女性が「自分の体を愛する」ために必要なことって?自分軸で生きる、働くためのキーワード5つ【日産×オトナサローネ】#1
井一:本日のゲストである日産自動車の野中さんをご紹介させていただきます。野中さんはパワートレイン・EVコンポーネント生産技術開発本部というところのご所属なのですけれども、この「パワートレイン」というのは車両ではなく…?
野中:部品ですね。エンジンであるとか、車の中枢を担うところです。私たちがいる部署の横浜工場が日産発祥の地と言われております。さっき(主婦の友社は)100年ということで、ちょっと負けていますけど、日産も90周年をおかげさまで迎えることができております。
井一:足して200年の会社で、今日はお届けいたします。長寿そうで、いいですね。
野中:いいですね。
井一:野中さんは実は今年、勤続42年でご定年を迎えられるということですね。
野中:はい。8月で、満60歳です。
井一:今年は、実は男女均等雇用法施行の第1期生の先輩方が、日本の株式会社からご退職をお迎えになる年なのですけど、でもその場合は37年のはずです。ところが野中さんは42年。
野中:はい。
井一:(スライドで経歴を見ながら)1番最初のご入社が、現場からお入りになっている、九州工場からですね。
野中:そうですね。はい。全く何も分からず、高校の先生に聞いて「給料のいいところ」と、「当時土日がお休み」だったのはここ(日産)と、あと2、3社しかなくて、日産に入りました。
井一:なるほど。で、何度もご異動を繰り返しますが、ご入社になった当時の日産自動車というのは、女性社員はいらっしゃったのでしょうか?
野中:いらっしゃいましたが、総合職と一般職に分かれていて、私みたいに工場で採用された人は、生涯を工場で終えることになっていました。ただし、そのときの工場は高校の先生にも「3年働いたらありがたいよ」と言っていただいたぐらいの時代ですね。
井一:女性トイレがなかった?
野中:現場にはなかったです。
井一:それが当たり前…。産休もなかった?
野中:育休がなかったです。私は産休8週で、働くことになりました。
井一:というような時代を、ある意味生き抜いてきたと言っていいのですかね。そして何度も異動を繰り返されて、最終的に2019年に安全管理部本社…日産本社、横浜のみなとみらいにご異動になったと。色々なところを移ってらっしゃって、キャリアの観点からするとすごく苦労なさったとも言えるのですけれども、ではその秘密はどういうところにあったのか?というのを「 ご自分を愛する」という軸で今日はお話いただきます。
自分軸に生きる、働く。
井一:本日、キーワードが5つ出てきます。まず1番最初は「スモールターゲットを持つ」というキーワードからいただいております。
野中:「スモールターゲット」ってちょっとカッコよく聞こえますが、これは部下の方や、若い方に対して使っている言葉なのです。自分なりのこだわりやルール、目標を持つっていうことの、ものすごく小さな話なのですけれど。
いちばん小さいこととして「トイレットペーパーの交換」って書いてあります。この部分を今日は集中的にしゃべりますので、残りの部分はスライドを読んでください。
井一:ぜひアーカイブ配信を観て、静止して読んでいただければと思います。
野中:今でも続いているのは「トイレットペーパーの交換」です。皆さん経験があると思いますけど、お勤め先や公共の場のおトイレを使ったときに、ペーパーが切れている時がありますよね。でも横に、換えのペーパーが置いてあるじゃないですか。「換えてよ」って思いつつも、換えずにそのまま使ったりする時があります。
でも私は必ずペーパーを換えることを行っています。
「どうして私が換えなきゃならないの」っていう気持ちはあるのですけど、これは「自分の中に余裕があるよ」っていうことを自分に言い聞かせるってことなのです。(私、余裕あるから)と思って、毒づきながら、「換えてよ」って思いながらも、ペーパーを必ず交換するっていうことを会社で行っています。
最近、主人と犬と車中泊をすることがあるのですが、その時も、道の駅のトイレットペーパーを一生懸命変えたりしています。自分の余裕を楽しむというか。スモールターゲットは、この程度の目標なのです。小さすぎますか?
私は入社したあと、アシスタント時代に、部品が足りないときに会社のおじさんに「買ってください」って言わなきゃいけなかったのです。物を作るので部品が必要なのですよ。これって仕事ですから、おじさんもやってくれて当然と思うでしょう?でも昭和の時代なので、「なんで俺、お前の言うこと聞かなきゃいけないの。俺は忙しいんだよ」って言われてしまうことがあったわけです。
だから、そのおじさんをどうやって懐柔したらいいのかなと考えて、 まずファックスを送って、電話して(当時はパソコンがないですから)、会いに行ってっていうのを繰り返しました。会いに行く時には、手ぶらで行かないで、飴ちゃんを持っていくのです。大阪のおばちゃんみたいですけれど(笑)
そういうことをやるうちに、おじさんが私の話をすぐ聞いてくれるようになってきました。それって「関係性の構築」だと今になって思うのですが、「自分の目的をともかく達成しよう」っていうことに集中できていたこその成果だと思うのです。
「なんで私の話を聞いてくれないの。仕事でしょ!」
というのは、相手のあり様を問うていくことです。これって難しいことだと思っていて、まずは自分でできることに集中するようにと、若い人たちには伝えています。ともかく部品を買ってもらわなきゃということに集中できていた話は、前述のトイレットペーパーの話と近いのではないかなって思っています。
井一:スモールターゲットっていうと、なんだか難しそうに聞こえるのですけれども、「ひとつ何か達成できたら、それでよし」。みたいな感じですかね。
野中:そう。大人になったら誰も褒めてくれませんから。
いよいよ忙しいときは(誰も見てないし、「トイレットペーパーを変える」って周囲に宣言しているわけでもないから、ま、いっか)っていうぐらいの超ゆるさですね。
井一:なるほどね。いわゆる「ビジネス・サクセスを目指し……!」という感じじゃなくて、日々の生活、日々の仕事の中で、「よっしゃ!」っていう体験を繰り返すのですね。
野中:そうですね、自分のコンディションを確かるとか、自分で自分を鼓舞するとか、そういうことのために、ルーティンや標準みたいなものを持ってみる。「 自分で突き詰めて最初から決めていたわけじゃないけど、自分を律してくれるっちゃ律してくれる」みたいなものが皆さんに少しずつあるといいのかなって思ってます。
井一:なるほど。で、これが次ののキーワードに繋がっていくのですね。
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