義母宅の冷蔵庫から漂う「異臭」の正体。「そうだったの!?」認知症の初期に感じた「5つの違和感」 

こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。

 

【アラフィフライターの介護体験記】#2

 

▶前回の記事を読む▶▶『一人暮らしの義母宅の冷蔵庫から漂う異臭。中を改めて絶句した夫と私に義母が放った「衝撃の言葉」は』

 

異臭の正体は夫の大好物。処分のために私がとった行動は?

前回は、田舎で1人暮らしをしている義母の家を訪ねた際に見た、中身がぎゅうぎゅうに詰まった冷蔵庫、漂う異臭、「冷蔵庫が小さすぎる!」と言って怒り出す義母の姿など、あらゆる“違和感”についてお話ししました。

 

今回は、その続きから~。

冷蔵庫の前で、放心状態になった夫と私。中を覗くと、卵10個入りが4~5パック、バター4箱など、同じものが複数個。食パンや煎餅、カップ麺なども入っており、なかなかの混雑具合です。奥からは、生ゴミのような異臭も漂っています。

 

さっそく夫が調べると、「たぶんコイツが犯人だよね」という保存容器を発見!ものすごく酸っぱい臭いとともに登場したのは、『ナスの煮浸し』。夫の大好物でした。

 

夫:「ねぇ、コレ腐ってるよ」(鼻をつまむ)

義母:「腐ってないでしょ。えっ、臭いの?」

夫:「……」

私:(やっぱり、においが分からないんだ)

 

数ヶ月前にお義母さんとキッチンに立った際、保存してある肉や魚を手渡され、「大丈夫よね?」(におってみて)と、言われたことを思い出しました。

 

『ナスの煮浸し』を処分しようとする夫に、「何してるの? それ今夜食べるのよ」と、お義母さんは慌てた様子で駆け寄ります。ちょっとした親子喧嘩が始まる予感。異臭が漂うキッチンにいるのは、そろそろ限界です。

 

ここは仕方なく、空気が読めない嫁になるしかありません。

「え~、ビックリ! こんな風になるんですね。写真撮ってもいいですか?」

と、保存容器を取り上げて撮影し、処分する方向へ。

「まだ食べられるのに、もったいない」と、夫がイライラするお義母さんをなんとか説得し、“ニオイの元”を処分しました。

 

ほかにも、腐りかけの野菜や賞味期限切れの食品が目に留まったものの、一旦、冷蔵庫を閉めます。とりあえず、その日の夜は気を取り直して外食へ。中の掃除は、翌日に持ち越しとなりました。

 

義母に感じた”違和感”を整理してみたら、こうなった

 

ここまでを振り返り、夫と私の見解はこのようになりました。

 

1  冷蔵庫が食材で満杯、同じものが複数入っている

⇒頻繁に外出しなくて済むよう、多めに購入した

2  冷蔵庫に食パンや煎餅、カップ麺や缶詰などが入っている

⇒とりあえず買ってきたものを入れてしまった(ウッカリさん)

3  賞味期限切れのものが入っている

⇒物が多すぎて分からなくなってしまった(私にも身に覚えが……)

4  腐ったものに気づかない(臭いが分からない)

⇒少し前に風邪を引いたようなので、そのせいで鼻が利かなくなった

5  何となく怒りっぽい、忘れっぽい

⇒年齢的に仕方がない

 

このように”違和感“を整理すると、「私たちの考えすぎかな」という気も。そんな中、腐ったものに気づかない(臭いが分からない)が、まず気になりました。私自身、かつて風邪から副鼻腔炎になり臭いが分かりづらくなった経験があったので、同じような症状を疑ったのです。

 

そこで冷蔵庫の掃除とともに『お義母さんと病院へ行く』が、滞在中の新たなタスクに加わります。ただし行ってくれるかどうか……。(前回の記事でもお伝えしましたが)お義母さんは、相当な病院嫌いです(涙)。

 

思わず悲鳴が! 料理上手な義母による特製カレー

 

翌朝は、近所に新しく出来たというカフェで食事。開放的なテラス席に座り、パンを頬張るお義母さんは超ご機嫌! そんな姿を見ているうちに、昨日までの不安は「取り越し苦労だったかも」とさえ思えてきました。しかしその夜、再びショッキングな出来事が起こるのです。

 

親戚とのランチ会を終えた帰り道、「夕飯どうする?」の話題に。

夫:「けっこうお腹いっぱいだし、夕飯は軽くていいんじゃない? 何か買っていこうよ」

義母:「だめよ。お腹空くに決まってるでしょ。あ、カレーにする?」

 

なるべくキッチンに近づきたくないのが本音でしたが、ここはお義母さんの意見に賛同し、カレーの準備を手伝う“テイ”で冷蔵庫を片付ける作戦に!

 

さっそく冷蔵庫の中身を確認していくと、「えっ、そんな(食材)入ってる?」と、お義母さん自身はあまり覚えている様子がありません。どうやら同じものが複数入っていることも、ほとんど理解していないようです。

 

その後、順調に掃除は進み(※)「冷蔵庫に物を入れすぎると、冷気の循環を妨げて電力を多く消費するらしいよ」という夫の言葉に、「じゃあ、節約のためにも整理しなくちゃね」と、腐っている野菜などの処分にも成功!(夫よ、ありがとう)(※)経済産業省 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト 無理のない省エネ節約 冷蔵庫」を参照

 

しばらくすると、カレーの香りが部屋中に立ち込めてきました。

義母:「今日はね、この前テレビで見た隠し味を入れたのよ。取りに来て~」

私:「隠し味って、何ですか?」

義母:「それは食べてからの、おたのしみ!」

 

と言いながら、テンション高めなお義母さん。しかし、お皿に盛りつけられたカレーを目にした瞬間、不安な気持ちが加速するのを感じます。

 

▶▶続きを読む▶カレーの色が……なんか、変! 食べた瞬間、思わず悲鳴を上げてしまった夫と私。その理由とは

 

 

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