林先生によれば、持続集中力を手に入れるには、体調面や環境面で「自身の状態を安定」させることが必要なのだそう。そこで自律神経が関係してくるのです。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、バランスが重要です。特に交感神経が高ぶっていると興奮状態や緊張状態になりますが、この状態では十分に集中力が発揮できないといいます。副交感神経を優位にすることで、緊張がほぐれ、不安も減り、集中しやすくなるのだそうです。
集中力を上げるテクニック
自律神経と集中力との関係の基本を踏まえて、次はいよいよ実践していきましょう。「集中したい!」というときに、集中力を上げるテクニックを教えていただきました。
1.水を飲む
「水を飲んで腸を刺激すると、副交感神経も刺激されるので、集中できる状態を作ることができます。特に朝起きたときに1杯の水を飲むと、心と身体のリズムを作ってくれますよ」(小林先生)
2.深呼吸をする
「ゆっくりと深呼吸をすると、副交感神経が優位になります。鼻から息を3~4秒かけて吸い、口から6~8秒かけて吐きましょう。これを『1:2(ワンツー)呼吸法』と呼びます。10回ほど繰り返せば、集中しやすい状態になるでしょう」(小林先生)
3.関係のない景色を見る
「いくら一つのことに集中できていると感じても、視野が狭いと大事なことを見落としやすくなり、ケアレスミスが増えます。これでは集中しているとは言い難いです。視野が狭いなと感じたら、窓の外の風景を見たり、街を歩いているメガネをかけた人の人数をカウントしてみたりして、視野を広くするよう心がけてみましょう」(小林先生)
4.ガムを噛む
「先にもお話したように、ガムを噛むことも有効です。咀嚼などのリズム運動は、幸せホルモンのセロトニンの分泌を促し、リラックスした状態のときに発生するα波が出ることもわかっています。副交感神経も高まり、脳の血流もよくなることで、集中しやすい状態にしてくれます」(小林先生)
集中力についての誤解や集中力を上げるポイント、勉強になりましたよね。日々の生活の中で、「いまいち集中力が続かない!」と感じたときには、ぜひ試してみましょう。
【取材協力】
小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)先生
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。
『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『最高の体調を引き出す 超肺活』(アスコム刊)、『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム刊)などの著書のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBSテレビ)などメディア出演も多数。
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