投資に於いて「いくら儲けたか」はどうでもいい、じつは「退場しないこと」が何より大切。そのためにいますぐすべきことは?
8月5日午後の株式市場は主要銘柄が軒並みストップ安、そうなると売りたい人が現金化できません。結果として先物に売りが集中、現物指数である日経平均とデリバティブである先物が5%乖離するという前代未聞の混乱でした。そしてその翌日、日経CNBCを見ながら本稿を書いていますが、足元3000円高と前日の半値戻しになっています。
SNS上には恐怖をあおる言葉が躍り、厭世観も漂い始めました。さあ、ここでリバランスを考えましょう。というわけで、こういうフェイズでも「気分は悪いながらも淡々とリバランスに徹している」私の、8月の運用についてお話します。
前編『日銀ショックでも「オルカン一択が正解」だったのか?新NISA「やらねばならなかったこと」を元ファンドマネジャーがそっと指摘』に続く後編です。
【元ファンドマネジャーが指摘「新NISAでやらねばならなかったこと」】#10後編
元ファンドマネジャーがとった2024年8月「大混乱相場」での4つの投資行動
前半では「その価格を採用するかどうかはあなたが決めることであり、市場がどうなっているかは実はあまり関係ない」ということをご説明し、私が8月にとった投資行動をお話しました。1・比率が上昇した外国株のリバランス 2・償還を迎えたドル建て社債の扱い に続く残り2つの行動です。
3・JREITの買い増し
他の資産に比べてパフォーマンスが劣後したJREITを追加購入しました。円建てでかつ株式市場に比べると変動性が低いアセットクラスですので、相対的に比率が上昇していますが、現状を維持しようと考えています。
4・日本株ロングショート
日経平均先物を売り建てして、投資家から見放されている小型株(東証グロース250採用銘柄)を10銘柄ほど購入するロングショート戦略を組み入れました。小型株のパフォーマンスが改善したのでそこそこ上手くいっているトレードでしたが、株式市場が急落する局面で日本株の投資比率が低下しましたので日経平均先物の買い戻しで日本株の買いリバランスを行って、小型株の純投資に切り替えました。5日午後はすべての銘柄がひどい下げになったのでとても気分が悪かったです。
大切なのは「いくら儲けたか」ではない。この局面、「フェールリスクで退場しない」こと
市場の変動性が高いうちは絶対額でのリスクを抑えることも大切だと考えていますので、様子を見ながら第2弾、第3弾の買いリバランスを実施していく予定です。評価損が増えているのは気になりますが、前述のとおり相場の下落は期待リターンの上昇です。気にはしながら長期的に資産運用を続けましょう。
「NISA死ね」とか、「だから政府がやることは」と投げている皆様、口だけにして投資は続けてください。アセットアロケーションで運用すれば市場から退場することはありません。まだまだやり直しはいくらでも効きます。
この7月8月は忙しい期間になりましたが、次の収穫に向けてたくさん作業をした印象です。みなさまの参考になれば幸いです。それでは次回までごきげんよう。ドキドキのない資産運用を祈念しています。
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【資産運用の5ステップ】